埼玉栄冠賞(10月19日 浦和 サラ3歳以上 別定 南関東SIII 1900m)
埼玉栄冠賞の前身は埼玉新聞杯。平成20年からタイトルが変更された。しかし、出走条件、距離、斤量、施行時期、すべて平行移動で、データは過去10年共通のものとしてあつかえる。
このレース、特徴といえば、浦和SIIIというイメージ以上に“強い馬”が勝っていることだろう。埼玉新聞杯時代、サクラハイスピード、マキバサイレント、GI格が制し、以後16年優勝モエレトレジャーも、続く浦和記念GIIを連破している。
一昨年ブルーラッドが同パターン。昨年ドリームトレジャーも浦和記念5着だから、トライアルとして十分な内容だった。現時点で浦和記念出走馬(JRA勢)は判然としないが、今回南関東メンバー、大半がそこをめざして全力投球(1着馬に優先出走権)。激戦、好レースを期待していいと思う。
(1)…力勝負。1番人気[5-3-1-1]は断然の数字で、唯一崩れたデスモゾーム(10着)は逸走に近かった。ただ、2番人気[1-0-3-6]、3番人気[0-1-0-9]。“ヒモ”が狂う。
(2)…4場所拮抗。船橋=4勝、2着4回、川崎=3勝、2着6回。しかし浦和=2勝、2着1回で、大井所属馬も1勝している。初コースの馬が7頭優勝。距離千九でいわゆる地力がモノをいう。
(3)…成長株。6歳=3勝、2着2回と一歩リードの格好だが、それより何より3歳=3勝が特筆できる。ロイヤルエンデバー、モエレトレジャー、ブルーラッドと並べれば、やはり成長株。
(4)…自在型。逃げ=3、先行=10、差し=6、追込み=1。過去10年、4コーナー5番手以降からの連対は1度もない。このコースらしく、3〜4角一気に捲りあげる形が優勝パターン。
※データ推奨馬
◎キスミープリンス…今春3冠、6、5、3着の3歳馬。クラーベセクレタの陰に隠れたが、時計など通年レベルに達しており、とりわけ前走「ジャパンダート」4着は全国区を思えば悪くない。地元浦和[3-2-0-0]。御神本騎手とのコンビで2戦、「ニューイヤーカップ」「京浜盃」をともに2着。流れなりに動く脚がある。
☆ ☆
◎カキツバタロイヤル 58石崎駿
○ボランタス 58山崎誠
▲タカオセンチュリー 58柏木
△キスミープリンス 56御神本
△イーグルショウ 58坂井
△キングバンブー 58的場文
△トーセンゴライアス 58戸崎
テイエムヨカドー 56森
サイレントスタメン 58金子
カキツバタロイヤルに好条件がそろった。東海から転入後およそ2年、一貫タフに使われ[8-2-5-3]。重賞タイトルは大井「サンタアニタトロフィー(千六→千八)」連覇だが、真骨頂といえばむしろ中〜長距離のパワー勝負で、その証拠に、今期「ダイオライト記念」「日本テレビ盃」、ハイレベルGIIをそれぞれ2、3着と健闘した。
420キロ台、見た目は華奢だが、常に前へ前へ押し上げていく逞しいレースぶり。この相手なら、実績、総合力で一歩抜け出た存在だろう。加えて浦和2戦2勝のコース適性。内1つがディアーウィッシュを完封した千九百だから、まさしくうってつけの舞台が巡った。斤量58キロはサンタアニタで克服済み。鞍上・石崎駿Jとの呼吸、相性もきわめていい。
ボランタス本線。こちらはよりスタミナ色が強いステイヤーで、昨秋浦和記念二千2着、明けて報知オールスターC二千百優勝。離されたにせよGI川崎記念3着も光っている。今回叩き3戦目、駆けごろのステップ。完調なら3〜4コーナー、一気に捲るシーンが浮かぶ。
▲にとったタカオセンチュリーは、前走アフター5スター賞千二で怒涛の追い込み。しかしJRA良積はすべて中〜長距離で、テイエムオペラオー×マルゼンスキーの血統背景。絶対能力と南関東適性がぴたり噛み合った結果と判断したい。千二→千九に戸惑わなければ好勝負。JRA時は左回りでアベレージが高かった。
3歳キスミープリンスはジャパンダートダービーから3か月。いい充電になったかどうか。当時0.7秒差4着(自身上がり37秒5)は評価でき、本来器用さがあるだけに浦和千九百もイメージに合っている。世代レベルを計る意味でも注目したい。
以下、ハマって切れるイーグルショウ、うまく折り合いがついたときのキングバンブー。テイエムヨカドーは牡馬相手となるとパンチ不足で、それならJRA4勝、一貫長距離志向のトーセンゴライアスに新味を感じる。