記念すべき新設重賞・優駿スプリント。クラシックを賑わせた面々は、ジャパンダートダービーに向けて調整中や夏休みに入ったりしたために、ここは大混戦のメンバー構成となりました。どの馬が勝ってもおかしくないだけに、各陣営とも力が入ります。
そんな中で、実績でトップなのは、東京湾カップ2着のリバーキンタロー(船橋・山本厩舎)。そもそも短距離での実績もあり、戦ってきた相手が違うという意味でも期待が高まります。
が、東京ダービー(15着)からの巻き返しをはかることになり、ここまでの疲れも気になります。
山本調教師も「まだ疲れは抜けきっていないなぁ」と控え目ではあったんですが、それでもレース直後に比べるとここにきてググッと良化はしてきているようです。
あとは地力の高さでどこまで頑張れるでしょうか。この中間は新コンビとなる森泰斗騎手がつきっきりで調教をつけてきたそうです。
ゴーディー(大井・赤嶺厩舎)も実績なら負けてはいませんね。重賞でも見せ場を作って活躍してきました。
そして何より、血筋にはアラブの魔女と称されたイナリトウザイがいて、アラブの名馬が勢ぞろいしているのも、アラブファンにはたまらないでしょう。「スピードもあるし丈夫な馬ですよ。昔はチャカチャカしていたけど、今は無駄な力を使わなくなりましたね」(貞廣厩務員)
こちらも新コンビとなる的場文男騎手がつきっきりで調教をつけてきたそうです。この中間は疲れを残さないように気をつけてきたそうで維持はできているようですよ。
あとは展開が鍵を握ります。「仕掛けてまでハナにこだわる必要はないけど、スーッと馬なりで先行できればチャンスはある」と赤嶺調教師はキッパリ。
ここまでは能力の高さで長めの距離もこなしてきたと思うので、持ち味が生きると見られる短距離戦での変わり身が楽しみです。
小林牧場勢(大井所属)も魅力的なメンバーがラインナップ。
セントマーチ(アートブライアンの半弟)とオリークックを送り出す荒山調教師は「(セントマーチは)能力は高いと思ってきた。やっとまたいい頃に戻っていて、前走もB1くらいの時計で勝っているし、まだ粗削りで掛かる面もあるから短い所はいいと思う。(オリークックは)前回は後ろから行くのは予想通りで、泥んこ馬場でも頭を上げずにかぶりながら突き進んだよね。3歳戦と違ってBクラスになるとペースも違うし、いろんな意味で収穫だった」と話しています。
なお、セントマーチはここ2戦ともゲートで尾っぽを取るようになってからスタートが決まっています。オリークックは前回から砂よけで着けているシャドーロールを引き続き着用予定です。
同じく小林牧場からはミヤサンキューティとアールルイスが登場。いつも2頭の調教もつけている鈴木啓調教師は「(ミヤサンキューティは)能力は高いけどまだこれからの馬なので今回は胸を借りるつもり。(アールルイスは)悔いのない仕上がりができたし、獣医さんも『今までで一番』と言ってくれている。競馬をやめずに走ってくれれば」
船橋の岡林厩舎はリアライズブラボーとリアライズペガサスの2頭を送り出します。
「(ブラボーは)実践タイプで、右回りも問題はない。(ペガサスは)気難しい馬だから自分の力さえ出してくれれば」と岡林調教師。
大トリはロードガバナンス(船橋・佐藤厚厩舎)。大井スプリント戦2連勝中で、非常に楽しみな1頭です。
テンのスピードは一級品でここまで楽に先手を取っていますが、厩舎サイドの話しでは、あくまでもスタートの良さとスピードの違いで逃げているだけで、ムキになって行く馬ではないので好位からでも競馬はできるとのこと。
担当はトーシンブリザードを手掛けたことでも知られる大和田厩務員です。「普段はあまり派手さはないけど、速い所を走らせて変わるのはトーシンと似ている。(ロードガバナンスも)利口だし力もあって心臓もいいよ」と非常に楽しみにしている様子でした。
鞍上の庄司大輔騎手にとっても最大のチャンスを迎えましたね。「前回はこの重賞に向けたレースをしましたが、まだ余裕はありました。ゲートの中まで大人しくて、開いてからスイッチが入る本当に賢い馬なんですよ。気持ちよく走らせてあげたいです」(庄司騎手)
間隔をつめて使った方がいいタイプのようなので(3走前の浦和ではパッタリ止まってしまいました)、この中間は大井に輸送をかけて追い切りを行うなどして対応しています。
父ロードマップは南関東出身馬で、初年度産駒たった1頭の中からこの愛息を送り出しました。これも地方競馬の面白いところです。