来年1月16日まで、広島市郷土資料館で「広島の競馬場」という企画展が開催されています。先週、これを見に行ってきました。
もちろん、ただそれだけを目当てに広島に行ったわけではなく、広島名物「かき船」の牡蠣料理と宮島口駅の絶品駅弁「あなごめし」を味わうという“グルメイベント”をセットにしました。その帰りには、大阪でOBCラジオ大阪「ドラマティック競馬」の濱野圭司アナウンサーによるカラオケの熱唱を拝聴し、兵庫競馬の吉田勝彦アナウンサーと一献傾け、さらに、名古屋競馬場で行われたレディースジョッキーシリーズも観戦。ついでに名古屋名物の「きしめん」と「(牡蠣入り)味噌煮込みうどん」も楽しむ、まさに“てんこ盛り”のスケジュールでした。
さて、肝心の「広島の競馬場」展。先週の週刊競馬ブックに掲載された田島芳郎さんのレポートにもあるとおり、なかなか興味深い展示が見られました。
中でも、大正15年=1926年の深川(ふかわ)競馬と、昭和2年=1927年の観音(かんおん)競馬を撮影した動画映像には見入っちゃいました。深川競馬は現・広島市安佐北区深川4丁目1番地付近にあった草競馬場で、企画展の説明によると、現・JR芸備線中深川駅は競馬観戦客の乗降用に開設されたとのこと。また、観音競馬は、その深川競馬場が手狭なため、現・広島市立観音中学校の敷地=西区南観音3丁目4番地にあった観音グラウンドに移転して開催された競馬だそうです。
第1回東京優駿大競走(日本ダービー)や戦前の帝室御賞典(天皇賞のルーツ)などの動画映像はJRAの競馬博物館で見たことがあります。でも、地方の草競馬が映っているものを見たのはたぶん初めて。バリア式のスタートの様子や大勢の人で埋まったスタンドの風景など、当時の様子がよくわかる貴重な映像でした。これは日本競馬の“お宝”と言ってもいいと思います。
ほかにも、県内各地で行われた競馬で優勝馬に授与された優勝旗(ホンモノ)や、今では“県内唯一”となった福山競馬場の歴史がわかる展示などが並んでいます。東京や大阪からはるばる見に行くことをオススメするわけにはいきませんが、期間中に広島へ行かれるのであれば、ちょっとお立ち寄りいただきたい“珠玉”の企画展です。
鉄道廃線跡を探検する“鉄ちゃん”がいるように、今はなき競馬場の跡を訪ね歩くのが趣味、という競馬ファンもいます。競馬キャスターの浅野靖典さんはその第一人者。「廃競馬場巡礼」なんていう本まで書いたくらいです。でも、彼のように実際にその場へ行くのはタイヘン。こういう企画展が近所で開催されれば、手軽に昔の競馬の様子をしのぶことができます。ひょっとしたら、それをきっかけに、今回の動画映像のような“お宝”が発掘されるかもしれません。ぜひ各地でこういう企画展を催してほしいものです。