羽田盃(5月11日 大井 サラ3歳 定量 SI 1800m)
南関東クラシック第1弾「羽田盃」が、当初日程通り施行される。同時にこの開催は、35%の節電(主催者発表)をもってナイター復活という運びとなった。東日本大震災は何とも大きな不幸であったし、記者自身少し複雑な気分もないではない。(ナイター開催は)早すぎないかということ。ただ、ごく純粋に(単純にか)競馬記者としての想いを書くなら、その決定を聞いてホッとした。羽田盃はすでに53年間、悠々堂々とした歴史があり、できる限り多くのファンに観戦、味わっていただきたいこと。20時15分ファンファーレだから、お仕事帰りで十分間に合う。ナイター、トゥィンクルの“実力”とはまさしくそれだ。
(1)…堅めが基本。1番人気[4-3-1-2]、2番人気[2-5-1-2]、3番人気[0-0-4-6]。1→2番人気のワンツーが3度ある。昨年は、シーズザコールド→マカニビスティー、2→1番人気の決着だった。
(2)…船橋優勢。船橋=6勝、2着3は断然の数字といっていい。次いで大井=3勝、2着5、川崎=1勝、2着2。近年は道営出身馬がきわめて強く、4勝して2、着5(昨年もシーズザゴールド優勝)。
(3)…差しがきく馬。逃げ=4、先行=3、差し=10、追込み=3。古くはスピード型が主流だったが、近年はむしろ中団から差すタイプに分がある。一昨年ナイキハイグレード(四角5番手)あたりが理想か。
※データ推奨馬
◎クラーベセクレタ…1番人気は確定的。道営デビュー、現在船橋・川島正行厩舎。本来差す競馬でも味がある。何より「京浜盃」を1番人気で勝った馬=[10-1-1-0]という驚異的なデータ(過去20年)が後押しする。牝馬は過去4頭優勝。近10年こそ[0-0-1-6]だが、一昨年モエレエターナル3着を思えば特に減点もない。
◎クラーベセクレタ 54戸崎
○シングンボス 56町田
▲キスミープリンス 56内田博
△ドラゴンウィスカー 56水野
△ヴェガス 56酒井
△ブラックサンダー 56柏木
△ルーズベルト 56的場文
ゴーディー 56赤嶺
ダークリバース 56坂井
クラーベセクレタの能力を信頼する。ごく自然流の逃げで牡馬をちぎった「京浜盃」。セルサス(ハイセイコー記念馬)故障など、全体低レベルは否めないが、それでもクラーベ自身1700m=1分46秒5を余裕残し。過去10年、シーチャリオットに次ぐNo.2の時計だった。「羽田盃」歴代優勝牝馬は、ここまで4頭。記者の知る範囲で比較するなら、ロジータ(89年)には及ばないものの、コーナンルビー(昭和56年)、カシワズプリンセス(92年)より少し上……そんなイメージになるだろう。父ワイルドラッシュはスピード型ながら総合力に優れ距離万能。そしてクラーベの、唯一不安はスタートにあり(道営時・エーデルワイスSを出遅れ凡走)、そう考えると、じっくり乗れる大井1800mもプラスが大きい。
相手探し。シングンボスを筆頭にとった。羽田盃5着、勝ち負けとは正直遠いが、4コーナー13番手、大外を伸びたレースぶりはインパクトが強かった。現実にメンバー中、上がり最速37秒3(クラーベ=37秒4)。全兄ロイヤルボス(マイルグランプリなど重賞2勝)を、パワーの点でむしろ凌ぐか。鞍上・町田直希Jは、追わせるタイプと相性がいい。
京浜盃2着キスミープリンスももちろん有力。ただ同馬の場合、2歳時から完成度の高さが目立っており、レース上手で堅実な半面、スケールの大きさが浮かんでこない。今回内田博Jへ手替わり(御神本騎手・騎乗停止)も、こと馬券上に限っていえば(クラーベとの馬複はおそらく200円台)、あまり歓迎できないだろう。それなら、レースぶりに逞しさ、野太さがあるドラゴンウィスカー、前走クラウンC2着で切れ味が戻ったヴェガスに妙味を感じる。JRA1勝ながら重賞経験(弥生賞=0.9秒差)があるルーズベルト、久々をひと叩きした素質馬ブラックサンダーまで善戦可能。