衝撃のG1・3連勝を成し遂げてから1年、今年の香港国際競走(12月15日、シャティン競馬場)にも日本から3レースに5頭が出走する。日本馬はいずれのレースにおいても優勝を狙う圏内にあるが、一方でどのレースも役者の豊富な厚みのあるメンバー構成となっており、決して楽な戦いにはなりそうもない。
ビリーヴとショウナンカンプの2頭で1・2フィニッシュを狙う香港スプリント。実績的には、目下このレース2連勝中のファルヴェロンが最上位。今年もそこそこの成績を残している上に、シャティンの馬場を大の得意としているのが強みだ。99年のこのレースの勝馬フェアリーキングプローンも侮れない存在だが、故障によるブランクから立ち直り切れているかどうかが鍵。地元香港勢では、昨年のこのレース3着馬オールスリルズトゥーも不気味な1頭。ゴールデンジュビリーSの勝馬マルハブ、ジュライCの勝馬コンティネントと、今季のG1勝馬2頭を揃えた欧州勢も、普段の実力を出せれば当然争覇圏内だ。
アドマイヤコジーン、トウカイポイントの2頭が挑む香港マイルには、今年のBCマイル勝馬ドームドライヴァーという大物がいる。アーリントンで見せた小脚の利く競馬っぷりは、シャティンにも合うはず。長いシーズンを戦ってきた疲労だけが心配だが、万全ならば日本馬にとって最強の敵となる。今季は勝ち鞍にこそ恵まれていないものの、サセックスSが“ザロック”の2着、インターナショナルSがネイエフの3着と超大物相手に好走しているゴドルフィンのノヴェーア、夏以降はスプリント戦線に矛先を向けたものの、元々はこの距離で重賞制覇の実績があるナイール、昨年のこのレースの2着馬エレクトロニックユニコーンらも差はない。
香港G1・3連覇の偉業がかかるエイシンプレストンが挑む香港カップ。ここには、既に今季のワールドシリーズ・レーシングチャンピオンシップの優勝を決めているグランディラが登場する。4月のクイーンエリザベス2世Cでは、エイシンプレストンが手もなくひねった相手だが、その後アスコットのG1プリンスオヴウェールズSや、レパーズタウンのG1愛チャンピオンSで見せたこの馬のパフォーマンスは、まさにチャンピオン級。この馬とエイシンプレストンがここで一騎討ちを演じ、2着以下が大きく離れるようなら、レイティング的にもエイシンプレストンは世界のトップ5に名を連ねる可能性がある。この他では、JC2着惜敗のサラファン、ドラール賞快勝のダノマストらにもチャンスがあるが、香港における過去2戦のパフォーマンスを再現出来ればエイシンプレストンの敵でないはずだ。
何しろ昨年がああいう結果だっただけに、日本のファンの期待が高いのも当然だろうが、少なくとも今年も1度は君が代の演奏を聴きたいと願っている。