黒潮盃(8月16日 大井 サラ3歳地方競馬交流 別定 南関東S3 1800m)
「黒潮盃」は今年第45回目。かつては羽田盃・直前TRを荷った(第1回=ヒカルタカイ)伝統レースで、その優勝馬、カツアール、ホスピタリテイ、チヤンピオンスター、さらにブルーファミリー、ジョージタイセイなどビッグネームがずらりと並ぶ。が、平成11年、南関東3冠クラシック体系変更とともに3月→8月へ施行時季移行、位置付けは“クラシック・敗者復活戦"に落ち着いた。
それでも17年から“地方競馬交流”の条件が加えられたことは一つ英断といえるだろう。19年、笠松マルヨフェニックス優勝、以後21年カラテチョップ3着、22年ロックハンドスター5着など、他の交流戦(地方)と較べても善戦、健闘が目立っている。とりわけ今年は、道営、東海、岩手、兵庫、地区No.1と目される馬が4頭登場。馬券的興味も含めさまざま面白いレースになった。
(1)…上位拮抗。1人気〔3-2-2-3〕、2人気〔2-1-2-5〕、3人気〔1-0-0-9〕。
総体的に波乱含みで、そもそも人気自体が例年割れる。昨年1人気ツルオカオウジ優勝ながら単勝3.4倍。
(2)…大井VS船橋。大井=4勝、2着5、船橋=4勝、2着4。
2場所優勢だが、近年は船橋リードの流れにある。他は川崎1勝(2着1)、笠松1勝。初コースの馬にもチャンスが残る。
(3)…牝馬、他地区馬注意。牝馬〔1-1-2-8〕、他地区馬〔1-0-1-17〕。
アベレージは高くもないが、牝馬ツクシヒメ優勝、前述マルヨフェニックス(笠松)優勝だから、馬券的妙味は大きい。
(4)…パワー優先。逃げ=1、先行=6、差し=9、追込み=4。
末脚勝負の馬力型に分があり、同時にクラシック経験馬(連対20頭中12頭)が強みをみせる。とりわけJDダービー出走馬が8頭連対。
※データ推奨馬
▲ミサキティンバー…このレースに縁がある東海所属馬。当地2冠「駿蹄賞」を勝ち「東海ダービー」2着だから実績はヒケをとらない。前走「JDダービー」10着は出遅れを直線じわりと伸びたもの。ティンバーカントリー×ピルサドスキーの血統背景。いかにも混戦向きの感触がある。
☆ ☆
◎ハルサンサン 54御神本
○オオエライジン 57木村健
▲ブラックサンダー 56柏木
△セントマーチ 56的場文
△ファジュル 56石崎駿
△ピエールガルダン 57宮崎光
△ミサキティンパー 57竹下
ベストマイヒーロー 57菅原勲
ドラゴンウィスカー 58水野
ラカンパーナ 54繁田
冒頭に記した通り、さまざま狙い方がありそうだ。ただ地方馬同士、かつての「ダービーグランプリ」(岩手・水沢競馬場で実施)、そんなイメージで比較すれば、兵庫・オオエライジンが今回勝ち馬にふさわしい。すべてワンサイド7戦7勝。それも前走「兵庫ダービー」1分58秒6は、同条件交流GII「兵庫CS」、ゴールデンチケット、バーディバーディ、さらにエーシンブランを大きく凌ぐ。前走除外、初遠征。記者自身同馬を肉眼で見ていないぶんどうにも迷うが、中間猛追い切りを消化した経緯からは自信の登場。スピードで圧勝の可能性も、まず前提として考えたい。
◎ハルサンサンとした。現地方3歳世代は基本的に牝馬優勢。中で同馬は、レースぶりのインパクトなど、No.1クラーベセクレタに肉薄するものがある。デビュー2歳時4戦3勝、とりわけ致命的な出遅れを直線一気に逆転した「千鳥特別」はまさしく息をのむ切れ味だった。以後故障もあり牝クラシックは万全で臨めなかったが、それでも「プリンセス賞」、「関東オークス」4、4着と踏ん張った芯の強さ。前走川崎千五「スターライト賞」、マイペースで逃げたイケノナインをねじ伏せた内容からは完全復調と言い切れる。恵量54kg、コンビ3戦目、手の内に入れた御神本J。100%全開なら牡馬相手でも差し切りが十分浮かぶ。
南関東牡馬クラシック路線では、「JCダート」5着ブラックサンダー、「東京ダービー」5着ファジュルが当然有力。ただ両馬とも精神面でまだ甘く、流れひとつ、位置取りひとつで結果が揺れる。デュランダル産駒、「優駿スプリント」2着セントマーチも魅力があるが、今回千二→千八と条件が変わり、道中うまく折り合いがつくかどうか。こちらも気性、レースぶりなど、現時点では粗削りだ。ミサキティンバー(東海)、ピエールガルダン(道営)、ベストマイヒーロー(岩手)、遠征馬3頭では、勢いと千八適性でピエールに可能性を感じる。父カコイーシーズ、いかにも今が成長期だ。