報知グランプリC(2月23日 船橋 サラ4歳以上 別定 SIII 1800
m)
「報知グランプリC」は、今年第47回目。厳寒期の船橋、ファンを呼ぶ貴重な呼び物として長い歴史を創ってきた。毎度ながら「今は昔…」の話を少し書く。かつてこのレースは南関東所属という以外、出走条件をつけない“オールカマー”。大井「金盃」と施行時季が近く、サラブレッド一線級が分散したことも連動し、その優勝馬に、“アラブ”の名前が多く並ぶ。89年ヨシノスカレー、91年ホーエイヒロボーイ、92〜93年はコスモノーブルの連覇であり、続く94年は“最後の怪物”トチノミネフジの圧勝だった。
それから数年後と記憶する。石崎隆之騎手に取材して驚いたことを思い出す。「(自分が乗って)一番強いと感じた馬は…?」。そんな記者の質問に、しばらくうーんと考え込み、しかし最後は「コスモノーブル」と明確な返事をくれた。当時彼はすでに不動のリーディングジョッキーで、アマゾンオペラ、コンサートボーイ、アブクマポーロ、幾多のGI級に跨り、毎回それこそ輝くような騎乗で周囲の期待に応えている。その彼が、サラブレッドを差し置いて「コスモノーブル」の名前をあげた。「気持ちの強い馬だから、いつも信頼して安心してレースに臨める。」。確かそんなニュアンスだった。“アラブ”の存在が名騎手を育て、同時にファンに対しては“下克上”の気分を満足させたこと。ちなみに昨年引退した桑島孝春騎手、そのベストホースは、ロッキータイガーと並び、ホクトライデン、ローゼンガバナー(ともにアラブ)と聞いている。
(1)…波乱含み。1番人気[3-3-2-2]、2番人気[1-4-2-3]、3番人気[2-1-1-6]。数字上は合格点で、1〜3着、全滅という例もない。ただ今年は人気自体が微妙。
(2)…地元優勢。ホーム船橋=7勝、2着3。04年川崎ワンツーの例外を除けばパーフェクトに近い。ただ一昨年は大井モエレラッキー優勝。前2年浦和クレイアートビュン=2、2着。
(3)…7歳馬。4〜7歳馬まで好走例があるが、特筆すれば7歳=4勝。昨年も7歳マンオブパーサーが“円熟”の強さをみせている。4歳=3勝、2着2を追記したいが、今年は出走馬がない。
(4)…自在型。逃げ=2、先行=7、差し=10、追込み=1。例によって自在型、前々から二の脚を使うタイプが主流で直線一気は難しい。開催前の雪で、おそらくその傾向(先行有利)は拍車がかかる。
※データ推奨馬
◎ディアーウィッシュ…船橋所属、円熟の7歳馬。マイル〜中距離、幅広い良積があり、流れに応じ、自在かつ機敏に動ける。船橋コース3戦3勝。出川克巳厩舎は、01年ハセノガルチ(やはりJRAからの転入馬)で優勝している。
◎キングバンブー 52御神本
○ディアーウィッシュ 56今野
▲ブルーラッド 57内田博
△クレイアートビュン 56吉原
△イーグルショウ 56C・デムーロ
△ヴァイタルシーズ 56水野
モエレエターナル 52佐藤博
ケイアイジンジン 54川島
アーサルビー 52澤田
キングバンブーを狙う。JRA・3勝(すべてダート1700m)、菊花賞にも出走した明け5歳馬。むろん当初から期待の大きい移籍だが、それにしても転入後2連勝、まさしく息をのむ強さだった。初戦は中団から大外一気、2戦目前走は逃げて独走。いかにも馬まかせ、手探りのレースぶりにみえながら、現実にオープン級の時計を軽々とマークした。父キングヘイローらしい、威圧感あふれる馬体と走法。自身の上積み、恵量52kgを思えば、いきなり大仕事の期待が浮かぶ。おそらく1800mベスト。時計勝負の馬場状態も合っている。
データ推奨ディアーウィッシュは、実績、勢い、距離適性…すべてを満たす有力馬。逃げるヴァイタルシーズを負かしにいく立場が少し辛いが、元より器用さがあって我慢強い。別定56kgも他馬との比較(前走57でオープン特別完勝)からはむしろ有利か。
実績上位ブルーラッドは、今回内田博Jを配してきた(初騎乗)。ボランタスにちぎられた前走(オールスターC・2着)など、完調にひと息とも思えるが、船橋コース自体は3歳時「東京湾C」を制しており相性がいい。
前2年2、2着クレイアートビュンは、この中間、浦和→船橋へ転厩した。短期免許・吉原寛人(金沢No.1)鞍上など魅力もあるが、順調度の点で少し落ちる。それならイーグルショウか。イメージは切れ味優先のマイラーだが、現実に1800mでも大井準重賞を勝っている。うまく流れに乗れると食い込み。