毎年のおさらいになるが、東京記念は、春の大井記念=2500mと並ぶTCK伝統レース。
かつての優勝馬、ロッキータイガー、チャンピオンスター、ダイコウガルダン、さらにコンサートボーイ…と並べれば、格の高さは明らかで、その大半が「東京大賞典」「帝王賞」、当時のGIホースとダブっていた。
対して昨今の著しい地盤沈下。いわゆる選手権距離がマイル〜二千に定着したこと、血統を含めステイヤーが育ちにくくなったこと。時代の流れ、趨勢といえば、確かに当然でもあるのだろう。
ただこの長距離重賞(今年第48回目)、現実には今もファンが少なくない。ごく素朴な意見がある。「自分の目の前を、ぐるりと一周回る競馬は面白い…」。短〜マイル、“スピード主義”に片寄りすぎた今の競馬。必ずしも正着ではない(とりわけファン目線から)とはやはり思う。
「帝王賞は二千でいいが、東京大賞典は二千六百に戻すべき――」。レトロな感傷気分…はさておき、今なお記者の持論であり、本音でもある。
(1)…上位拮抗。1番人気[4-1-0-5]、2番人気[1-3-1-5]、3番人気[4-0-2-4]。妙味があるのは3番人気で、昨年カキツバタロイヤルも小差3着に健闘した。
(2)…船橋VS大井。船橋=6勝、2着5回、大井=4勝、2着5回。ほぼ互角の数字だが、近年は船橋優勢。昨年は船橋ワン・ツー・スリーで決着した。川崎、浦和は過去10年連対がない。
(3)…リピーター。3〜4歳新鋭の好走もあるが、リピーターの信頼度がやはり高い(ルースリンド=20〜22年・1、1、2着)。連対20頭中、同年大井記念出走馬が11頭を占めている。
(4)…末脚勝負。連対20頭のレースぶりは、逃げ=2、先行=5、差し=9、追込=4。仮にスローでも、近年は先行型が勝ちづらい。17年ボンネビルレコードは四角9番手から直線一気。
※データ推奨馬
◎ボンネビルレコード…9歳秋を迎えたが、昨年ほぼ同パターン(長距離実績・末脚勝負)のルースリンドが2着している。元よりGI、2勝(19年帝王賞、20年かしわ記念)だから、格、貫録といえば別次元。的場文男騎手は、同馬とのコンビも含め東京記念すでに7勝。
☆ ☆
◎テラザクラウド 56今野
○ボランタス 57山崎誠
▲ボンネビルレコード 56的場文
△マズルブラスト 58戸崎
△キングバンブー 57吉原
△スーパーパワー 58真島
△セトノギムレット 56張田
サイレントスタメン 56金子
ライジングウェーブ 56澤田
トップフィーリング 56山田信
テラザクラウドの素質と勢いに注目した。まだノンタイトル(クラウンC・2着、東京湾C・3着)の4歳馬。しかし今季4連勝の内容は素晴らしく、千八3勝、千六1勝、いずれも準オープン相手ながら、好時計をマークして余裕があった。
デビューから主戦として手綱を握る今野騎手。常に折り合い優先、重賞ロードを意識しつつレースを運び、前走「オーガスト賞=A3下」、3番手から横綱相撲など、いよいよ完成、本格化…の手応えだろう。ゴールドアリュール×グルームダンサー。少しズブいくらいの気性で、本質ステイヤーと判断できる。
ボンネビルレコード、マズルブラスト、実力派の9歳2頭。確かに見方によってはまだ“壮年”で、距離2400もベストだが(ボンネビル=56kgは特に有利)、ここで最有力に推される状況は正直寂しい。
それなら対抗ボランタス。こちらは父ティンパーカントリー、上積みが期待できる7歳馬。転入後重賞2勝、とりわけ今年1月「オールスターC=川崎二千百」の勝ちっぷり(3〜4コーナーひと捲り)が素晴らしかった。前走久々、忙しい千六(サンタアニタT)を5着なら脈がある。
キングバンブーの切れ、スーパーパワーの爆発力も互角だが、ともに前走の内容からは状態がつかみづらい。器用さ、意外性でセトノギムレットが3着候補。もっと穴ならデキのよさでトップフィーリング。