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配合的に楽しみが大きい外国産馬ゲンテン

  • 2011年08月31日(水) 12時00分
●ゲンテン(牡 栗東・矢作芳人 父Bernardini、母Miss Terrible)
 母Miss Terribleはアルゼンチンの大レースを勝ちまくった名牝で、亜1000ギニー(亜G1)、エストレージャス大賞ジュベナイルフィリーズ(亜G1)などG1を7連勝し、同国の2歳・3歳牝馬チャンピオンに選出された。父Bernardiniは現役時代にプリークネスS(G1)などG1を3勝した名馬で、種牡馬としても初年度からStay Thirsty(トラヴァーズS-米G1)、A Z Warrior(フリゼットS-米G1)などを送り出して成功を収めている。現在アメリカで最も勢いのあるA.P.Indy系のなかでも次代のエース格と目される若手注目株だ。

 Bernardiniの母の父Quiet AmericanはKillaloe≒Demure 2×1という特殊な配合で、本馬は3代母の父Two Harborsがそれらと相似な血の関係にある。したがって、自身はKillaloe≒Demure≒Two Harbors 5・4×4というクロスを持つ。今年の米ファシグティプトンフロリダセールで、ノーザンファームの吉田勝己氏が47万ドルで落札した高馬(現馬主は林正道氏)。日本向きではないかもしれないが排気量は抜群だろう。どんな走りを見せてくれるのか興味が尽きない。

●ダノングーグー(牡 栗東・音無秀孝 父ハーツクライ、母フローラルグリーン)
 半兄にダノンヨーヨー(10年富士S-GIII)、近親にマツリダゴッホ(07年有馬記念-GIなど重賞6勝)、ナリタトップロード(99年菊花賞-GIなど重賞7勝)がいる良血。2代母フローラルマジックは優れた活力を伝えており、孫の代に入っても活発にファミリーを伸ばしている。本馬は母の父がフォーティナイナーで、母がRaise a Native 3×4なので豊かなスピードを秘めている。半兄ダノンヨーヨーがダンスインザダーク産駒ながらマイラーとなったように、本馬もマイル前後で本領を発揮するものと思われる。芝向きで開花も早いだろう。

●プロスペリタ(牝 栗東・松田博資 父スペシャルウィーク、母ラスキンウォーク)
 母ラスキンウォークは不出走馬だが、その全兄Vettoriは仏2000ギニー(G1)を勝った活躍馬。これまでショウナンサリーレ(3勝)を出した程度で繁殖成績はとりたてて強調すべきものはないが、本馬は直球勝負の父母相似配合なのでおもしろい。マルゼンスキー≒Euryanthe 3×3、Halo≒Sir Ivor 3×3・4。芝・ダート兼用のマイラーだろう。たとえ走らなくとも繁殖牝馬としては価値が高い。

●ポレイア(牝 栗東・五十嵐忠男 父ゴールドアリュール、母リベラノ)
 2代母がSkillful Joyなので、ジャングルポケットの従兄妹にあたる。母の父Rubianoはタイキエニグマやタイキヴァンヴェールの父で、エーシンモアオバーの母の父。ダート向きのスピードを伝える血なので、父ゴールドアリュールとの特徴と相まって、ダート1600〜1800mに向いたタイプとなるだろう。ローカルのダ1700m戦では特に強そう。

●ミキノウインク(牝 美浦・保田一隆 父ワイルドラッシュ、母ピュアパッション)
 母ピュアパッションは未勝利馬だが、その半兄にファルコンS(GIII)3着のテイエムサザンオーがいる。父ワイルドラッシュはダート向きの好種牡馬で、フェブラリーS(G1)とジャパンCダート(GI)を勝ったトランセンドを筆頭に、パーソナルラッシュ、クリールパッション、ティアップワイルド、エイシンダッシュ、メイショウダグザなどの活躍馬を出し、地方競馬でもクラーベセクレタ、ヒシウォーシイなどの大物を送り出している。HyperionとBeau Pereの組み合わせから成る血を入れるのが成功パターンで、本馬が持つGraustarkクロスはそれに則ったものなので好感が持てる。ダート向きのマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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