創設されて過去15回。波乱の結果はなく、ここまで「中波乱」だったことがたまにある程度。ごくごく「順当」、そんな結果が非常に多い。
ただ、のちに日本を代表するトップホースに育った1997年のタイキシャトル、2000年アグネスデジタル級も人気の中心ではなかったこと。さらに、その2頭や1998年のウイングアロー、2005年のカネヒキリなどの大物が勝つケースもあるが、この時期はまだ、芝のレース中心の路線を組んでいる「未来のダートチャンピオン」がいることの方が多い。ここで好走したからといって、やがてフェブラリーSやジャパンCダートが展望できるわけでもない。大半の馬が「アメリカ血脈」によって占められるようになった現在、ダート界の層は厚く、またレベルも高いから、この路線は絶えず「勢力図」の大きな変化がある。芝路線と異なり、あまり深追いしてはいけない人気馬も多い。
中心は「グレープブランデー」。酒飲みではない人の命名の気もするが、ダート【3-2-0-0】が光るだけでなく、芝のオープン特別「すみれS」でも好勝負に持ちこんでいるから、総合力を感じさせる。おそらく時計が速くなる東京ダート1600mにも対応できるスピード能力がありそうである。
前回の京都1800mダートは「1分51秒7」。今回も対戦するボレアスと半馬身差。コルポディヴェントとも0秒2差だから完勝ではないが、同日の9R(古馬1000万下特別)を圧勝した4歳馬トウショウフリーク(スイープトウショウの半弟)が1分51秒0だったから、レースレベルが高かったと考えたい。トウショウフリークは先週の1600万条件も制して、休みをはさんで4連勝のままオープン入りしている。
流れにも乗れる。あまり置かれたりする心配のない自在性を備えているのも強み。父マンハッタンカフェは、ヒルノダムールもいれば、日曜のジョーカプチーノなど、それこそさまざまなタイプの産駒を送るが、グレープブランデーの母はボールドルーラー系のジャッジアンジェルーチ産駒。祖母の父はリボー系プレザントコロニー、その前はマンノウォー系フルポケット。一族の代表馬は名種牡馬ボールドビダーであり、こてこてのアメリカ血脈。ダートでこそ、だろう。日本での代表馬はギャロップダイナになる。スケールある馬体を生かし、まだまだ出世すると思える。
前回対戦した前出の2頭は、レースレベルが高いとした以上、当然の強敵。別路線組では、2戦続けて挑戦した芝(皐月賞など)はやっぱりちょっと不向き。ダートに戻ってきた全日本2歳優駿を勝っているビッグロマンス。妙味ある穴馬は、新潟で非常に強い勝ち方をしてきたタマモブラウン(現在、ハードル界で大活躍中タマモグレアーの半弟)としたい。牝馬アイアムアクトレスと、初ダートのアストロロジーが押さえ。