●ガトーディマンシュ(牝 栗東・宮本博 父ステイゴールド、母ガトーショコラ)
半姉ルルパンブルー(父ジャングルポケット)はフェアリーS(GIII)の勝ち馬。3代母スリードーターはニッポーテイオー(87年天皇賞・秋-GI、87年マイルCS-GI、88年安田記念-GI)、タレンティドガール(87年エリザベス女王杯-GI)の半姉にあたる良血。父ステイゴールドも、母の父フジキセキもサンデーサイレンスの子。つまりサンデーサイレンス2×3というクロスを持つ。芝向きのマイラー。
●キミニアエタキセキ(牝 栗東・橋口弘次郎 父サクラバクシンオー、母テンシノキセキ)
半姉カレンナホホエミ(父タイキシャトル)は新馬−フェニックス賞(OP)を連勝した仕上がり早のスピード馬。母テンシノキセキはフェアリーS(GIII)とセントウルS(GIII)の勝ち馬で、中京芝1200mでは1分06秒9のレコードを樹立したスピード馬だった。父がサクラバクシンオーに替わったが、2歳戦に強いスピードタイプというキャラクターは変わらないだろう。
●コウエイニコニコ(牡 栗東・山内研二 父マンハッタンカフェ、母マイニングレディ)
父マンハッタンカフェはドイツ血統が入るなど異系色の強い血なので、交配相手にふさわしいのは主流血統を含んだ牝馬。素直にMr.ProspectorやNorthern Dancerを入れたものが走っている。このふたつの血を併せ持つ配合からは、マンハッタンスカイ、イコピコ、サンディエゴシチー、レッドアゲートなどの重賞勝ち馬が誕生している。本馬はこのパターンに当てはまる。近親にこれといった活躍馬はいないものの期待してみたい。
●ダートムーア(牝 栗東・吉田直弘 父クロフネ、母カーリーパッション)
全兄フラムドパシオンはヒヤシンスS(3歳OP・ダ1600m)を圧勝してUAEダービー(首G2・ダ1800m)に臨み、後の米年度代表馬Invasorに先着して3着に食い込んだ。クロフネ産駒はダート巧者が多いわりに、JRAのダート重賞を勝った馬がいないなど、ダートにおける能力の上限が意外に低いところが見受けられる。フラムドパシオンは、少なくとも屈腱炎を発症する前は国際級の能力の持ち主だった。全妹の本馬も期待できるだろう。「クロフネ×トニービン×ノーザンテースト」の組み合わせからはほかに、ダイワオンディーヌ(09年エンプレス杯-交流GII・4着)、ポルトフィーノ(08年エルフィンSーOP)などが出ており成功している。
●トーセンミネルバ(牝 美浦・田村康仁 父キングカメハメハ、母グレースマリヤ)
半姉にコスモフォーチュン(父マイネルラヴ/06年北九州記念ーGIII)、コスモプラチナ(父ステイゴールド/09年マーメイドS-GIII)がいる良血。本馬の父キングカメハメハは、Mill Reef、RivermanといったNever Bend産駒の血が母系に入ると成功する確率が高まる。本馬の2代母の父アスワンは、その母リリーオブザナイルがRivermanの4分の3同血にあたるのでおもしろい。芝向きの中距離馬。
●リベルタス(牡 栗東・角居勝彦 父ディープインパクト、母カーリング)
母カーリングは現役時代にフランスで仏オークス(G1)、ヴェルメイユ賞(G1)など4つの重賞を制した名牝。繁殖牝馬としても優秀で、これまでにローエングリン(父シングスピール/03年&07年中山記念-GII、03年&05年マイラーズC-GII)、ブレーヴハート(父サンデーサイレンス/09年ダイヤモンドS-GIII・2着、05年青葉賞-GII・3着)、レゴラス(父サンデーサイレンス/07年有馬記念-GI・7着)などを送り出している。
本馬の父はディープインパクト。その父はサンデーサイレンスなので、ブレーヴハートとレゴラスに配合構成が近い(4分の3同血)。スタミナと底力は申し分なく、うまく出ればクラシックの王道を歩めるはず。ただ、母カーリングはSicambre、Worden、Finetopといった気性的に難しい血を抱え、産駒は高い能力を持つ反面ムラ駆けタイプなので、このあたりが器を決定する鍵となりそう。