今週は番外編として、セレクトセールで落札された注目配合馬を数頭ピックアップします。
【当歳】
●アコースティクスの2010(牡 父ネオユニヴァース、母の父 Cape Cross)
“トーセン”の島川隆哉氏が1億1200万円で落札した。今年のセレクトセールのトッププライス。「ネオユニヴァース×ケープクロス」という組み合わせで、全兄にロジユニヴァースがいる。父ネオユニヴァースはやや鈍重なタイプなので、「Danzig系×Mr. Prospector系」というスピード型の母は合う。Halo≒Sir Ivor 3×5も悪くない。母方にMachiavellian、Lorenzaccio、Bustedを併せ持つ配合は、同じネオ産駒の大物ヴィクトワールピサと同じ。兄同様の活躍を期待したい。
●フェスタデルドンナの2010(牡 父ゼンノロブロイ、母の父ヘクタープロテクター)
グローブエクワインマネージメント(有)が1億500万円で落札した。今年2頭誕生した1億円ホースの1頭。「ゼンノロブロイ×ヘクタープロテクター×ノーザンテースト」という組み合わせはアグネスワルツ(10年オークス-GI・3着)と同じ。つまり両馬は血統構成の8分の7まで同一ということになる。父ゼンノロブロイはアメリカ血統過多なので、母方にはしっかりとしたヨーロッパ血統やHyperionの強い血を入れたい。本馬は残りの8分の1がアメリカ血統ながら、そこが名牝スカーレットインクなので神経質になる必要はないかもしれない。マイニング≒Woodman 3×3なので競走に前向きなタイプだろう。
●マストビーラヴドの2010(牡 父メイショウサムソン、母の父サンデーサイレンス)
“メイショウ”の松本好雄氏が4700万円で落札した。今回のセリに何頭か出場していた「メイショウサムソン×サンデーサイレンス」の1頭。メイショウサムソンの父オペラハウスも、母の父ダンシングブレーヴも、サンデーサイレンスと相性がいいので、メイショウサムソンがよっぽどのスピード不足でないかぎり、この組み合わせはうまくいくのではないかと思われる。本馬はラインクラフト(父エンドスウィープ/05年NHKマイルC-GI、05年桜花賞-GI)、Florentino(父スウェプトオーヴァーボード/ジェファーソンC-米G2)の半弟にあたる。芝向きの中距離タイプ。
●ロレットチャペルの2010(牡 父ディープインパクト、母の父フレンチデピュティ)
“カレン”の鈴木隆司氏が3600万円で落札した。母の父フレンチデピュティは成功しており、サンデー系とも相性がいい。母ロレットチャペルは未勝利馬ながら、近親にキングストレイル、シンコウラブリイ、タイキマーシャル、ハッピーパスなど多数の活躍馬がいる。Hypericum≒Aureole 6×7、Sans Le Sou≒Camenae 5×6など小技が利いており配合的にメリハリがある。芝中距離で楽しめそう。
【1歳】
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ビーポジティブの2009(牡 父クロフネ、母の父サンデーサイレンス)
“アドマイヤ”の近藤利一氏が6000万円で落札した。母ビーポジティブはトゥザヴィクトリー(01年エリザベス女王杯-GI)、サイレントディール(03年武蔵野S-GIII)の全きょうだいにあたる良血で、現役時代にクイーン賞(GIII)を勝った。父がクロフネで、母がトゥザヴィクトリーとサイレントディールの全きょうだい、という配合はバトードール(10年ユニコーンS-GIII・2着)と同じ。マイル前後のダートで期待が持てる。
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リングレットの2009(牡 父フジキセキ、母の父トニービン)
“バローズ”の猪熊広次氏が3800万円で落札した。「フジキセキ×トニービン」という組み合わせは成功しており、ドリームパスポート、アルティマトゥーレ、フィールドベアー、ユメノシルシ、ウェディングフジコなどの活躍馬が出ている。本馬の母リングレットは2勝馬だが、年度代表馬エアグルーヴの全妹、名繁殖牝馬カーリーエンジェルの半妹にあたる超良血。これまでに出した産駒はいまひとつ走っていないが、この配合なら……と期待を抱かせる。