スマートフォン版へ

ダートから芝(4)

  • 2010年09月22日(水) 18時00分
 やっと月曜日に、ここで連載している『馬券の天才かく語りき』が収録された『血統辞典(白夜書房新書)』の校正を終えた。お陰で3日間連続開催と校正の同時進行という、かなりハードな連休になってしまった。『血統辞典』には、新指数を盛り込み、距離変更データなどを最新にし、オプションや指数などの種牡馬別の部分見直しを行った。さらに新種牡馬も追加したため膨大な作業となった。ということで、今日はちょっとダウン気味である。そのデータの使い方は血統コラムでの解説が中心になる予定だが、このコーナーでも機会があれば触れていこうと考えている。

 さて、体力補完系ショックが今の私にないのは残念だが、先週の続きを見ていこう。

 どうしてこのような摩擦のない現象が起きたのかというと、今年の夏は雨がほとんど降らなかったため、馬場が傷まずに、高速馬場が持続されたことが直接的な要因になる。だが、それだけではない。それでも開催当初と比べれば、時計は掛かっていたのだ。時計が掛かっていたのに、開催2週目の頃のショック馬場から単調なバイアスに馬場が変化したのは何故か。

 それは馬場の平準化による。馬場を均一にし、デコボコなもの、あるいは外部が存在しないようにする管理体制だ。その為、馬場はのっぺらぼうなものになる(通常は、その作為は雨などの自然の力で無力化されるのだが、今年の夏は一定して暑く、自然そのものも均一化されていた)。個性のない、冷たい馬場である。そこでは、時計が掛かる掛からないとは別に、摩擦そのものの存在が希薄になる。この生気を失った馬場に、「熱いステップ」はそれほど必要とされない。

 では、その馬場の変化をどのように察知すればよいのだろうか。

 まず第一には、やはりショック馬の走りに着目して摩擦レベルを知ることだ。

 データで見てみても、それは明白である。

 摩擦のあった1回小倉芝1200mの「ダートから芝」の単勝回収率は270円(複勝回収率82円)に対し、平準化された2回小倉芝1200mの単勝回収率は87円(複勝回収率30円)である。単勝、複勝回収率ともに3分の1に低下している。「短縮」を見ればさらに顕著だ。1回小倉は単勝回収率106円(複勝回収率105円)と100円越え。対して2回小倉は単勝回収率14円(複勝回収率29円)。超激減である。このように、この2つの体力補完系ショックは似た意味を持つので、データ的に連動しやすい(連動しないタイプの馬場もある)。したがって、どちらかのショックの動向で、もうひとつのショック成功率も推測出来るのだ。

 そして、この体力補完系ショックの相性と密接に関わっているのが、前走の3角位置取りになる(今回の位置取りではなく、前走の位置取りであることに大きな意味がある。これについては後で触れよう)。

 前走3角1番手だった馬は1回小倉芝1200mでは単勝回収率43円(複勝回収率56円)。圧倒的に前走で単調に前に行っていた馬は、レース摩擦にストレスを感じ、走れなかったのだ。それが、2回小倉になるとどうなったか。


お知らせ
 Mの法則の凄さをさらに体感するなら、毎週金曜日20時更新のコラム「馬券の天才かく語りき」を是非お読みください。現在、種牡馬ごとの分析、ならびに直近のレースでの検証など、週末の予想からすぐに使えるテーマを連載中です。
※「馬券の天才かく語りき」はnetkeibaプレミアサービスのコラムです。


今井雅宏氏新刊
今井雅宏が新刊を発売!
 今井雅宏の新刊『競馬王新書 ポケット版大穴血統辞典』が2009年9月19日(土)に発売されました。

 天才・今井雅宏が穴党のためだけに構築した血統辞典『ウマゲノム版種牡馬辞典』の最新刊でもあり、持ち運び可能なポケット版となっています。競馬場でパラパラと見ながら馬券の参考にできるのが最大の特徴。

 80頭分の父・母父の心身構造を、タイプ(M3タイプ)、走りやすいパターン(オプション)、好不調の波(リズム)、激走・凡走能力(指数)などでワンポイント解析します。

 もちろん、netkeibaプレミアコラム「馬券の天才かく語りき」も完全収録しています!

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング