TCK女王盃(2月2日 大井 サラ4歳以上牝馬 別定 JpnIII 1800m)
「TCK女王盃」は98年創設。当初から交流GIIIとして13年の歴史を刻んできた。ただ、ダート向きの牝馬(一流馬)とは、資源豊富なJRAでさえやはり出にくく、おおむねリピーターが活躍、新味に乏しいレースが多かったのも事実ではある。04〜05年を連覇したレマーズガール、その好敵手だったグラッブユアハート、さらにユキチャン…(先ごろ引退)。どれも“名牝”と呼ぶには、インパクトがひと息足りない。
このレース、記者的に最も“印象点”が高いのは、01年ベラミロードだ。宇都宮(06年廃止)所属。前年「東京盃=大井1200m」を1分10秒2、大レコードで勝っており、あとは距離をどうこなすか(当時2000m)にかかっていた。一徹逃げの快速型。道中鞍上がなだめになだめ、それでも馬は行きたがり、厳しい競馬だったと記憶する(伏兵セクシーディナーに首差の勝利)。ピンクの勝負師・内田利雄騎手の、ホッとした、それでいて弾けるような笑顔が忘れられない。「馬もボクも頑張ります。北関東競馬にも足を向けてください…」。“好漢”という言葉がまさしく似合った。
(1)…おおむね順当。1番人気[5-4-0-1]と、絶対的な強さがあり、2番人気も[4-1-0-5]とアベレージが高い。ただ3着はしばしば狂う(過去10年中、6年まで7番人気以下)
(2)…JRA優勢。JRA=7勝、2着8。ほぼ断然の数字といえる。他は宇都宮、船橋(2着1)、川崎がそれぞれ1勝。地元大井は前述セクシーディナーの2着1だけ。
(3)…実績重視。連対20頭中、14頭がすでに重賞を勝っていた(内11頭が交流G)。1〜3着はすべて4〜6歳馬で、中でも5歳馬=6勝は特筆に値する。
(4)…自在型。逃げ=4、先行=7、差し=8、追込み=1。近年、スロー〜平均ペースが大半で、好位から隙のないレースができる馬にチャンスが多い。
※データ推奨馬
◎ラヴェリータ…文字通り円熟期、絶頂期としていいJRA・5歳馬。関東オークスなど交流G・4勝、牡馬相手の「名古屋大賞典」勝ちも底力を物語る。流れに応じ緩急自在。ここは好位から捲って勝負か。
◎ミラクルレジェンド 55岩田
○ラヴェリータ 57M・デムーロ
▲ザッハーマイン 54C・デムーロ
△ショウリダバンザイ 54御神本
△シンメイフジ 54内田博
△ブラボーデイジー 56北村友
△コスモプリズム 53戸崎
プリマビスティー 53左海
ヤマトマリオン 57幸
トウホクビジン 53本橋
ミラクルレジェンドに“新女王”の期待をかける。昨春からダートに転じ6戦5勝。唯一敗れた「JDダービー=大井GI」4着も、牡馬一線級相手に0.1秒差。当時直線狭いインに閉じ込められ、脚を余したうらみがあった。道中馬群の中で我慢がきき、GOサインと同時に弾ける瞬発力。何より精神面が逞しく、前走「クイーン賞」を見る限り(3番手から横綱相撲)、課題とされたゲート難も解消している。今回真ん中よりやや外め、10番枠ならレースがしやすい。
ラヴェリータは、前述通り交流Gすでに4勝。アドマイヤスバル、キングスエンブレム、マチカネニホンバレ…錚々たる牡馬とも再三好勝負を演じており、ごく公平にみて“牝馬の域”を超えている。あえて減点というなら初コース、57kgだが、実績と貫禄はミラクルレジェンドをもちろん凌ぐ。
この2頭が現役ダート牝馬の“女傑級”。ただ今年はハイレベル、いつになく駒がそろった感じもある。いよいよ旬を迎えたザッハーマインも、通年水準なら十分◎に押せた存在。風評通りの腕をみせるC・デムーロ騎手(レースぶりが果敢な上に追って達者)鞍上で、今回“兄弟対決”も興味深い。
以下、昨年関東オークス馬シンメイフジは、久々(骨折明け・7か月半ぶり)を底力でどう補うか。「ロジータ記念」でハーミアを一気に差したショウリダバンザイも、脚の使いどころしだいでは脈ありだろう。ブラボーデイジーも、昨年ラヴェリータ相手の「エンプレス杯」勝ちからは互角だが、同馬の場合、クイーン賞大敗(出遅れ)以来、評価が難しくなっている。