ロジータ記念(11月17日　サラ3歳牝馬　定量54kg　SI　2100m)

　「ロジータ記念」は、今年からSII→SI昇格、1着賞金1500万→2000万円と増額され、斤量も別定(SI勝ち馬2kg、SII1kg増)→全馬定量54kgと変更された。実質グレードアップ。南関東版「秋華賞」、ひとまずそういう位置付けになるのだろう。ふさわしい馬に勝ってほしい。昇格・第1回目だけになおさら思う。

　ロジータの“偉業”をおさらいする。89年、牡馬クラシックに敢然と挑み、いともあっさり3冠達成。その暮れ古馬相手(岩手・スイフトセイダイなど)の東京大賞典も圧勝し、地方競馬のみならず全国ファンに“川崎の名牝”を強烈にアピールした。ロジータの凄さ。いま改めて2つ思う。彼女の競走生活がわずか1年半であったこと。その引退後、素晴らしい産駒を間髪を入れず送ったこと。

　レースでは紛れもない“鬼女”であり、しかし“理想的な母”の役割も見事に演じた。“不世出”としか言葉がない。余談だが、記者は彼女の産駒とその係累、何頭も“ペーパーオーナー”で持っていた。レギュラーメンバー、カネツフルーヴ、イブキガバメント、アクイレジア。競馬とは何か…(醍醐味という意味で)を感じさせてくれた馬でもある。

　(1)…波乱含み。1番人気[2-2-1-5]は一見微妙だが、過去10年で9回5着以内に入っているに入っている。2番人気[2-1-4-3]、3番人気[1-1-2-6]。人気馬からどれをとるか。

　(2)…船橋優勢。船橋＝5勝、2着6と大きくリード。以下、川崎＝2勝、2着4、大井2勝、浦和＝1勝。昨年もタカヒロチャーム→ツクシヒメ、船橋勢のワンツーだった。

　(3)…好調馬。過去10年、連対20頭中、10頭までが直前勝利を飾っていた。前走6着以下からの巻き返しは06年のマキノチーフとチャームアスリープ。牝馬戦のセオリー“格より調子”が鉄則となる。

　(4)…先行有利。逃げ＝4、先行＝5、差し11。純然たる追い込み(4コーナー7番手以降)は連対が1例もない。おおむねスロー。捲りがきく差しタイプに勝ちパターン。

　※データ推奨馬

　◎テイエムウミユキ…JRA・500万、船橋転入後2連勝の3歳馬。地方ダートで一転開花といえば、07年トキノミスオースが浮かんでくる。底力十分の血統背景。鞍上・森泰斗は今季めっきり腕を上げたジョッキーで、今季テイエムヨカドーなど、牝馬戦に強いイメージもある。

◎ハーミア　戸崎
○ショウリダバンザイ　御神本
▲テイエムウミユキ　森
△スズリスペクト　江川
△シティオ　坂井
△プリマビスティー　左海
△ヒミツノハナゾノ　今野
センゲンコスモ　町田
マックスビート　的場文
チェックユアハート　ムンロ

　ハーミアが確勝で臨む。現南関東3歳世代では、牡馬を含め堂々たるトップクラス。仮にフリーハンデをつけるなら、No.3〜5位あたりのランクだろう。前々走「戸塚記念」で牡馬を一蹴、前走「TCKディスタフ」も、“女傑級”の強さをみせたザッハーマインと好勝負(直線先頭・上がり37秒3)を演じている。そして今回最も基準になる「関東オークス」2着。JRAシンメイフジにこそ敗れたものの、自身2100m2分13秒4。現実にこの時計はユキチャン＝14秒7(08年)を大きく凌ぐ。切れ味、パワー、競馬センス、すべてバランスよく備えた万能型。3歳牝馬同士、それも定量54kgなら、まず負ける材料が浮かばない。

　ショウリダバンザイが実績通り相手本線。強靭な末脚を誇る桜花賞馬。続く2冠2、5着だが、道悪と出遅れなど、運がなかった感もある。ひと息入れた前走は北海道遠征、「ノースクイーンカップ＝交流」を勝ち、さらに一つ実績を積み上げた。440→460kg台、ひと回り増やした馬体。心身ともパワーアップのイメージだろう。自在性、安定感でハーミアに及ばないが、ごく普通に流れに乗れれば連対はしっかり確保。展開が向いて接戦までは考えられる。

　データ欄で推したテイエムウミユキは、素質と勢い、さらに奥手血統が魅力的だ。葦駄天センゲンコスモがおり、おそらく好位からの競馬だが、逆にそれで新境地を開く可能性も十分ある。次いでスズリスペクト。8月から3連勝(JRA交流含む)と力をつけ、競って二の脚を使うレースぶりなど、2100にも対応しそうだ。TR「サルビア賞＝2000m」を勝ったシティオは、ハーミアと同じく父フィガロ。今回時計短縮が課題だが、息の長い末脚は例年の大駆けタイプ(マキノチーフ、タカヒロチャームなど)を連想させる。もう1頭プリマビスティーは、昨暮れ「東京2歳優駿牝馬」大外一気が忘れられない。前走も末脚自体は合格点(上がり37秒7)で、人気薄なら穴に一考。