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安田記念は一発逆転!?

  • 2011年06月02日(木) 18時00分
 今週は春のマイル王決定戦・安田記念です!

 まずは、好調のシルポート。前走のスプリングCは「一完歩及ばず残念。ゴール板がもう少し手前だったら勝てたんだけどな〜」と西園先生は振り返りました。

 たしかに、直線に入ってからもいい調子で前を行き、あと一歩でゴールといったところで猛追してきたストロングリターンに差されてしまいましたもんね。あれは、惜しかった〜。

 あのレースの後、週明けは火曜から木曜まで運動だけで過ごしたんだそうです。西園厩舎のレース明けの定番は、火、水運動ですから、いつより1日多くのんびりしたことになります。

 しっかりケアもされ、疲れをとったシルポート。おかげで、ただいま好調のようですよ。

 その証拠に水曜の追い切りでは、稍重の坂路を52.0秒(ラスト1F13.3秒)で駆け抜けました。

 この内容に先生は「いい時計だった」満足な様子。また、レースに関しては「(前走から)200m伸びるのは問題ない。前に馬がいれば、かわそうと負けん気を発揮するけど、ハナにこだわってこそ力を出せる馬だからね。常にマークされる存在だから、自分の形に競馬を持って行きたいね」と話してくださいました。

 他馬の目標にされることは、鞍上の小牧騎手も承知しています。その上で、「シルポートの強さを見せたい」と気合い十分です。

 また、「今の東京は馬場がかなり悪いからね。だから、週末の天候も気になるところ」と小牧騎手。気になると言えばシルポートの場合、ゲートですよね…と聞くと。「上手く出して、(他馬との位置取りを)五分にしたいね」と、そのあたりもぬかりなく作戦を立てている様子でした。

 さて、西園厩舎からはエーシンフォワードも出走。

エーシンフォワード


 前走は8着といまひとつでしたが、西園先生は「8枠で59kg背負っての競馬だったからね。着順ほど時計では負けていない。力は十分あるんだよ」とキッパリ!

 水曜の追い切りは岩田騎手を背に、坂路を53.2-12.3秒で「ラストは伸ばす指示をしたんだけど、脚さばきがよかったね」と西園先生。

 お話をうかがった後、シルポートとエーシンフォワードを見せてもらったんですが、シルポートは正面から見ても「マイル体型だな〜」と感じられるまとまった馬体。さらに、大腿筋がしっかり張っていて、キック力がありそうでした。

 また、エーシンフォワードは毛ヅヤが美しく、柔らかい背中の持ち主。このほかに、コスモセンサーも出走予定。「短距離馬王国(僕の勝手な命名ですが)」である西園厩舎の本領発揮し、3頭ともいい走りをしてほしいですね。

 しかし、マイル戦は馬にとっても騎手にとっても一番難しいレース。特に東京のマイルは、長い直線に入ってからの追い出すタイミングが勝負の分かれ道となることも。4コーナーを回り、馬のスイッチが入ったら、騎手が一呼吸置いて「行くぞ〜!」と気合いを入れて坂を駆け上がっていきます。

 追い出してからは、馬は無酸素運動で走ることになるので、スピードだけでなくスタミナもある馬でないと、なかなか勝利することができません。

 その話を橋口先生にすると、「そうなんだよね〜。でも、うちの馬にはその力がある」との答えが返ってきました。あっ、先生の言ううちの馬とは、もちろんリーチザクラウンとリディルです。

リーチザクラウン


「2頭とも切れる脚もスタミナもある。これまで、実力はあるのにアクシデントがつづいてなかなか順調にこられず残念な思いもしてきた」と橋口先生。

 また、「(東京マイルでは、直線で)追い出してからの無呼吸の状態で、いかに我慢できるかが勝負の決め手。その状態の後、馬の鼻が大きくふくらむのを、(ファンのみなさんも)見逃さないでほしいね」ともおっしゃいました。

 鼻の穴が大きい馬って強いって話を聞いたことありませんか? 一般論ですが、その方が必要なときにたくさん酸素を吸い込めていいってことなんです。

 無酸素で走ったあと、たっぷり酸素を吸い、最後の勝負に賭けるってことですね。もちろん、橋口厩舎の2頭も鼻の穴大きいです!

 それだけではなく、馬体も見事。どちらもパンパンの筋肉の張った馬体が黒光りし、凛々しかったですね。

 橋口先生は「GIメンバーに入っても、引けを取らない格のある馬だと思っているからね。自信を持って送り出すよ」と力強くおっしゃいました。

 実力があるのは間違いないこの2頭。怪我などに泣かされてきた分、ここで本領を発揮してライバルたちに追いつきたいところですよね。

 さて、安田記念はアジア・チャンピオンマイル最終戦でもあります。海外からも強豪がきていますし、予想が難しそう。でも、各馬がどんな走りをしてくれるのか、今からレースが待ち遠しい

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1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

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