戸塚記念(9月2日 川崎 サラ3歳 別定 南関東SII 2100m)
「戸塚記念」は昭和46年創設、今年第40回目。例年“残念ダービー”に近い趣きで行なわれ、クラシック上位組、夏の上昇馬が、それこそ代わる代わるという形で勝ってきた。前者代表は平成10年アトミックサンダー、12年ジェネスアリダー、18年ビービートルネード、後者は13年アブクマドリーム、16年モエレトレジャー、20年ジルグリッターなどが典型的か。牝馬も平成7年ドラールクラウン、昨年ハーミアが制しているから悪くない。ただ好走馬の条件を一つ絞れば、本質的に中〜長距離志向、スタミナ型であること。仮に先行馬ペース(スロー)でも、道中折り合いがつかないタイプは苦しくなる。
(1)…波乱含み。1番人気[4-1-1-4]は合格点だが、2番人気[0-1-3-6]とさっぱりで、このワンツーは過去10年1度もない。ただ3番人気[3-1-0-6]。つかみづらいのは確か。
(2)…川崎VS船橋。川崎=6勝、2着6、船橋=3勝、2着4。他は大井1勝(昨年ハーミア)があるだけで、ほぼ2場所に絞られる。直前大井「黒潮盃」が行なわれる経緯からも、この傾向は変わりづらい。
(3)…経歴微妙。過去10年、連対20頭中10頭がクラシック出走馬、残り10頭が上昇馬。17年ブルーワレンダー、19年ロングウェーブが重賞初挑戦で優勝している。実績をとるか勢いをとるか。
(4)…差し馬。逃げ=3、先行=5、差し=10、追込=2。前述通り、スローでも差しが届くケースが目立つ。パワー優先。牝馬トータル[1-2-1-19]だが、好走はすべて好位〜中団から伸びたもの。
※データ推奨馬
◎ハルサンサン…船橋所属、記者希望的推測では3番人気。クラーベセクレタを別
格とすれば、世代No.2(牡牝通じ)の切れ味があり、石崎駿騎手[3-1-0-1]の相性も特筆できる。左回りベターの感触。
☆ ☆
◎ヴェガス 56酒井
○ハルサンサン 54石崎駿
▲ゴールドスガ 56今野
△ナターレ 55的場文
△ミカドポーネグリフ 56森
△ファジュル 56戸崎
△カンユウ 56御神本
タイセイヴィグラス 54吉原
エースフォンテン 56中野
ヴェガスの実績を素直にとった。クラシック三冠3、2、6着。おおむね“牝上・牡低”で流れた現3歳世代だが、中で男馬に限ると、同馬が最もインパクトの強いレースをしている。とりわけ東京ダービーは印象的。向正面殿り、そこからクラーベセクレタに1馬身差は驚くべき末脚で、当時上がり39秒0も外々を回るロスを思えば合格点以上がつく。馬群にひるまない逞しさが大きな売り。父ニューイングランドはサンデー直仔、JRA千六〜二千を4勝(内ダート1勝)した。ヴェガス自身も中〜長距離ベストと判断したい。今回一枚落ちの顔ぶれ。実績上、別定56kgもきわめて有利だ。道中スローなら一気の捲りで勝負を決める。
ハルサンサンは、前走大井「黒潮盃」5着と期待外れ。ただこのタイプ(切れ勝負型)は往々にしてポカがあり、当日9kg増も敗因として納得できる。同世代牝馬ではクラーベに次ぐ絶対能力。左回り二千百も本来悪くないはずだ。ゴールドスガ、ナターレ、さらにミカドポーネグリフ、何とも微妙な選択だが、追い切り快走、長距離ベターのイメージでゴールドを上位に推した。川島正行厩舎の良血ファジュルは、気性面の若さで一進一退。大駆けがあれば「雲取賞」同様、向正面〜3コーナー、タイミングよく捲れた際か。今回・戸崎J騎乗。人気になってしまうと妙味が薄い。タイセイヴィグラスはピークを迎えた快速牝馬だが、このレース、逃げ不振のデータもあって割り引いた。それなら牡馬の上昇株カンユウに魅力がある。デビューこそ遅れたが、以後[3-3-0-1]と着実な成長ぶり。前走古馬相手の千八2着。今回御神本Jなら、さらに新境地の期待もかかる。