日本の競馬ファンのみなさん、はじめまして。私は釜山で内田利雄騎手の通訳を担当しているチャン・ヨンウォンです。内田騎手や山本茜騎手には、「ヨンちゃん」と呼ばれています。
今回は夏休み特別企画ということで、「ヨンちゃんのMr.PINK研究日記」をお届けしちゃいます。
内田さんはコミュニケーションの取り方が、とても上手いです。といっても、厩舎関係者と会話するときに使っている単語は、5つぐらいなんですよ。
・アンニョンハセヨ〜(おはよう、こんにちは)
・カムサハムニダ〜(ありがとう)
・ケンチャスミカ〜(大丈夫ですか?)
・スゴハセヨ〜(お疲れさまです)
・ジョワヨ〜(いいよ)
厩舎の方によると、内田さんに馬の調子を聞いたときに、「ジョワヨ〜(いいよ)」ではなく「チンチャジョワヨ〜(すごくいいよ)」と返ってくると、勝つ確率が高いらしいです。
少しの韓国語でちゃーんとコミュニケーションを取っているのだから、すごいと思います。
ただ、変な韓国語はよくご存じです。「男と女の韓国語会話術」というテキストを読んで一生けんめい勉強した成果を、私たち通訳に披露してくださるんです(笑)。
実際に使うところがないみたいで、救急隊の男性にも披露しています(笑)。
毎日オヤジギャグとピンクな話ばっかりで、「本当にこのおじさまが世界のピンク様?」と疑問が湧くこともありますが、とても優しい方です。
競馬が開催される金曜日と日曜日、そしてエントリーが行われる水曜日は、「1日仕事だから」と言って、必ずパンを買ってきてくださいます。
さらにレースの日は、ピンクのエコバッグを抱えた内田さんが、私たち通訳や救急隊のみなさんが待機している部屋にやってきます。そしてお茶菓子を差し入れしてくださるんです。そういう細やかな心遣いにも、優しさを感じます。
そうそう、優しさ繋がりで、内田さんの名言がありました。
「『優しい』と『やらしい』は紙一重だからね(笑)」
オヤジギャグも、日本語の勉強になります(笑)。
みなさんもご存じだと思いますが、ピンクへのこだわりがすごいです。ピンクのものを見つけると、ついなんでも買っちゃうみたいです。
先日はピンクの液体が入ったボトルを持ってきて、「ヨンちゃん、これなに?」と…。それは口をゆすぐマウスウォッシュだったのですが、なにに使うものなのかわからないのに買ってきたんですね(笑)。ピンクとなると、けっこう無駄遣いするみたいです。
内田さんは几帳面で綺麗好き。暇なときはしょっちゅう洗濯しているそうです。調教用のヘルメットカバーの色は濃いピンクだったらしいんですけど、洗濯しすぎて今では白みたいな色になっています。プロテクターも、洗いすぎてボロテクターに…(笑)。
歌はホントに上手いですね。周りの人のモノマネも得意です。私もしょっちゅうモノマネされています(笑)。
甘いものが大好きで、食事帰りはダンキンドーナツとサーティワンアイスクリームをハシゴします。
毎朝、内田さんは調教前に、チング(親友)のアルムダウンジルチュに会いに行きます。そして「アンニョンハセヨ〜。ケンチャンスミカ〜(おはよう。大丈夫?)」と声をかけます。
Mr.PINKは笑顔が素敵です。レース前、馬道を通るときにも、そこにいるすべての関係者に笑顔で挨拶します。お客さんにも笑顔を振りまいています。韓国馬事会のHPの掲示板には、「内田騎手の笑顔が素敵ですね」というファンの方の投稿が載っています。
どんなに大きな罰金を受けても、裁決室を出るときには笑顔で「シルレイヘッスミダ(失礼しました)」と挨拶をされる内田さんは、すごく器の大きい人だと思います。
通訳としてまだまだ未熟で、競馬のことを知らない私を、内田さんは根気よく育ててくださいました。内田さんの「通訳は自分の感情を出しちゃだめだよ」という教えを心に刻んで、9月からは茜ちゃんの通訳としてがんばります。5か月間、本当にお世話になりました。日本に帰ってからも、素敵な笑顔で、周りの人をピンクに染めていってくださいね。ゴマンジョク(^_-)〜☆