●オメガエンブレム(牝 美浦・古賀慎明 父ウォーエンブレム、母オメガグレイス)
母オメガグレイスはオークス馬エリンコートの4分の3姉にあたる良血で、現役時代に5勝を挙げて準OPまで出世した。2代母エリンバードは伊1000ギニー(G2)の勝ち馬で、ブリーダーズCディスタフ(米G1)では4着と健闘している。「ウォーエンブレム×サンデーサイレンス」の組み合わせは、JRAでデビューしたわずか10頭からキングスエンブレム(10年シリウスS-GIII)、エアパスカル(08年チューリップ賞-GIII)などが出ており成功している。芝とダート、どちらもこなせそうだ。1600〜2000mがベストだろう。
●シルクキングリー(牡 栗東・岡田稲男 父ディープインパクト、母ステイトリースター)
全兄メイショウクロガネは現在1勝馬。母の父Deputy Ministerはダート向きのパワーに定評がある。Deputy Ministerの息子フレンチデピュティはディープインパクトと相性がよく、ボレアス(11年ジャパンダートダービー-GI・2着)、メデタシ(11年桜花賞-GI・4着)などの活躍馬が誕生している。本馬はこのほかに Pocahontas≒Fast Turn 5×5などを持ち、配合的に見どころがある。母方のパワーが目立つのでダートのほうがよく、うまくいけばボレアスのような存在になれるかもしれない。
●シーマリア(牝 栗東・清水久詞 父キングカメハメハ、母グレースバニヤン)
母グレースバニヤンは1勝馬で、その半弟にミッキーチアフル(07年京王杯2歳S-GII・5着)がいる。3代母Kartajanaはアガ・カーン四世殿下の生産馬で、ガネー賞(仏G1)、バイエリシェスツフトレネン(独G1)などを勝ったスタミナタイプ。底力とスタミナを伝える牝系だ。「キングカメハメハ×サンデーサイレンス+Nijinsky」という配合構造は、ショウリュウムーン(10年チューリップ賞-GIII、11年京都牝馬S-GIII)、カフナ(11年ラジオNIKKEI賞-GII・3着)、エオリアンハープ(09年フローラS-GII・5着)、カネトシディオス(10年シンザン記念-GIII・5着)など成功例が多い。マイル以上で本領を発揮する芝馬だろう。
●ダノンドリーム(牡 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母オールザウェイベイビー)
朝日杯フューチュリティS(GI)を勝ったゴスホークケン(父Bernstein)の半弟。同馬の父BernsteinはStorm Cat系のパワー型スピードタイプで、本馬の父ディープインパクトは芝向きの中距離タイプ。まったく違ったものを表現するだろう。ディープインパクトはラストタイクーンと相性がよく、この組み合わせを持つわずか3頭からマルセリーナ(11年桜花賞-GI)、ターゲットマシン(11年ラジオNIKKEI賞-GIII・4着)を出した。ラストタイクーンの父トライマイベストにはLa Troienne牝系の凝縮があり、これがディープインパクトとの関係のキーポイントではないかと思われる。本馬はトライマイベストの全弟El Gran Senor(84年英2000ギニー-G1、84年愛ダービー-G1)を持つので配合の骨格はしっかりしている。さらにKris S.、Key to the Mint、Cyaneといった底力のある血を抱えているので大レース向きの大物感もある。あえて不安点を挙げるとすれば、母の父Grand Slamが早熟で成長力に乏しいタイプであること。この点さえ問題なければ評判どおりの活躍が期待できるだろう。2歳戦ではとくに強いはず。
●レッドコースト(牡 美浦・藤沢和雄 父Cape Cross、母Rosie's Posy)
半姉Dubawi Heightsはイギリスで芽が出なかったもののアメリカに移籍して大成功、今年の春にゲイムリーS(米G1)、ウィルシャーS(米G3)を制した。夏から秋にかけてさらにタイトルを増やしそうな雰囲気。このほか、母Rosie's Posyの半弟にTante Rose(04年スプリントC-英G1)、2代母My Branchは英G1で2着するなど、このファミリーはなかなか活気がある。父Cape CrossはSea the StarsやOuija Boardなどヨーロッパでは多くの名馬を送り出しているが、日本では輸入された産駒がほとんど成果を残していない。この点がやや引っ掛かるものの、血統的には申し分ないポテンシャルを秘めているので楽しみ。芝向きのマイラー。