10月23日、川崎「ロジータ記念」。ラヴァリーフリッグが接戦を制し、断然の1番人気に応えてみせた。好枠を引いたテイエスハツヒメが快調に飛ばし、1000m通過62秒9。スローになりやすい川崎2100mとしては珍しく淀みない流れで、ラヴァリーはその4番手、しっくり折り合いがついた。3コーナー手前、早めにエンジンをかけた石崎隆騎手。「包まれるのがいやだった。流れもよかったしスムーズに動いてくれた」。直後からスターオブブリッジがすかさず迫り、直線入り口では一騎打ちムード。しかしあと1ハロン、スターは意外に伸びを欠き、むしろその後ろ、大外ブルーマドンナの勢いが素晴らしい。鼻差の決着。いつもながら最後はやはり“重賞ハンターの腕”ということになるのだろう。ラヴァリーの首がゴール板でグイと下がった。2分16秒9は2100mになった過去6年で?1。ひとまず内容にも合格点がつけられる。
ロジータ記念(サラ3歳以上牝馬、別定、2100m重)
○(1)ラヴァリーフリッグ (56・石崎隆) 2分16秒9
▲(2)ブルーマドンナ (54・湯浅) 鼻
(3)アオバコリン (54・佐宗) 11/2
◎(4)スターオブブリッジ (54・森下) 1
△(5)イシノラピド (54・甲斐) 11/2
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△(7)サルサクイーン (56・的場文)
△(8)グリーンヒルレッド (54・今野)
△(13)ベルモントスピネル (54・左海)
単140円 馬複1860円 馬単2040円
3連複28710円 3連単64070円
ラヴァリーフリッグはこれで重賞6勝目。牡馬相手の勲章がないこと、勝ちっぷりに抜けた凄みがないこと。まだ名牝と呼ぶには物足りないが、今回2100mをクリアした事実で、南関東女王の座は完全に確定させた。「次は12月のファストレディー賞(大井)を考えていますが、いまJRAの番組も検討中」と出川克己調教師。陣営に芝挑戦のプランも消えていない。2月に1度使ったクイーン賞(東京1800m)は10着ながらコンマ8秒と小差だった。フットワークが大きく、反応のいい気性は根本的にスピード競馬向きだろう。視野を大きく広げてほしい。
ブルーマドンナは結果大魚を逸したが、春一連の戦績からもようやく真価発揮の一戦だった。ムダのない馬体とバネのきいた脚さばき。可能ならこちらも1度芝コースの走りをみたい。期待したスターオブブリッジは、「直前の追い切りが強すぎたか馬がカリカリしていた」と森下騎手。微妙な体調の揺れは別にして、もう少しゆったりした競馬が理想だろう。父カコイーシーズの上がり馬アオバコリンが健闘。「石崎さんのラヴァリーをマークして乗った」(佐宗騎手)好騎乗で、馬自身もだいぶ力をつけている。イシノラピドは中団からじわりと差を詰めたものの、どこか不完全燃焼というレースぶり。重賞を勝ち切るにはもう一つ思い切った策がほしい。サルサクイーンは久々で勝負どころのGOサインに応えられず終わった。グリーンヒルレッドはまだ実が入りきらない。太めで終いバッタリきたベルモントスピネルは次走の変わり身を期待する。
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少し話は早くなるが、11月4日盛岡「JBCクラシック」展望。さまざまにぎやかな顔ぶれ。それでもプリエミネンスはすでに名牝の評価を確定させた馬だろう。重賞7勝の実績はもちろん、JCダート4着など、強敵相手、しかもあらゆる場面で音をあげない基礎体力と精神力に頭が下がる。個人的にはホクトベガ、ファストフレンド、その中間くらいのランクとみたい。前走札幌・エルムSを楽勝、以後ここ一本に目標を絞ってきた。盛岡コースは前々走マーキュリーC2000m2分6秒4、スナークレイアースを軽く9馬身ちぎっている。
JBCクラシック(サラ3歳以上、定量、2000m)
◎プリエミネンス (55・柴田善)
○トーホウエンペラー (57・菅原勲)
▲トーシンブリザード (57・石崎隆)
△カネツフルーヴ (57・松永幹)
△リージェントブラフ (57・吉田豊)
△アドマイヤドン (55・藤田)
△アルアラン (57・本田)
△バンケーティング (57・畠山)
△が多くなったのは、現時点でトーホウエンペラー、トーシンブリザードがともに出否未定のため。エンペラーは南部杯を強い競馬で勝ち切ったが、本来右回りベターとの判断で中山JCダートとの選択に悩んでいる。外野からみれば2000mなどビクともしないパワーがあり、ここで再び力勝負を期待したいが…。一方ブリザードは帝王賞思わぬ大敗から、以後社台Fで英気を養い、山元トレセンを経由して船橋に帰厩した。南関東4冠、フェブラリーS2着。「自信がなければ出さない」という陣営。出否はぎりぎりになりそうだ。帝王賞馬カネツフルーヴは久々が明らかに不利だろう。さらに大井専用ランナーの懸念も少し。同じ休み明けでもリージェントブラフはパワー優先の馬場に向く。菊花賞帰りのアドマイヤドンも新馬戦を京都ダートで圧勝している。セオリーからは厳しいパターンだが、逆に面白さはもちろんある。
同日「スプリント」は文字通り混戦だろう。ノボジャックに昨年の勢いがなく、取って代わったサウスヴィグラスも大一番を待たずリタイアした。
◎ココモキング (55・柴田善)
○スターリングローズ (57・福永)
▲ヤマカツスズラン (55・池添)
△アインアイン (55・市村)
△ノボトゥルー (57・武豊)
△ノボジャック (57・蛯名)
ココモキングはダート[3-1-0-0]の3歳馬。前走中山1200m1分11秒2は正直条件レベルだが、だいぶ時計のかかりそうな盛岡コース。とにかく一連のレースぶりにパワーと勢いがあふれている。父チェローキーランはブラッシンググルーム系でBCスプリント勝ち馬。ここでいきなり大仕事をイメージした。対してスターリングローズは前走あっけなく沈んだ盛岡コースで巻き返しなるのかどうか。ともあれ距離短縮は歓迎だろう。地方実績のないヤマカツスズランだが、本来大駆けタイプで魅力は残る。今のノボ2頭なら、アインアインにも逆転が描けそうだ。
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かちどき賞(大井10月31日、サラ3歳以上、別定、2000m)
◎プリンシパルリバー (石崎隆)
○オンユアマーク (鷹見)
▲コアレスハンター (的場文)
△スタートザウェイ (山田信)
△カミスドリーム (秋田)
△ピーエムタッチ (佐藤祐)
プリンシパルリバーは、この中間、トーシンブリザードとともに山元トレセンで鋭意調整されてきた。細身で本来仕上がり早。今年の3歳馬レベルからも、この程度の古馬なら一蹴が期待できる。前走JCダービー3着時、すでに2000m2分5秒5(ex金盃インテリパワー=6秒4)。夏を越して馬体とレースぶりがどう変わるか。再び臨む統一Gへの青写真もここではっきりするだろう。ようやく適距離で走れるオンユアマーク、久々ながら底をみせない快速馬コアレスハンターが当面の相手。デキのよさでスタートザウェイ、カミスドリーム。