スプリンターズＳがＧ?になって２３年目。時が経つのは早いね。
実質第一回はバンブーメモリーの鮮やかな差し切りだったが、一方でパッシングショットの世紀の出遅れも印象に残った。
皆さんはどのスプリンターズＳが印象深いだろうか？私はＧ?２年目のダイイチルビーが勝ったスプリンターズＳが一番印象に残っている。
このレースは余りに明暗がくっきりで、衝撃を覚えた人も多いのではなかろうか？故障したケイエスミラクルをかわして勝ったダイイチルビーの河内騎手（当時）も鮮やかだったが、故障したケイエスミラクルも逆の意味で衝撃的だった。最後の直線、先頭に立ったところで左第一趾骨粉砕骨折。左後肢が地面に着かない状態で馬運車に乗せられて行く彼の姿に涙した人も多いと思う。
最期も衝撃的だったが、彼のスピードも鮮やかで衝撃的だったし、生い立ちもしかり。デビュー前に脳炎を起こし、脚も痛めてデビューした事が奇跡で、ミラクルと名付けられたのも有名である。
メイショウサムソン（後期）の高橋成忠厩舎に所属。体質が弱くデビューが遅れたが、条件戦を含めレコード勝ち３回。ただ大事に使うこの厩舎には珍しく最後のローテーションが詰まってしまったのが悔やまれる。河内騎手はこの馬が故障するのを予測していたのかもしれない。
この馬がもし種牡馬になっていたら、その後のスプリント界の勢力図も変わっていただろう。日本馬が今年も香港で、英国で、勝ちまくっていたかもしれない。
すべてそうかもしれないが、競馬にも光と影が有る。順番も巡る。しかし、余りにも明と暗の違い鮮やか過ぎると、心が晴れない。勝ったり、負けたりを長く続ける事が一番の幸せかもしれない。
今年のスプリンターズSは昨年の同レースや春の高松宮杯と変わり映えしない、フレッシュな馬が少ない。でも出走し続ける彼らは幸せだし、何度も観戦出来る我々はもっと幸せなのだろう。
ケイエスミラクルの分まで、各馬無事にゴールする事を願うばかりだ。