東京ダービー(6月8日 大井 サラ3歳 定量 南関東SI 2000m)
南関東クラシック、その第2弾となる「東京ダービー」。レースの持つ格と位置付け、さまざま変遷をとげてきたが、むろん“ダービー”だから軽くはない。記者思い入れの強いことを1つだけ書く。
この路線が確定したのち、羽田盃→東京ダービー→ジャパンダートダービー、“三冠”に輝いたのは平成13年トーシンブリザードただ1頭。同馬の場合、中間に東京王冠賞(当時クラシック)制覇も含んでいるから、実質“四冠達成”の快挙だった。以後故障に苦しみ(ノド鳴り)イメージを落としたが、それでも4歳時「フェブラリーS=GI」でアグネスデジタルの2着がある。父デュラブで血統的評価が低い中、船橋バトルファイター(7勝)など、ひとまずそれらしい産駒(スピード型)を出した。2年間(06〜08年)だけで種牡馬引退とは何とも寂しい(現在、荒木育成牧場で功労馬として供用)。ダービー馬はダービー馬から…という究極の夢。地方競馬においては、まだまだ遠い話だろうか。
(1)…1番人気。1番人気[4-2-1-3]。絶対の数字ではないものの、着外3はいずれも4着。対して2番人気[0-2-3-5]、3番人気[1-2-3-4]と頼りなく、1人気→薄目が妙味か。
(2)…川崎所属馬。川崎=5勝、2着3。近年川崎がきわめて強い。次いで船橋=4勝、2着2、大井=1勝、2着5。昨年久々の大井ワンツーだが、優勝馬マカニビスティー(JRAから短期移籍?)では意味が薄い。
(3)…実績馬微妙。羽田盃勝ち馬=1、3、1、8、1、3、8、10、3、4着、同2着馬=3、10、2、2、2、8、1、4不1着。ほぼ互角の形勢で逆転も少なくない。別路線・東京湾C勝ち馬も注目でき、アジュディミツオー優勝、マグニフィカ3着。
(4)…末脚勝負。逃げ=3、先行=2、差し=8、追込=7。昨年マカニビスティー、一昨年サイレントスタメンとも、四角12番手から大外一気を決めている。牝馬は出走頭数自体が少ないが過去10年に限ると[0-0-0-3]。
※データ推奨馬
◎ヴェガス…川崎生え抜き、本格派の追い込み馬。クラウンC・2着、羽田盃・3着と一戦ごとに充実中で、イメージは一昨年サイレントスタメンとダブってくる。鞍上・酒井忍騎手は、平成14年、キングセイバーでダービー優勝。
◎クラーベセクレタ 54戸崎
○シングンボス 56御神本
▲ブラックサンダー 56柏木
△キスミープリンス 56的場文
△ヴェガス 56酒井
△ジャクソンライヒ 56本橋
△ゴールドスガ 56今野
ダブルオーセブン 56岩田
ファジュル 56石崎駿
ドラゴンウィスカー 56水野
リアンローズ 54坂井
ナターレ 54吉原
歴史、データ(牝馬微妙)はさておき、今年のクラーベセクレタは、現地方3歳世代、はっきり別格の能力を持っている。3〜4コーナー持ったままひと捲り、最後7馬身差をつけた羽田盃。1800m1分52秒1自体、過去9年(距離変更後)中No.2で、同開催古馬も含め最速の時計だった。2歳時道営にさかのぼり、ダート8戦7勝。唯一不安とされたスタートも、羽田盃に限れば問題なく、なにより、1600(2歳優駿牝馬)→1700(京浜盃)→1800(羽田盃)と距離延びるにつれ、レースぶりに余裕を増した点が頼もしい。一昨年ネフェルメモリー(1番人気=4着)と比較しても、パワー、成長力など明らかに一枚上。互角のスタート、流れに乗った時点でおそらく勝負ありだろう。いい勝ち方で、次走・頂上決戦(ジャパンダートダービー=GI)へつなげたい。
馬券上は、馬単、3連単の相手探し。シングンボスの充実を素直に買う。典型的なパワー型で距離延長とともに真価発揮。前走羽田盃も、道中外々を回る力任せの競馬できっちり2着を確保した。今回町田J(負傷)→御神本Jへ手替わりだが、鞍上の性格からは少し前で競馬をする可能性もある。羽田盃7馬身差をどう詰めるか。牡馬の成長力がここで問われる。▲ブラックサンダーも、同様に、上積み、伸びしろを注目した。重賞初挑戦の羽田盃5着。最後離されたものの、道中積極的なレース運び(2番手)で、たしかな手応えをつかんでいる。
キスミープリンスは、的場文Jと新コンビでどう変わるか。同騎手“東京ダービー未勝利”は、大井・七不思議ともいわれ、それが今回、脈ありかつノンプレッシャー、絶好のパートナーに巡り合った。馬自身は、近況ひと息ながら昨暮れ「全日本2歳優駿=GI」3着。新味を引き出せれば、当然好勝負が期待できる。
以下、データ欄推奨ヴェガスが無欲の追い込み、逆に思い切った逃げでジャクソンライヒ。この2頭は、前者=酒井、後者=本橋、腕を上げた鞍上の手綱さばきにも注目したい。岩田騎手を配したダブルオーセブン(JRA・共同通信杯5着)は、本質ダート不得手とみて狙いを下げた。