11日大井「ファーストレディ賞」は、ネームヴァリューの完勝だった。ゲート内で少しチャカつき、タイミングの悪いスタート。前半ひと息行きっぷりが鈍くみえたが、結果かえってそれで折り合いがついた。道中馬混みの中、4~5番手をじっと動かず、3コーナー過ぎ、一気にまくったメイプルベガ(少々強引な騎乗で一瞬接触)に併せ、鞍上が素晴らしい呼吸でGOサインを出した。勝負のアヤ、流れを読むことでは石崎隆Jに一歩も引かない佐藤隆騎手。そして何より心身両面で馬が強い。直線あと1F、ステッキ一発であっという間に抜け出した。ゴールの2馬身差はおそらくまだまだ余裕がある。
ファーストレディー賞(サラ3歳以上牝馬、別定、南関東G3、1790m重)
○(1)ネームヴァリュー (57・佐藤隆) 1分51秒3
△(2)ラヴァリーフリッグ (57・石崎隆) 2
◎(3)ジーナフォンテン (57・張田) 3/4
△(4)メイプルベガ (57・内田博) 2
△(5)カーディアンゴット (57・佐藤裕) 5
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△(7)ナミ (57・的場文)
▲(8)スターオブブリッジ (54・森下)
単170円 馬複330円 馬単480円
3連複360円 3連単1260円
ネームヴァリューはJRA16戦4勝、この秋船橋・川島正行厩舎にトレードされた4歳馬。前走地元「京成盃グランドマイラーズ」をスプリングシオン、ベルモントアクター相手にいきなり圧勝だから、終わってみればしごく当然の結果というしかない。戦績(先入観?)からはスピード型のイメージだったが、どうしてレースぶりはあくまでパワフル。道中むしろズブいくらいの手応えで、しかし追って力強く伸びてくる。オナーアンドグローリー×シアトルスルー、典型的な米国血脈。なぜJRA時ダートを使わなかったか、今思えばむしろ不思議かもしれない。当日12キロ増ながら丸みを帯びた馬体とハチ切れるようなトモのハリ。川島厩舎一流の調整で、「ダート向きの体」に造り直したということか。1790m、1分51秒3は軽い馬場としてもきわめて優秀。順調なら次走は「東京大賞典」に挑戦する。うまく流れに乗れれば好勝負可能。個人的にはプリエミネンスとどちらが先にくるか、そこを焦点に観戦したい。
ラヴァリーフリッグは中団から末脚勝負。道中の反応は必ずしもよくなかったが、ゴール際ジーナフォンテンに並ばれてもう一度闘志をみせた。さすがに世代牝馬No.1。2000mまでのスタミナは元より問題ないはずで、今日のような競馬ができれば今後も視野がさらに広がる。ジーナフォンテンはラヴァリーを終始手応えよくマークしたが、いざ追い出されて案外詰めが甘かった。「直線も左手前で走っていた。大井はもうひとつしっくりこない」と張田騎手。ただそれがなくとも勝ち馬とは現時点で正直少し能力差がある。メイプルベガはやはり瞬発力が身上。今日は早めに脚を使い、そこで終了。最も不利を受けたカーディアンゴットは、最後この着順なら走った方。ただこの2頭は統一Gで勝てるかどうか、絶対能力という点でぎりぎりのラインだろう。中間半年のブランクがあったナミは、好位からジリ下がり。パドックなど、相変わらず馬体が細くみえ、テンションも高かった。穴馬に推したスターオブブリッジは鞍上が無欲で直線に賭けたものの、さっぱり伸びない。関東オークス2着。買いかぶりとは思いたくないが、馬体、毛ヅヤともどこか冴えず、体調面でしばらく手探りになりそうだ。
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埼玉新聞杯(サラ3歳上、ハンデ、南関東G3、1900m)
◎スプリングシオン (58・左海)
○カサイグローリア (56・桑島)
▲ビックトップラン (54・佐藤隆)
△ピーエムタッチ (56・佐藤裕)
△クラシカルマウント (54・見沢)
△ゴールデンイースト (56・森下)
スプリングシオンは、上山から転入後[7-3-1-0]。前2走は京成盃グランドマイラーズ、東京記念と重賞を連続2着で、それも京成盃ではコアレスフィールド、ベルモントアクター、さらにヒミツヘイキを下している。今や堂々たる統一Gの戦力。現実にグランプリ「東京大賞典」にも選定された。そこへの出否はともかく、今回は文字通り“確勝”を期しての登場だろう。父ディンヒル、芦毛の巨漢。エンジンかかって息の長い脚が武器で距離1900mもまずベストと考えていい。流れが緩んだところで一気のまくりか。力関係から58キロもべつだん不利とは思えない。
相手が難解。カサイグローリアは6歳馬ながら前走かちどき賞、プリンシパルリバーを押さえる3着で末脚復活。少々古い話になるが、3歳時浦和2000mでゴールドCを6馬身差圧勝の記録がある。ビックトップランは若潮盃、ピーエムタッチはゴールドCをそれぞれ制した4歳馬。この比較は斤量差で前者により妙味があるか。逃げのゴールデンイーストは最後の1Fをどうこなすか。逆に終い混戦になってクラシカルマウント。