2010年度の道営ホッカイドウ競馬の開催が11月18日(木)に終了した。
4月28日に開幕した今年度の道営競馬は、門別競馬場一場で15開催計80日間の全日程を消化し、総売り上げは前年比2.2%減の112億9224万円。年度当初に掲げた計画対比でも94.4%にとどまり、やや苦戦した。
ただ、他の地区の地方競馬のみならず、中央競馬でも今年はかなり売り上げを落としている現状からするとむしろ「善戦したと言える」との見方が一般的である。
最終日となった18日は、好天に恵まれ、門別競馬場には多くの観客がつめかけた。例年、どうかすると雪に見舞われ真冬並みの天候になることもあるこの時期。北海道での競馬開催としてはギリギリのところなのである。
最終日を飾るのは「第53回、道営記念」。ファン投票で選出された16頭が出走してきた。
人気を集めたのは3番クラキンコ。3歳牝馬ながら今年の道営3冠馬で、父クラキングオー、母クラシャトルともに親子二代にわたり北海優駿を制した実力馬だ。
午後8時半。ジャズトランペッターの神村秀男さんが奏でるファンファーレが場内に流れ、スタートが切られた。
レースは直線中団から抜け出した伏兵オネストジョンがコパノカチドキに2分の1馬身をつけて優勝。人気のクラキンコが5着に沈んだため、三連単は30万円を超える高配当となった。
勝ったオネストジョンは、日高町・藤本直弘氏の生産・所有馬で、父エイシンダンカーク、母ハウンドトゥース。中央時27戦4勝、2着6回、8000万円余を稼ぎ出した後、道営に転じてこれで5戦目であった。堂山芳則厩舎。小国博行騎手が騎乗。
余談ながら、同馬の父エイシンダンカークは、アメリカ産のMr.Prospector直仔。中央で13戦3勝の成績を残した後種牡馬入りした。わが国では2003年の一年限りの供用(新ひだか町、レックスS)で3頭の産駒を残し、そのうちの1馬がこのオネストジョンである。その年の交配シーズン後にアメリカへ輸出され、現在はスウェーデンにて種牡馬生活を続けている、という。
最終日となった11月18日は、ファン感謝イベントも実施され、場内は前日17日より1000人も多い1567人が来場した。
石狩鍋やツブとたこ串セット、甘酒などがファンを喜ばせた。「日高特産市」や「ファン感謝抽選会」そして最終レースが終わってからは、恒例の「ファンとの集い」も行われ、所属騎手がスタンド内に勢揃いしての握手・サイン会で今年度の開催が幕を閉じた。
道営ホッカイドウ競馬は今年度、「運営改善計画3か年」の3年目となっており、収支均衡が来年以降の存続のための必須条件とされていた。
後のない状況で開催がスタートしたものの、夏場までは天候不順やレース数と出走頭数の伸び悩みによって、売り上げもやや低迷していた。
しかし、8月以降は他地区での場外発売拡大などにより少しずつ売り上げを回復。ほぼ前年並みの実績までどうにか漕ぎ着けた形である。
高橋はるみ北海道知事は、去る10月6日の道議会予算特別委員会にてホッカイドウ競馬の来年以降の存続を改めて表明。今後は、最低でも5年間の長期ビジョンを年内に策定する予定となっている。
ただし、現状では、地元日高の各町と業界関係団体などが官民上げて道営競馬を支えており、まさしく生産地だけが孤軍奮闘している印象が強い。
広い北海道内に散在する道営ファンのために多くのミニ場外が稼動しているものの、今年度は道内に限ると本場を含め前年比で9.5%の減となる39億5268万円の売り上げにとどまった。平成3年には454億円を売り上げ、ピークを記録したが、それ以降の20年間でちょうど4分の1まで縮小したことになり、加えて、場外施設の展開と他主催者との相互発売、ネットや電話投票などによる高コスト体質によって、運営は厳しい。
しかし、多くの2歳馬がここでデビューし、有力馬の多くが他地区へ転厩して行く「供給基地」としての役割を担っており、生産地にとっても道営の存在意義はひじょうに大きい。今後5年間の長期ビジョンでどのような活性化策が示されるかが注目される。