しぶとくとは、常日頃から願うことだ。では、しぶといとはどういうことか。我慢強くへこたれないとも受け取れるし、しつこく強情であるとも言える。
競馬では、粘り強く諦めず、最後には帳じりを合わせているといったところか。確かにそういう仲間はいる。また、自らにも、自分はしぶといのだとまじないを唱えることだってある。だが、そう都合よくはいかない。なのにしぶとくと自分を励ますのだから面白い。こんな風に誰だってわかっているのに、気合いをつければなんとかなりそうに思えるのが競馬の奥深いところで、なんとかしようと喰い下がるのだから、健気なのだ。
そんな健気な者同志、一緒になってワイワイやれたら、盛り上がって楽しいし、その結果、多大な成果でも上がろうものなら言うことはない。
しかし、どうあがいたってまるで駄目、絶望の淵に立つことがよくあるのも競馬の恐ろしいところで、どう気持ちを入れ替えたらいいのか。心構えになるような言葉を考えてみた。世の中には、実に立派な教えがある。
難関を前に立ち往生したら、流れに身を委ねよと言うのだ。ただし、そうであっても志は忘れるな、自分の心をしっかり定めよとつけ加えている。この、流れに従い志を変えずをまとめて記すと「従流志不変」となる。
禅僧の立花大亀老師がよく書かれた言葉だが、こうして一行書きにするとしっかりこの身に入ってくる。
いくらあがいたって駄目なときは駄目、みんなが分かっていることだが、ここで大切なのは、志を変えずということだろう。これは、言ってみれば意地みたいなもので、しぶとさのバックボーンとなる心構えだ。
競馬で楽しんでいるときの心構えと言うと堅苦しいことになってしまうが、志には、金銭にかえがたいものもあるから、その辺のところを大事にしようということになる。