2004年に種牡馬入りしたシンボリクリスエスのシンジケート額は、19億5000万円(1株3250万円×60口)。この時代に日本で走った馬としては、ナリタブライアン(20億7000万円)に次ぐ史上2番目の高額だった。
これは、翌年種牡馬入りするキングカメハメハ(21億円)、さらにその2年後に種牡馬入りするディープインパクト(51億円)に抜かれることになるが、高額シンジケートであったことには変わりない。
引退レースの有馬記念で、同レース史上最大着差の9馬身差をつけてレコードで快勝。さらに2年連続の年度代表馬。シンボリクリスエスの持つ数々の勲章は、それにふさわしいものだった。
確かに2007年に産駒がデビューするや、産駒が18勝を挙げ、いきなりJRAの2歳新種牡馬チャンピオンに。翌2008年春のクラシックシーズンを迎えると、ダンツキッスイ(アーリントンC)、ソーマジック(桜花賞3着)らが相次いで活躍。ダート部門ではサクセスブロッケンが非凡な走りを見せた。
5世代目になる今年の2歳馬は、この2008年の種付けで翌年生まれた馬たちだ。当然ながら、サンデーの血を受けたエース級の牝馬が数多く集まっている。
一方、シンボリクリスエスは3世代目が2歳戦でデビューした2009年には、早くも種牡馬ランキングで3位に浮上。サクセスブロッケン、アプレザンレーヴ、サンカルロらが重賞を勝ったのがこの年だった。
2010年はアリゼオ、パワーストラグルが重賞を勝った程度だが、それでも4位に踏みとどまっている。その秘密は、重賞勝ち予備軍ともいうべき準オープン級の層の厚さにあったと言えるだろう。
だが、今年はそのデビュー当時の勢いが消え、種牡馬ランキングで6位と低迷。始まったばかりの2歳戦でも、良血馬のサトノプレジデント(母は桜花賞馬ダンスインザムード)が、1番人気で大こけしてしまった。
このまま終わってしまうのか、それとも秋になって血統馬の本格デビューとともに、再び活況を取り戻すのか。いずれにしても、今後のシンボリクリスエスの命運は、今年の2歳世代が大きな鍵を握っている。