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5月5日、門別競馬場

  • 2011年05月11日(水) 18時00分
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 先月末(4月29日)に開幕した道営ホッカイドウ競馬は、大型連休中、祝日中心に4日間の第一回開催を消化した。

 やや気温が低いながらも、好天に恵まれた5日は、午前中から多くのファンが来場した。ホッカイドウ競馬は午後からの発走だが、同時開催の船橋競馬は午前中から行われており、ここでも馬券は購入できる。

 この日は、入り口で先着500人にコスモバルクの記念ボールペンが配布された。広場ではポニー乗馬なども行われており、家族連れの入場者が目についた。

 さて、正午過ぎに二つ、イベントが組まれていた。まず一つ目は、「第7回浦河ジュニア・ジョッキー杯」(300m)だ。

 浦河ポニー乗馬スポーツ少年団8人によるポニー競馬は、6年前の夏、旭川競馬場で第一回目が行われ、それ以後毎年実施されてきており現在に至る。昨年は初めて春と秋の二回実施され、今回は7回目である。

 第1レース発走前の時間帯で、果たしてどれだけ観客がいるものかとやや不安もあったが、今年に関しては、ポニー競馬のすぐ後にコスモバルクが登場し、岡田繁幸氏や田部調教師などによるトークショーも予定されているため、思ったより人が入っている印象。

 発走は当初、12時前後の予定であったが、その後、午後1時15分の発走に変更された。

 今回、初めてポニーに騎乗した8人がパドックに登場した。これは昨年までは実現しなかったことで、馬券こそ発売しないものの、出走馬と騎乗する子供たちが来場者の間近にお披露目できることになり、好評であった。「可愛い」という声があちこちから飛んで、カメラを向ける来場者が大勢いた。

浦河JJ杯パドック


 馬場入りした8騎は、直線走路をそのまま4コーナーのスタート位置まで歩く。1時15分。予定通り、発走した。

 内側を進んだ大池兄弟(駿和、澪奈)のガンバレタロウクン、トットコハムタロウがハンデを生かして先行し、中神美渚騎手のマーブルが続く。しかし、ゴール前で、メルモチャン騎乗の大池悠梨香騎手とハク騎乗の谷口遼斗騎手が強襲。2分の1馬身差で、ハク=谷口遼斗騎手がメルモチャンを制し優勝した。300メートルの走破タイムは23秒。

浦河JJ杯レース(外ハク谷口遼斗騎手)

浦河JJ杯ゴール前

「PHOTO.Y.SAITO」


 谷口遼斗騎手は、浦河町在住の小学6年生。父の谷口幸樹さんは育成牧場を経営する傍ら現在浦河ポニー乗馬スポーツ少年団の父母の会会長も務める。勝った谷口遼斗騎手は乗馬キャリア6年目のベテランで、優勝インタビューでは「父の後を継いで牧場をやりたい」と将来の抱負を語っていた。

出場した8人の騎手


 ポニー競馬が終了した直後、今度はパドックにコスモバルクが登場し、岡田繁幸氏(コスモビューファーム代表)、川村清明氏(競馬ライター)、田部和則調教師によるトークショーが行われた。

トークショー

周回するコスモバルク


 周知のようにコスモバルクは昨年、ここ門別で引退式を行い、現在は新冠町のビッグレッドファームにて功労馬として繋養されている。トークショーでは現役時代のバルクにまつわるエピソードが次々に紹介され、パドックではその間、黙々とコスモバルクが周回を続けるというコントラストで時間が経過した。

 コスモバルクが現役復帰を目指してトレーニングを積まれているニュースはすでに多くのファンの知るところだが、つい先日、アイルランドに向けて出発することが正式に決定したという。この時にはまだ「馬の調子を見ながら判断したい」と岡田繁幸氏は慎重に発言していたものの、いよいよ本格的に現役復帰に向けて大きく動き出したことになる。

 トークショー後の囲み取材で、岡田繁幸氏は「バルクも中年になってきて、体重を絞るのがちょっと大変になっているのは事実。若い時のようなわけには行かない」と語っていた。今回、遠征が実現すれば、近年稀に見る大ニュースになる。これを英断と評価するか無謀と捉えるか、人によって意見はさまざまだが、無事に渡航してかの地でレースに出られる日を待ちたいと思う。

 ところで、この馬の名前を冠にした「第1回コスモバルク記念」が午後8時に行われた。

 トークショーで周回するコスモバルクにぜひ「誘導馬」を務めて欲しかったと個人的には思うがそれは無理な相談だっただろうか。

 このレースには岩手から4頭が遠征してきており、岩手の星であるロックハンドスター(菅原勲騎手)が1番人気に支持された。

ロックハンドスターと菅原勲騎手


 勝ったのは道営の3冠馬クラキンコ。鞍上は小国博行騎手。

コスモバルク記念レース

クラキンコ口取り


 第1回の門別は4日間で計6311人が入場し、6億7166万1800円を売り上げた。最終日の5日に限ってみると、入場者は1908人、売り上げは1億9407万6900円。この勢いで今年の開催を乗り切りたいところ。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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