やっと月曜日に、ここで連載している『馬券の天才かく語りき』が収録された『血統辞典(白夜書房新書)』の校正を終えた。お陰で3日間連続開催と校正の同時進行という、かなりハードな連休になってしまった。『血統辞典』には、新指数を盛り込み、距離変更データなどを最新にし、オプションや指数などの種牡馬別の部分見直しを行った。さらに新種牡馬も追加したため膨大な作業となった。ということで、今日はちょっとダウン気味である。そのデータの使い方は血統コラムでの解説が中心になる予定だが、このコーナーでも機会があれば触れていこうと考えている。
さて、体力補完系ショックが今の私にないのは残念だが、先週の続きを見ていこう。
どうしてこのような摩擦のない現象が起きたのかというと、今年の夏は雨がほとんど降らなかったため、馬場が傷まずに、高速馬場が持続されたことが直接的な要因になる。だが、それだけではない。それでも開催当初と比べれば、時計は掛かっていたのだ。時計が掛かっていたのに、開催2週目の頃のショック馬場から単調なバイアスに馬場が変化したのは何故か。
それは馬場の平準化による。馬場を均一にし、デコボコなもの、あるいは外部が存在しないようにする管理体制だ。その為、馬場はのっぺらぼうなものになる(通常は、その作為は雨などの自然の力で無力化されるのだが、今年の夏は一定して暑く、自然そのものも均一化されていた)。個性のない、冷たい馬場である。そこでは、時計が掛かる掛からないとは別に、摩擦そのものの存在が希薄になる。この生気を失った馬場に、「熱いステップ」はそれほど必要とされない。
では、その馬場の変化をどのように察知すればよいのだろうか。
まず第一には、やはりショック馬の走りに着目して摩擦レベルを知ることだ。
データで見てみても、それは明白である。
摩擦のあった1回小倉芝1200mの「ダートから芝」の単勝回収率は270円(複勝回収率82円)に対し、平準化された2回小倉芝1200mの単勝回収率は87円(複勝回収率30円)である。単勝、複勝回収率ともに3分の1に低下している。「短縮」を見ればさらに顕著だ。1回小倉は単勝回収率106円(複勝回収率105円)と100円越え。対して2回小倉は単勝回収率14円(複勝回収率29円)。超激減である。このように、この2つの体力補完系ショックは似た意味を持つので、データ的に連動しやすい(連動しないタイプの馬場もある)。したがって、どちらかのショックの動向で、もうひとつのショック成功率も推測出来るのだ。
そして、この体力補完系ショックの相性と密接に関わっているのが、前走の3角位置取りになる(今回の位置取りではなく、前走の位置取りであることに大きな意味がある。これについては後で触れよう)。
前走3角1番手だった馬は1回小倉芝1200mでは単勝回収率43円(複勝回収率56円)。圧倒的に前走で単調に前に行っていた馬は、レース摩擦にストレスを感じ、走れなかったのだ。それが、2回小倉になるとどうなったか。
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