真夏の地方交流戦古馬重賞のスパーキングサマーカップ(SIII)。つい先日の3歳馬による黒潮盃(SII)は、兵庫のオオエライジンが南関東勢を下して優勝したばかりです。地方競馬全体を考えると各地からスターホースが出現するのは非常に大切なことなので、他地区勢の奮闘も期待したいです。
今回は高知の大将グランシュヴァリエ(高知・雑賀正厩舎)が参戦してきます。前走のマーキュリーカップ(JpnIII)は地方馬最先着の4着に入り、遡ると、中央から高知に転厩したばかりだった川崎遠征の10報知オールスターカップはいきなり2着に入るなど、力のある面は存分に発揮してきました。しかしそれでも、「この馬の最高の状態は未知です」と雑賀調教師は言っていて、まだ何か隠し持っているようです。
この中間は高知競馬場で調整を続けてきたそうで、「この馬にとってどういう仕上げが一番いいのかはまだ模索中なので、今回はいろんな面を研究して馬の作りを変えてみました。それがどう出るかですね」(雑賀調教師)
ここまでの実績で言えば、今回出走の南関東上位人気組とも全くヒケは取りません。左回りとマイル戦は最も持ち味が発揮できると見ているそうで、グランシュヴァリエの走りは非常に興味深いです。
南関東勢の筆頭はやはり昨年の覇者ディアーウィッシュ(船橋・出川克厩舎)になるでしょう。
ディアーウィッシュ コンビを組む今野忠成騎手も常日頃からこの馬のテンのスピードは絶賛していますが、本当に速いです。スタートしてから楽にいいポジションにつけられるのは最大の強みで、それが安定した成績にもつながっているんでしょう。
「本追い切りでもっと速い時計は出したかったですが、併せて気合いは乗っているだろうし動きも問題はなかったです」(出川調教師)
前走の京成盃グランドマイラーズ(優勝)も非常にいい状態に仕上がっていましたが、今回も維持はできているそうです。
同厩のフサイチピージェイはサンタアニタトロフィー(6着)を使ったばかりですが、大きな疲労がなかったことと、逆にどんどん使っていこうという方向転換で出走が決定。気難しい面はありますが、中央での実績通りに高い能力は持っているだけに、自分の走りをした時が楽しみです。南関東ではまだ本来の力を出し切っていませんからね。
中央から南関東に転厩以降一度もワイド圏内を外していないコスモフォース(川崎・河津厩舎)。勢いは抜群ですよ!!!
コスモフォース 転厩2戦目の時に川崎マイラーズでディアーウィッシュと対戦していますが、その時は2着だったディアーウィッシュから0.3秒差離されての3着でした(優勝はザッハーマイン)。その時とは変わらない状態だそうで、今回は斤量が3キロ増えて、ディアーウィッシュとは1キロ差しかありません(ディアー57キロ、コスモ56キロ)。それがどう勝敗に影響するんでしょうか?
「転厩した頃から重賞級と期待をしてきたし、後ろから行く分不利な面はあるけど、あれだけの瞬発力を使える馬はそう多くはないと思う。跳びが大きいからブレーキをかけると嫌気を差すだろうし、マクっていく形がベストかな」と河津調教師。
南関東では重賞未勝利ながらも実績では上位のタートルベイ(船橋・矢野厩舎)。矢野厩舎と言えば矢野調教師の阪神愛から阪神メンコでもお馴染みですが、今ではタートルベイもすっかりお似合いになりました(笑)
「本橋孝太騎手を背に調教時」「状態は変わらないですね」と調教パートナーでもあり、今回初コンビとなる本橋騎手。
矢野調教師が懸念していることは、ズブさのある馬なのでマイルのペースが忙しいのではないかということ。広いコースでゆったり行けた方がいいタイプなだけに、その辺りがポイントになりそうです。
リフレッシュの放牧休養明けになるシャインウェーヴ(川崎・内田厩舎)は乗り込み十分で仕上がり良好とのことです。あまり夏場が好きな馬ではありませんが、昨年よりも我慢しているそうです。
重賞2勝馬ヴァイタルシーズ(川崎・武井厩舎)は大外枠に入ってしまいましたが、展開の鍵を握ります。「斤量泣きする馬だから、57キロと56キロでは動きも全く変わってくる。本当はテンに行った方がいいんだけど、57キロでスタートダッシュはどうかな」(武井調教師)。