アフター5スター賞は、平成6年新設。当初9年間、距離1800mで行なわれ(主な優勝馬・ツキノイチバン、サプライズパワー、イナリコンコルド)、15年から距離千二、「東京盃=交流GII」トライアルとしてリニューアルされた。
以後8年間、最も印象深いといえば、15〜16年ハタノアドニスの連覇だろう。同馬はJRA6勝から大井移籍(高橋三郎厩舎)、父アジュディケーティングらしい快速で、丸3年間に渡り南関東スプリント界の主役を務めた。
印象深い…などと書いたが、記者自身、実はこの馬の凄さを忘れていた。今回ファイルをめくり返し、ああそうだったか…とため息が出たこと。同馬は03年このレースを5馬身差で圧勝し、続く「GII東京盃」、今度はサウスヴィグラスを4馬身ちぎっている。
今や大種牡馬に成長したサウスヴィグラス、同時期のライバル、やはりいい産駒を出しつつあるマイネルセレクト。対して競走生活、互角の実績を持ちながら、その血を後に継げないハタノアドニス(06年水沢・最終戦を殿り負け)の不遇というもの。馬自身の“幸せ”は別にして、どこかやりきれない“理不尽さ”を、改めて感じてしまう。
(1)…波乱含み。1番人気[1-2-0-5]、2番人気[3-4-1-0]、3番人気[2-1-2-3]。1番人気は頼りなく、代わりに2〜5番人気が好走する。総体的には小波乱が多い。
(2)…大井VS船橋。大井=4勝、2着5回、船橋=3勝、2着3回。他は川崎=1勝があるだけ。もっともこの時季(夏場)、川崎、浦和も過密開催で、出走頭数自体が少ない。
(3)…性齢微妙。6〜8歳、それぞれ2勝ずつの数字からは“キャリア組”だが、ここ2年は3→4歳、4→4歳で決着した。牝馬[0-1-1-9]。可能性を残すがアベレージは低い。
(4)…瞬発力型。逃げ=3、先行=2、差し=7、追込=4。距離千二を思うと先行型は意外な不振。鋭さ、パンチ力のある差し馬が狙いになるか。ジョッキーでは6戦2勝の石崎駿騎手。
※データ推奨馬
▲マグニフィカ…ピタリとくる馬が見当たらないが、同馬は船橋所属4歳で、しかも「ジャパンダートダービーGI」制覇だから本来断然の格がある。2歳時、千〜千四を4戦4勝。ここがスランプ脱出、その突破口にならないか。石崎駿J、4度目の騎乗で相性はよさそうだ(東京湾カップ勝ち)。
☆ ☆
◎ブリーズフレイバー 55戸崎
○コアレスピューマ 55本橋
▲ホワイトランナー 53有年
△ダイワシークレット 57今野
△タカオセンチュリー 57柏木
△フジノウェーブ 58御神本
△モアザンスマート 53真島
ケイアイゲンブ 55川島正
マグニフィカ 58石崎駿
フジマサメモリー 53的場文
ジェイケイボストン 55張田
クラフィンライデン 51笠野
ケイアイスイジン 55和田
ブリーズフレイバーの本格化を素直に買う。この路線(千〜千二)、南関東生え抜き(とりわけ大井)ではジーエスライカーと並ぶ成長株。昨季3歳時点で11秒台を4度マークした絶対スピードがあり、しかし気性面の若さ、甘さで、ここまでタイトルを逃がしていた。
ただ今季2連勝は、それを払拭するレースぶり。意識的な待機策から直線GOサインとともに見事に弾け、まさしく別馬のような進化をみせた。父フォーティナイナー、浮かぶイメージ(将来像)はユートピアあたりと近いだろう。
無理のないステップ、過不足ないキャリアを積み、青写真通り成長した4歳夏。今回、ナイキマドリード、ジーエスライカーら強敵不在で、さまざま条件に恵まれた。むろん大目標は11月大井「JBCスプリント」。ここで存在感を示したい。
コアレスピューマは計算のつく有力馬だ。今春「東京スプリントGIII」3着。1/2・頭差、千二10秒9なら胸が張れる内容で、とにかく短距離では緩急自在、常に隙のないレースをする。
同馬のブレイクとともに腕を上げ、存在感を増してきた印象もある本橋ジョッキー。ここは力の入る一戦だろう。
▲ホワイトランナーは、素質と勢いをそのままとった。転入後[5-3-1-2]、短距離の“鬼脚タイプ”で、並んだ相手は必ず捕える…切れとガッツに特徴がある。
ダイワシークレット、タカオセンチュリーは、ともにJRA準オープン馬で、今回が転入初戦。短距離適性は前者だが、底力と意外性を注目すれば後者も狙える。前走函館オープン特別5着。道中の行き脚などなかなかよかった。
GI馬フジノウェーブは、前2走不振で中間ひと息入れ、近年千二も忙しくなっている。能力互角ケイアイゲンブも、久々に加え千二自体初経験。馬券的にはあまり食指が動かない。それならデータ推奨マグニフィカが、得意の短距離(あくまで数字上だが)でどう変わるか。フジマサメモリーは時計こそ互角でも、初重賞となると自分の競馬ができるか疑問。JRA千〜千二3勝ジェイケイボストンは下り坂の懸念があり、大勢逆転までイメージしづらい。