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セントウルSで短距離女王へ

  • 2011年09月08日(木) 18時00分
 みなさん、こんにちは。

 暦の上では9月に入り、過ごしやすい日が増えて秋の訪れを感じられるようになりましたね。でも。競馬の世界ではサマースプリント最終戦が残っています。

 現在、1位は20ポイント獲得しているカレンチャン、2位は14ポイントを獲得しているエーシンヴァーゴウです。今週のセントウルSに勝利した馬には10ポイントがつきますから、ヴァーゴウが逆転するチャンスもあり! ってことですよね。

 ヴァーゴウの水曜の追い切りは坂路単走で、52.1-12.7秒。フットワークもよく、軽快な動きを見せました。

 高田持ち乗り厩務員は「やれば、いくらでも時計の出るタイプなので、オーバーワークにならないように今週は軽めにしました。息づかいはOKです」と満足そう。

 普段のヴァーゴウは大人しくて、むしろボォ〜としているぐらいなんだそうですが、スイッチが入ると気合いが乗ってくるんだそうです。しかも、レースに向けて自分で体を作っていくんだとか。賢い!

 また、ただいま伸び盛りの馬らしく、馬体重も増えてきています。しかも、今のヴァーゴウの馬体はキレイにまとまっていて、背中が柔らかく、鞍はまりがよさそうでした。

エーシンヴァーゴウ

「この馬には腕っ節のある騎手より、当たりの柔らかい騎手の方が合っているようです」と言う高田さん。つまり、田辺騎手はピッタリのパートナーってことですね。今回も楽しみです。

 しかしこのレース、そう簡単に勝たせてもらえそうにもありません。前走の北九州記念でヴァーゴウに先着したエーシンリジルも出走していますからね。

 担当の平川厩務員は前走を「悔しかったけど、負けて強しの2着だった」と振り返りました。その悔しさをバネに「今回は、ここが本番というつもりで仕上げました」と胸を張ります。

 今度こそ、勝って初重賞制覇を果たしたい! ということで、追い切りには今週から復帰する岩田騎手が跨りました。坂路を単走で53.2-38.1-24.8-12.3秒と気合いの走りを披露。

 岩田騎手も「よく動いたね〜」と感心した様子でした。

 また、「初勝利まで時間がかかったけど、その後は状態がドンドンよくなって確実に力をつけています」と初重賞制覇に向けて自信をのぞかせました。

 たしかに、3勝を挙げている得意の1200mなうえ、開幕週で馬場もいいのですから実力が発揮できそうですよね。

エーシンリジル

 厩舎にリジルを訪ねると、調教後の飼い葉を黙々と平らげていました。食欲旺盛で、食べている間は僕には見向きもしませんでしたよ。その様子を撮ろうとレンズを向けると、「チラッ」目線をくれただけ。「食事の邪魔」と言わんばかりでした。すごい集中力…。

 そういえば、岩田さんが「夏は牝馬っていうよね。この馬もエネルギッシュで疲れを知らないって感じですよ」と言っていましたが、この馬の強さは、しっかり食べて、しっかり運動しているからなんでしょうね。

 そのため馬体も良好。胴が長くて、見た目は1200mを得意とする馬にま感じませんが、後脚の大腿骨が高く、筋肉が盛り上がってギュッと引き締まっています。思わず「本当に牝馬ですか?」と聞きそなほどで、いかにも瞬発力がありそうでした。

 この短距離女王を目指す女の戦い。ヴァーゴウ、リジルのどちらに軍配があがるんでしょうか? 楽しみです。

 そうそう、もう1頭エーシンの馬が出走するんですよね。エーシンホワイティは前走の彦根Sを勝って、ここに駒を進めてきました。

 リフレッシュ放牧から8月半ばに戻り、ここを目標に仕上げられてきたので状態良好。

 担当の米森持ち乗り厩務員は「息づかいもいいし、安定しています。サクラバクシンオーの仔なので、時計が速くなるぐらいの方がいい」と開幕週でのレースを歓迎していました。

エーシンホワイティ

 また、「最近はボリュームが出てきて嬉しいですね。でも、牡馬なんで、もう少し力強さがほしいかな。でも、トモもしっかりしてきましたよ。精神面も落ち着いてきて、気合いが入るとグッとハミを噛んでやる気を見せてくれます」と米森さんが言うように、成長著しい様子。

 たしかに、お尻がポーンと高くて引き締まり、毛づやもピカピカなんですよ。しかも、前脚もキレイに揃っていて、顔も流星が鼻筋にそって流れていて男前。かなり、羨ましいです。

 このイケ面ホースが走ると格好いいんですよね〜。でも、イケてる顔なら、ダッシャーゴーゴーも負けてないんですよ。

 そうそう、安田先生からファンへのメッセージをお預かりしていますよ。「秋初戦ですが雰囲気はいいですね。放牧に出した牧場でしっかり乗り込まれていたので、仕上げにも時間がかかりませんでした。斤量が重いのはチョッと可哀想ですが、ここは負けられない1戦です。だから、応援してあげてください」とのことです。

 安田厩舎からは、北九州記念を勝ったトウカイミステリーも出走。「2頭出しでお忙しいですね」と言うと、先生は「走るのは馬やから、僕は暇やで〜」と笑っていました。

 明るい雰囲気の厩舎だから、馬ものびのびと育つんでしょうね。

 さて、各陣営ともスプリンターズSを見据えた渾身の仕上げをしていました。この夏最後の短距離戦を制し、サマースプリント王者に輝くのはどの馬か!?

 週末が待ち遠しいですね!

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1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

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