昨年は抜けた最低人気の増田騎手の馬が2着に入って悶絶したのを思い出す。一昨年は人気がかなり割れていたので大波乱とまではいかなかったが、上位人気勢は揃って下のほうに沈んでしまった。
という波乱の傾向がある埼玉栄冠賞。記憶を蘇らせると、どうも大マクリを打った馬がハマる流れになりがちなような。その理由を推測してみると、浦和では久々のオープンクラスの競走ということで、騎手が速めの仕掛けを意識するためではないだろうか。浦和は8月と9月の開催日数が極端に少ないのが定番だが、今年は9月に開催が行われないスケジュールである。
確かに「海なし県」の夏は恐ろしく暑く、夏場の昼間開催は馬も人も客も危険きわまりない。筆者の自宅も埼玉県だが、この夏は自宅内で熱中症にならないようにと市役所のスピーカーが注意を呼びかけていた。そこは余談だが、騎手が久々の上に、南関でいちばん小回りの競馬場。そうなれば、意識が前のめりになるのは仕方のないことなのだろう。
そこへきて、A1級は58kgという斤量設定。昨年のこのレースで先手を取ったクレイアートビュンは、見た目にも最後の脚いろが鈍っていた。そのあたりも踏まえ、長く脚を使える展開が向く馬を中心に考えてみたい。
となると注目できるのが、実績上位のディアーウィッシュ。京成盃グランドマイラーズで見せた強気のレース運びなら、逆に追いかける側が苦しくなりそうだ。
そのディアーウィッシュは、JRA1000万条件で頭打ちの成績で船橋に転入してきた馬だった。ならばJRAオープンから転入のケイアイスイジンにもチャンスはあるだろう。初コースは微妙だが、これまでの連対はすべて左回りという成績。8月初旬の入厩後は坂路も備えた小林分場で乗り込んでおり、いきなりからの好勝負も視野に入るはずだ。
クレイアートビュンはこの条件で3着内率100%。昨年は逃げ粘れなかったが、今年はおそらく後ろから行くのでは。となれば、まくり一発での激走というシーンは十分に考えられる。
ルクレルクは相手なりにジワジワと伸びる系。コーナー6回の競馬は初めてだが、マイペースの逃げで進められるなら、粘り込みの可能性はあるとみて連下に押さえたい。
JRA1600万条件から転入のドリームトレジャーはダート未知数だが、軽めの馬場コンディションが続けばタイプ的に対応できそう。54kgも相対的に有利で、食い込みに警戒すべき存在といえる。
昨年の覇者であるブルーラッドは、前走が「いかにも太めです」という感じの腹周り。それを考えると、前進より反動が心配になる。オッズ的にも妙味ゼロだし、このコラムでは来られて悔いなしの想いで無印にしてみたい。
◎ディアーウィッシュ
○ケイアイスイジン
▲クレイアートビュン
△ルクレルク
△ドリームトレジャー