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ケンタッキーダービーまであと2カ月

  • 2011年03月08日(火) 00時00分
 ケンタッキーダービーまであと2カ月を切り、「ランフォーローゼス」もいよいよ本格化してきた。戦線が進み、有力馬が絞り込まれて来る一方で、トップジョッキーたちにとっては、本番でどの馬に乗るか、チョイスを迫られる時季に来ている。

 今週の土曜日、3月12日にガルフストリームパークで行なわれる一般戦のタイムリーライターSで、昨年の2歳チャンピオン・アンクルモー(牡3、父インディアンチャーリー)が、いよいよ戦列に戻って来る。目下のところケンタッキーダービー最有力と言われているアンクルモーの主戦は、ジョン・ヴェラスケスだ。

 2歳時、G2ナシュアS,G2レムゼンSを制し、JPNサラブレッドランキング2歳部門の米国版にあたるイクスペリメンタル・フリーハンデで第2位となったトゥーオナーアンドサーヴ(牡3、父バーナーディーニ)の、ここまで5戦のうち4戦で手綱をとっているのも、ジョン・ヴェラスケスだ。アンクルモーが健在である以上、少なくともケンタッキーダービーまでは鞍上はヴェラスケスが務めると見られており、そうなると、今季初戦のG2フォンテンオヴユースSでは3着に敗れたものの、依然としてダービー有力候補の1頭に数えられているトゥーオナーアンドサーヴの相方が誰になるか、注目されるところだ。

 今、最も贅沢な悩みを抱えているのが、ラモン・ドミンゲスだ。3月5日に東海岸のアケダクトで行なわれたG3ゴーサムSを、ステイサースティー(牡3、父バーナーディーニ)の手綱をとって優勝したドミンゲス。2歳時、G1ホープフルS2着、G1BCジュヴェナイル5着などの実績があるステイサースティーも、ダービー戦線の最前線に立つ1頭である。

 ところが、2月12日にタンパベイダウンズで行なわれたG3サムデイヴィスSを制した、ブレスレン(牡3、父ディストーテッドヒューモア)の手綱をとっていたのも、ラモン・ドミンゲスなのだ。ここまでの成績3戦3勝、昨年のケンタッキ−ダービー馬の半弟という超良血馬ブレスレンも、ドミンゲスにしてみれば手放したくない1頭であろう。

 なおかつ、だ。2月21日にオークローンパークで行なわれたG3サウスウェストSで2着となったジェイピーズガスト(牡3、父サクセスフルアピール)、2月26日にガルフストリームパークで行なわれたG2フォンテンオヴユースSで2着となったグルメディナー(牡3、父トリッピ)の手綱をとっていたのも、ラモン・ドミンンゲスなのである。

 このうち、どれを選ぶか。ドミンゲスが手放した馬の手綱が、誰に委ねられるか。各騎手とそのエージェントの、腕の見せどころとなる。

 1月30日にガルフストリームパークで行なわれたG3ホーリーブルSの勝ち馬で、3月6日に同じくガルフストリームパークで行なわれたアロウワンスで2着となったダイヤルドイン(牡3、父マインシャフト)の手綱をとるジュリアン・レパルー。彼もまた、昨年のBCジュヴェナイル3着馬で、今季初戦のG2リズンスターSでも3着となったロークロマンス(牡3、父スマーティジョーンズ)との、二者択一を迫られることになる。

 また、2月20日にサンタアニタで行なわれたG2サンヴィセンテSを制したザファクター(牡3、父ウォーフロント)の手綱をとっていたマーク・ガルシアも、2歳時G1ノーフォークS制覇の実績があるジェイシート(牡3、父ヴィクトリーギャロップ)と、どちらに乗るかを決めなくてはならない。

 こうして見ると、ケンタッキーダービー戦線の有力馬の中で、目下のところ鞍上がはっきりしているのは、2月19日にフェアグラウンズで行なわれたG2リズンスターS勝ち馬ムーチョマッチョマンのラジーブ・マラー、同レース2着馬サンティヴァ(牡3、父ジャイアンツコウズウェイ)のマイク・スミス、2月26日のG2フォンテンオヴユースSを制したソルダット(牡3、父ウォーフロント)のアラン・ガルシアぐらいか。

 逆に言えば、現時点でこれと言ったお手馬のいない、ジョエル・ロザリオ、ラファエル・ベハラーノ、ギャレット・ゴメスといったトップジョッキーが、どの馬の鞍上に収まることになるのか。

 その動向は、馬の動向と同じくらい、興味深いものとなりそうだ。

合田直弘氏の最新情報は、合田直弘Official Blog『International Racegoers' Club』でも展開中です。是非、ご覧ください。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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