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調教適性を重視する

  • 2011年04月19日(火) 18時00分
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 先週のマイラーズCは◎ダノンヨーヨーが1番人気3着と人気に応える結果は残せなかったものの、競馬予想TV!や馬券総合倶楽部で明記した買い目で3連複が的中しました。

 速報!調教Gメンでも記した通り「最終追いで一杯に追われて栗東坂路4F53.0秒以下」というデータを重視した結果、それに該当したシルポートが勝ち、ダノンヨーヨーが3着となったので馬券が的中したと言ってよいのですが、それ以上に14番人気クレバートウショウを相手として印を打てたことが13万馬券を的中させた最大の要因でしょう。

 全く人気のなかったクレバートウショウですが、迷うことなく印を打ったのは先週の当コラムにも記したように「併用」調教だったから。先々週の桜花賞をはじめ、とにかく阪神芝1600mでは例年以上に併用調教馬の好走が目立っていたので、調教タイプとして見逃すことができませんでした。

 更に過去のマイラーズCの調教タイプ傾向から本数多い併用調教は好走傾向にあったので、該当していたクレバートウショウ、ロードバリオスは外すことができない調教適性を持っていたのです。

 逆に前走は会心の馬券を提供してくれたショウリュウムーンは思い入れこそありますが、調教タイプが過去のマイラーズCでも馬券になったことのない標準少め坂路。仕上がりも決して悪いとは思いませんでしたが、調教タイプを重視するなら一銭も買うことができなかったのです。

 現場で取材した「声」は非常に貴重であり、重視すべき点は数多くありますが、そればかりではなく、自分が蓄積したデータと照らし合わせた上でベストの予想をすることが大切だと改めて実感させられました。

 これからも「現場とデータの融合」で少しでも皆様のお役に立てるように頑張って参りたいと思います。

 さて今週は「東京芝2000m」でフローラS、皐月賞と3歳牡牝のグレード競走が行われます。

 最初に断っておくと、同じ条件で行われる2レースですが、求められる調教適性は全く違うと考えています。

 その理由として「ここまで1600m前後の距離で走っている3歳牝馬と2000m前後で走っている3歳牡馬では出走メンバーによって形成される流れが全く違ってくる」ということ。

 簡単に言えば、フローラSはこれまでの距離経験値が少ない馬が多いので、いかに上手に2000mをこなすかという点がポイントになりますし、皐月賞では天皇賞・秋に近いような豊富な調教量が重要になるだろうと想定しています。

 ここではフローラSの過去5年における好走調教タイプの傾向を振り返りながら、今年の勝ち馬にふさわしい調教タイプを導き出したいと思います。

2006年
1着ヤマトマリオン/(10)馬ナリ平均トラック
2着ブロンコーネ/(8)標準多め併用
3着アクロスザヘイブン/(4)標準少めトラック

2007年
1着ベッラレイア/(1)馬ナリ平均坂路
2着ミンティエアー/(4)馬ナリ平均トラック
3着イクスキューズ/(3)乗込トラック

2008年
1着レッドアゲート/(1)標準トラック
2着カレイジャスミン/(6)標準多め併用
3着キュートエンブレム/(8)軽目併用

2009年
1着ディアジーナ/(2)標準少めトラック
2着ワイドサファイア/(3)標準少め併用
3着ハシッテホシーノ/(4)標準併用

2010年
1着サンテミリオン/(1)乗込トラック主体
2着アグネスワルツ/(4)標準坂路
3着ブルーミングアレー/(2)標準多め併用

※( )内は単勝人気順位

 これまでの3歳牝馬限定重賞では「坂路」調教が必須であり、トラック単一は人気でも軽視すべきレースがほとんどでした。

 ところがフローラSは1~3着馬の調教タイプをご覧いただければお分かりのように、坂路よりもトラックが重要なレースとなっています。

 その理由は「東京芝2000m」という距離。これまでは短い距離で折り合いを気にすることなく走ってきた乙女ですが、さすがに広い馬場の2000mとなれば、折り合って走ることが必要になります。トラック調教馬だと、日ごろからその練習ができているというわけです。

 特別登録の時点で注目しているのはピュアオパール。

 過去は1200mでの勝ち鞍しかありませんが、この中間はトラックと坂路を併用しており、速い追い切りはトラックの南Pで行われています。

 その南Pは2008、2009年の勝ち馬が最終追い切りに用いた調教場所。この馬が最終追いを南Pで行うようなら、近4走の成績を一変させる激走を見せてくれるはずです。


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調教Gメンとは?
 調教をスポーツ科学的に分析した適性理論。それぞれのコースに必要な無酸素運動と有酸素運動の量やバランスを見極め、それに最も適した調教をしている馬を狙う馬券術。競馬新聞の調教欄に記載されている調教場所、調教本数、脚色(例:一杯)を確認するだけでOK。

調教コース&調教タイプの考え方
 調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「一杯平均坂路」に分類される。

調教コース一覧
【トラック】 ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。有酸素運動の強化。
【坂路】 坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。無酸素運動の強化。
【併用】 トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。有無酸素をバランス良く強化。
【トラック主体】 トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。有酸素運動寄り。
【坂路主体】 トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。無酸素運動寄り。

調教タイプ一覧&イメージ図
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 どのコースで何本追い切っているか、好走時、凡走時の調教過程など、過去の調教パターンを比較することで、各馬の仕上がり具合をチェックすることできます。また、直前の追い切りパターンとレース結果と参照することで、今の馬場状態では坂路調教馬が有利、もしくはコース調教馬が有利など、調教タイプでの馬券検討が可能になります。この機会に是非、調教タイムを使ったレース検討の面白さを実感してください。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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