スパーキングレディーカップ(7月6日 川崎 サラ3歳以上牝馬 別定 JpnIII 1600m)
「スパーキングレディーカップ」は、平成10年から交流GIII移行。翌11年ファストフレンドを皮切りに、プリエミネンス、レマーズガール、トーセンジョウオー、さらにラヴェリータ、夏競馬らしく、おおむねタフでしたたかなタイプが勝ってきた。
サブタイトルに“ホクトベガメモリアル”とあるから少し付け足す。同馬は南関東4場、すべて重賞勝ち=グランドスラムを達成したが、とりわけ川崎は相性がよく、5〜6歳時「エンプレス杯」、6〜7歳時「川崎記念」、それぞれ2勝ずつをあげている。
ことごとく3〜4コーナー、押さえきれない勢いでエンジンがかかり、直線後続を大きくちぎった。名馬、名牝…そんな柔らかな言葉では形容できない。ひとこと猛女というレースぶり。当時記者は“暴力的な強さ”、悔しさも手伝ってそう書いたことを思い出す(ヒカリルーファスもコンサートボーイもちぎられた)。
好事魔多し……。97年4月3日、遠征したドバイの地で星になってしまうのだが(故障・予後不良)、今思うと、これは大きな無念であり不幸だった。無事に母となっていたら、いったいどんな仔が現われたか。担当厩務員・藤井浩さんのコメントを読んだことがある。性格自体はやさしく、人なつっこい馬だったそうだ。
(1)…おおむね順当。1番人気[3-4-1-2]、2番人気[2-2-3-3]、3番人気[4-0-1-5]。連対20頭中、15頭までを1〜3番人気が占めている。昨年は人気通りのワンツースリー。
(2)…JRA断然。JRA=8勝、2着7回、このワンツーが6度ある。次いで船橋=2勝、2着1回。リピーターが強く、ラヴェリータの他に、レマーズガール、トーセンジョウオーが2勝している。
(3)…新鋭注目。4歳=5勝、2着4回と大きくリード。3歳馬もレマーズガール、ラヴェリータが優勝、グレイスティアラが2着だから悪くない。6歳馬は案外不振で、それなら2勝、2着1回の7歳馬。
(4)…好位差し。逃げ=4、先行=4、差し=10、追込み=2。好位〜中団からの差しが主流だが、先手をとった馬にもチャンスがある。ジョッキーでは、武豊、岩田両騎手が2勝ずつ。
※データ推奨馬
◎アイアムアクトレス…ダート4戦4勝の3歳馬。ユニコーンSは牡馬相手、堂々たる差し切りで、千六1分36秒2の時計も昨年バーディバーディ(36秒4)を凌いでいる。別定53キロが何とも有利。
◎09.ラヴェリータ 58武豊
○08.アイアムアクトレス 53秋山
▲10.トーホウドルチェ 56幸
△02.テイエムヨカドー 55森
△07.ツクシヒメ 55山田信
△05.リアライズノユメ 52福永
△01.スズリスペクト 55江川
06.トウホクビジン 55本橋
南関東側の伏兵と目されていたハーミア、プリマビスティーが直前回避。ごく常識的な比較からは“JRAに馬場を貸すだけ…”という顔ぶれになってしまった。ただ今回の場合、1つ大きな焦点、見どころが残っている。ダート女王の座をほぼ不動にした5歳ラヴェリータに、GIIIユニコーンS含むダート4戦4勝、3歳アイアムアクトレスが挑戦する。ダート牝馬GがないJRAでは実現しなかった(少なくとも今季は)対決。前者5キロ=後者53キロも、イメージ上は絶妙な斤量差といえるだろう。
ラヴェリータは前述通り牝馬G5勝のダート女王。気分よく流れに乗れれば牡馬一線級にもヒケをとらず、それが今季「かしわ記念」2着で改めて証明された。フリオーソを果敢に先導、最後競り負けたもののエスポワールシチー完封。同じこのレース2勝でも、レマーズガール、トーセンジョウオーとは明らかにレベルが違う。前走「さきたま杯」5着は不覚だが、忙しい浦和千四に戸惑い終始ちぐはぐ。上がり37秒7なら評価が下がる負けでもない。昨年57キロで3馬身差圧勝。多少の斤量には動じないタイプと判断する。
とはいえアイアムアクトレスの「ユニコーンS」もインパクトが強かった。道中反応よく2〜3番手。直線馬込みを縫うように抜け出した瞬発力、ガッツなど並みではない。3歳春当時のラヴェリータ、こと完成度というなら互角以上。父アグネスタキオン、異色(ダートマイル向き)にして最後の傑作という資質も感じる。このケース、一騎打ち、逆転まで持ち込めるかどうか、キャリアを含め微妙だが、自身ベスト千六を選択して恵量53キロ。陣営はさまざま追い風の状況を整えきった。
馬券をどう買うか難しい。トーホウドルチェは昨春「マリーンカップ」でラヴェリータを差し返した。3連単、“当てにいく”とすれば、9→8→10、9→10→8、オッズと相談してどう絞るか。記者自身は、スズリスペクト(しらさぎ賞3着)に大駆けムードを感じ、同馬からみの3連勝、ワイドあたりをマークする。