栗東トレセンは、毎日35度を超える猛暑。
こんな暑い夏は、牝馬は強いと言われていますよね。実はアイビスサマーダッシュも、過去10年で牝馬が8勝、2着3回と大活躍しているんですよ。
と言うわけで、アイビスサマーダッシュは牝馬だ! と、狙いをつけたのはエーシンヴァーゴウ。初の直線競馬だった前走のエミエールSでは、大外から猛烈な勢いで先行し、後続を振り切りました。まさに、直線競馬の申し子現る! って感じでしたよね。
そのヴァーゴウのレース前にした今週の追い切には、ユーイチが跨って坂路へ。タイムは50.1-36.6-24.3-12.3秒で、なかなかの動きでしたね。
この内容に高田助手は「歩様の乱れもなく、安定した走りをしていましたね。ユーイチも、いい動きをしていたし、手応えもよかったと言ってくれました」と満足そう。
たしかに、曳き運動中のエーシンヴァーゴウを見ると、踏み込みがいいんですよ。シャカシャカと音を出して歩き、筋肉質な馬体であることをアピールしていました。
鞍上を任されるユーイチは牝馬との相性がいいですから、楽しみな一戦となりそうですね。
さて、強~い牝馬が相手ではありますが、牡馬だって負けてはいられません。特に西園厩舎のヘッドライナーは初の新潟1000m挑戦とはいえ、短距離巧者してのプライドあります。
ヘッドライナーの追い切りを終えたばかりの幸騎手の元へ、駆け込むように「状態どうでしたか?」と聞きに行きました。
「常ちゃんにかかると、一息入れる暇もないな~」と苦笑いしながらも「先週、坂路でビッシリやったから、今日は息を整える程度。いい動きをしていたよ」と話をしてくれました。
また、レースの作戦もチョコっと教えてもらっちゃいましたよ~。
「テンションの高い馬だから、平常心でゲートから出られるかが勝負の鍵だよね。それに、ガンガン行くタイプでもないから、終いの脚をしっかり溜めておかないと。まあ、そのあたりが難しいんだけどね。前々走のテレビ愛知OPでは、59kgのトップ斤量を背負いながら、逃げ切ってくれた。あのスピードは健在だから、今回ももまれないようにハナを切って行きたいね」(幸騎手)
これは! ヘッドライナーとヴァーゴウの先頭争いが見られる!? ワクワクしますね。
ちなみに、幸騎手曰く「1000mの直線競馬は騎手泣かせ」なんだそうです。それは、息入れのタイミングが難しいからなんですね~。
どんな馬でも、1000mを一気に走り抜くことはできません。通常はコーナーなどで息入れのタイミングを図っていますが、直線でそれは無理! というわけで、どこで馬に一息入れさせるかが騎手の腕の見せ所となるわけです。
また、馬を真っ直ぐ走らせることも、なかなか難しいんですよ。馬の習性を考えると、ラチ沿いの方が走りやすいんです。
直線競馬は人間で言えば、100mダッシュといったところ。そこで、全力で走りきるための集中力も必要なんだそうです。そのために、騎手は鞍上で馬のやる気をおこさせるようにしているんだとか。
直線競馬って、職人的な技術が必要なレースなんですよね。
さて、幸さんにお話を聞いた後は、西園厩舎へお邪魔。馬房でくつろぐヘッドライナーは、朝の一仕事を終え、すっかり自分モードでした。
担当の鈴木助手はその様子を見ながら、「厩舎では大人しいんだけどね、競馬に行くとテンションが上がって2人曳きをするほどなんですよ」としみじみ。
そして、「ここまで無事にこられたのが一番だよ。新潟は暑いから、暑さ対策を考えます」と話してくれました。
その暑さも何のその。シャウトラインは3年連続で、夏の名物レースに出場です。
すでに7歳ですが、その馬体は黒光りしてツヤツヤなんですよ。「いい馬体ですね」と言うと、担当の新城助手はニッコリ。
状態について聞くと「追い切りは、やりすぎないように坂路をサッと流した程度なんです。ちょっと、精神的にピリピリしたところのある馬なんでね。でも、経験豊富だから、どんな競馬もできるでしょう? それに、自慢のスピードは今も健在。頼もしいですよ」とのこと。
ちなみに、ここ2走はシャドウロールとブリンカーを付けて好成績ということで「今回も付けていきます」とのことでした。
そんな話をしていると、「バンバン!」と壁を蹴る音が!! 入厩したての2歳馬君たちです。う~ん、活きがよさそうですね。その中で気になったのはウォーレンバローズ(父フジキセキ)という鹿毛の牡馬。
いい馬なので聞いてみると「角田先生もホレ込んでいる」とのことでした。これは、デビューが楽しみですね。
もう、今週はアイビスサマーダッシュにメイクデビューにと楽しみなレースが盛りだくさんで困っちゃいますね~。みなさんも、暑さ対策をしっかりして、競馬場へお出かけください! プチ森林浴気分が味わえますよ~。