上場頭数では国内随一の規模を誇る「サマーセール」が9月5日(月)より始まっている。9日(金)までの5日間開催で、名簿上では上場予定馬が1323頭を数える。
1日平均では260頭前後。これが5日間連続だから相当な長丁場である。
今年はちょうど台風12号の襲来と重なり、市場の始まる数日前から日高は雨模様の天候。前例がないくらいに動きの遅いこの台風が日本海をゆっくりし北上したため、市場の前半は5日、6日の2日間たっぷりとその影響を受けてしまった。
悪天候が災いしたとは考えたくないが、市場は全般的に淡白な取引が続き、2日目が終了した段階では、売却率はそこそこ良いものの、価格が伸び悩んでいる印象が強い。

最高価格馬落札の瞬間
初日は240頭(牡132頭、牝128頭)の上場で104頭(牡68頭、36頭)が落札された。売却率は43.33%となり、昨年のサマーセール(40.66%)を上回っている。
しかし、売上総額は3億7443万円にとどまり、1頭当たりの落札平均価格は360万円と、昨年の同セールの平均価格(413万6868円)と比較すると50万円以上の下落であった。終わってみれば、43%も売れていたのだろうか、と疑問に思えるほどの「静かな市場」に感じた。
競り合う場面があまりなく、多くが一声で落札されることから、やや活気に乏しい印象が強くなる。
鑑定人がお台付け価格を提示する前に、場内から金額をサインで示す購買者がいるのは毎度のことだが、往々にして上場者と購買者では、お互いにイメージする金額に落差がある。できるだけ高く売りたい上場者と、できるだけ安く落札したい購買者との間の駆け引きもまた市場の醍醐味とはいえ、もともと歩み寄る余地すらないような価格提示をする購買者が少なからずいた。
しかし、上場者とて、ここで売っておかなければこの先さらに苦戦は必至という計算が働くために、多くの場合は「声がかかれば売る」姿勢を見せる。その結果、ここ数年じわじわと平均価格が下がり続けているのだ。
相場を形成するのは市場原理である。需給関係によって市場における価格が決まる。売却率は決して悪くないものの、価格は低迷する傾向がここ数年続いている。
2日目も、こうした流れは変わらなかった。254頭(牡128頭、牝126頭)が上場され、111頭(牡66頭、牝45頭)が落札されたが、売却率こそ43.7%と初日同様に決して低くなかったものの、売上総額は4億2220万5千円。平均価格は380万3649円と、昨年の平均価格を下回る結果となった。
まだ3日目以降の結果が分からないのだが、ひとつの目安としては、5日間を通じて、1日当たり売却率4割、売上4億という数字になろうか。昨年は5日間の合計で20億にほんの少し足りない19億8156万円を売り上げたので、4億円ずつ数字を重ねていけば20億円に到達する。何とかクリアしたいところだ。
なお、初日の最高価格馬は116番「プライムオブユース2010」(父ステイゴールド、母父Deputy Minister、牡黒鹿毛)の1720万円(税抜き)。日高大洋牧場の生産馬で(有)ビッグレッドファームが落札した。

プライムオブユース2010
この日唯一のステイゴールド牡馬でお台700万円から始まった競り合いはなかなか決着がつかず、この金額まで上昇した。
2日目の最高価格馬は490番「ナリタフローラの2010」(父タニノギムレット、母父サンデーサイレンス、牡黒鹿毛)。

ナリタフローラの2010
天羽牧場の生産馬で、こちらは1500万円(税抜き)。「メイショウ」の冠名で知られる松本好雄氏が落札した。
また2日目には兄モンストールが新潟2歳ステークスを勝ったばかりの276番「クインエリザベス」(父スウェプトオーヴァボード、母イソノスワロー、母父デヒア、牝黒鹿毛)が登場し、(株)レックスが800万円で落札した。

クインエリザベス
生産は浦河の村下農場。こういうタイミングの良い上場馬もいたことを追記しておく。