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うらかわ馬フェスタ2011

  • 2011年08月03日(水) 18時00分
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 昨年、口蹄疫の影響により中止された「うらかわ馬フェスタ2011」が、去る7月30日(土)、31日(日)の両日にわたり、JRA日高育成牧場内の特設会場で賑やかに開催された。

 今回で26回目となる「シンザンフェスティバル」と同じく、通算45回目を迎える「浦河競馬祭」が合体して7月最終土日に同時開催するようになったのは2006年のことだ。それまで10月第1日曜日に開催していた浦河競馬祭の方が大幅に日程を譲歩することで合同開催が実現したわけである。

 まずシンザンフェスティバル。30日の夕刻、多くの来場者がつめかけた特設会場では、ステージ上で第25代ミスシンザン2人の発表が行われた。

新たに選ばれたミスシンザン

 一昨年より2年間の任期を無事に終えた平野唯さんから、新しく選出された渋谷千尋さん(21歳)と、真下恵さん(25歳)に花束が手渡され、この2人は来年1月の京都競馬場で行われる「シンザン記念」の表彰式に花を添える予定である。

 ミスシンザンの発表に続いてステージ上では過去2年間(昨年の中止により)に浦河町内で生産されたGI競走優勝馬の表彰式が行われた。

 近年、GIというと社台グループの生産馬が圧倒的に強く、そのあおりを受けて浦河産馬もまた苦戦を強いられている。過去2年の間には、それでもジャガーメイル(2010年天皇賞・春、アイオイファーム生産)、サクセスブロッケン(2009年東京大賞典=統一GI、谷川牧場生産)、エルドラド(2009年シンガポールゴールドC、高野牧場)の3頭が国内外で活躍しGI競走を制覇した。

 会場に設置された大型スクリーンにレース映像が流され、HTBの漣彰人アナウンサーが各生産牧場の代表者にインタビューをする。その後記念品が中島雅春シンザンフェスティバル実行委員長より授与された。

表彰牧場の方たち

 この日のメーンは恒例の「馬上結婚式」である。全国より多数の応募があった中より、今年は吾田一也さん・祐子さんと、保坂公一さん・智惠美さんの2組が選出された。

 吾田さんご夫妻は、宮城県山元町で東日本大震災に遭い、震災翌日に予定されていた結婚式ができなくなったという辛い経験をしている。今回は日刊スポーツ社会面に掲載されていた記事でこの馬上結婚式のことを知り応募したという。

 また保坂さん夫妻は大の競馬好きで、こちらは週刊「ギャロップ」誌上の拙コラムを読み応募した由で、自己紹介を兼ねた文面は競馬にまつわるエピソードが満載されており、晴れて「当選」となった。

幸せそうな新郎新婦

 夕闇迫る頃、JRAの儀仗馬車に乗った新郎新婦が会場内に姿を現すと、場内から盛んに歓声が湧いた。野外の結婚式は数あれど、馬車で入場できるこの馬上結婚式は全国的にもかなり珍しい演出のはずで、毎回人気が高い。両夫妻ともども感激の面持ちであった。

 この後は競馬グッズチャリティオークションなどが行われ、午後9時には初日のメニューを消化した。

 2日目は浦河競馬祭。近年、軽種馬やドサンコ、トロッターなどの出走が少なくなっており、それに代わってポニーの競馬が盛り上がりを見せている。

 一昨年よりこの浦河競馬祭で、来る11月6日に東京競馬場で開催予定の「第3回ジョッキーベイビーズ」北海道予選が行われており、それにより、ポニー競馬は俄然注目を集めることになった。

 今年は予選1(直線200m)と2(直線350m)の2レースによるポイント制が導入された。それぞれ9頭が出走し、予選1は終始内ラチ沿いを進んだレグルス号騎乗の木村和士君(浦河小学校6年)が15秒16で優勝。僅差の2着は外側から伸びたメルモチャン騎乗の大池悠梨香さん(浦河第2中学校1年)。3着はガンバレタロークン騎乗の大池駿和君。

 この時点で、木村和士君が10点、大池悠梨香さんが4点、大池駿和君が3点のポイントを獲得した。

 軽種馬の予選や繋駕競走などを挟んで約2時間後に、予選2が行われた。このレースは距離が350mに延長され、配点もまた1とは少し異なり1着には16点、2着7点、3着5点となっている。

 予選2と同じく、レグルス号木村和士君とメルモチャン大池悠梨香さんの一騎打ちとなり、レース半ばからはほとんど馬体がぶつかり合うほどのマッチレースが展開した。

熾烈なデッドヒート

 こちらは首差でメルモチャン騎乗の大池悠梨香さんが木村和士君を抑えゴールイン。合計ポイントは大池さん20点(4点+16点)、木村君17点(10点+7点)という結果で、この2人がジョッキーベイビーズ北海道代表として東京に遠征することになった。ちなみに木村和士君は一昨年、第1回ジョッキーベイビーズを制した木村拓己君の弟である。

 初日同様に2日目もまずまずの好天に恵まれ、会場には親子連れなどが多数来場し、無料乗馬や無料馬車、キャラクターショーやJRAホースイベントなどを楽しんだ。

 夏のこの時期に2つのイベントが合同開催されるようになったが、ひとつ気がかりなのは、浦河競馬祭に出走する人馬が年々減少しつつある点だ。前述したように、トロッターやドサンコ、軽種馬など、従来この浦河競馬祭で主役を務めていた馬たちが激減しつつある。

 最終12レースの「シンザングランプリ」は距離2500mの軽種馬決勝となっているが、今年はわずかに3頭が出走しただけ。かつては民間の育成牧場などから多くの軽種馬が参戦してきたものだが、近年、夏のこの時期に移行してからは厳しい状況が続いている。出走馬確保が来年以降の大きな課題となるだろう。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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