競馬ファンの楽しみは、さまざまな方向に変化したり広がりながら、このG1シリーズにはあふれるようにいっぱいある。
Aランクの、それも超Aランクの出頭を望み、そういうA級馬の対決を期待する。かと思えば、いつかそのA級馬を倒す挑戦者になっていたりする。
超良血馬、無敗、武豊、伊藤雄二。ファインモーションは超Aランクの馬に育つ可能性を持つと同時に、いつかは倒す側に回らねばなるまい、と考えるファンも多いだろう。
5戦全勝。ほとんど馬なりの状態で独走の連続。しかし、まだ若い3歳馬。全面的には信頼できない面はあるものの、もっと強くなってどんどん連勝記録を伸ばして欲しい。いつか敵に回し、挑戦のしがいがありすぎるほどのA級馬になって欲しいものだ。
競馬ファンの、隠している本当の喜びは、だれもが認めるA級馬を、いつかは伏兵の側に回って打ち倒すことにある。
今回は相手探しで大丈夫だろう。いまから打ち倒す側に回る手もあるが、こんなところで負けては興ざめしてしまう。
武豊騎手は、たとえば岡部騎手などの流儀とちがって、G1になると厳しいレースをする。脚を余さない。先行馬をかわいがるような情けはみせない。だから世界で通用する。
単騎逃げのユウキャラットは、こういうレースの穴馬のパターンAだが、武豊騎手は見逃してくれそうにない。本線ではない。
直線一気。昨年、2分11秒2のレースレコードタイ記録で2着し、上がり33秒4をマークしたローズバドが本線。この馬、相手を絞ってなまじ脚を使うより、自身の爆発力だけにかけるレースが合っている。それで届かなくても仕方なし。その形の方がいい。
ダイヤモンドビコーは5走前、ペリエ騎手が乗ったらまるで別馬のように、タイレコードでぶっちぎりだった。ダイヤモンドビコーを嫌う手はまったくない。