今週はエリザベス女王杯ですね。レーヴディソールについては2週にわたって特集を書かせていただいたのでそちらをお読みください。
決して順調とは言い切れない調整過程だったレーヴディソールですが、対照的に順調を絵に描いたように順調にここまでこれた馬がいます。それははアヴェンチュラです。
管理する角居師は「前走の秋華賞は勝ちきれる状態でした。そこからどれだけ上積みがあるか、というところでしたが追い切りに騎乗した岩田騎手によれば上積みはあるということ。疲れもなさそうですし、メンバーが強化された今回、どれだけ通用するか楽しみです」と話していました。
岩田騎手も「うまくエスコートすれば勝ち負け」と自信をあらわにしていますね。これは大崩れはしないと見ています。
でも!わたしが注目しているのはアパパネ。このエリザベス女王杯を制すれば牝馬GI全制覇を成し遂げることになるアパパネだが、今回はその偉業を前にどこまで自分の力を発揮できるのか?という状況に陥っていました。
前走の府中牝馬Sでの負けっぷりは女帝アパパネを名乗るにはあまりにふがいなくあっけないものだった。体調そのものに欠陥が見られないため、いわゆる“燃え尽き症候群”ではないか?と懸念されていました。
実際、牡馬はトウカイテイオーのように一度燃え尽きたように見えても復活を遂げる例があります。しかし、牝馬は一度惨敗すると燃え尽きたかのように成績も急降下する例がほとんどです。よくて掲示板に載る程度の善戦をするのがせいぜい。そういう意味でも先週、あの末脚を見せたブエナビスタは例外中の例外で凄い馬なのです。
で、アパパネに話を戻しますが。先週、アパパネが栗東にきた段階では彼女はすごく優しい顔をしていました。もともと目がクリッと大きいアイドル顔ですが、それに輪をかけて表情が優しくなっていました。担当の福田調教厩務員も彼女の闘志については「うーん」と口をつぐんだままでした。
ところが、今週の追い切りは併せた準オープンのマナクーラに4馬身差をつける鮮やかなものでした。この追い切りでの好走が、即イコールで“アパパネ復活!”に繋げるのは早計だということは重々承知しています。でも、それでも3コーナーで行きたがる素振りを見せたり、ラスト1ハロンを11秒7で駆け抜けたり…。ここ最近にない“やる気”を見せたのは間違いないと感じさせるのです。
「環境を変え『競馬だと分かってくれれば』と思って持ってきましたが、これでピリッとしてきた。そして、動きにシャープさが出てきた。外国馬もいてレベルの高いレースですが、恥ずかしくない競馬をしてできればタイトルを取りたい」と国枝師もタイトルを意識するまでに復調しています。
かつて、アパパネは阪神JF参戦のために初めて栗東にやってきました。そして今回は4回目の栗東留学です。すっかり休み明けは走らなくなりましたが、夏をのんびりすごした美浦から一変して栗東の地に来たことで、あの闘志に再び火がついてくれれば、と願います。
さて、今週はブエナビスタの妹・ジョワドヴィーヴルのデビュー戦です。今週の水曜の追い切りは凄かったですよ!
ウッドチップコースを福永騎手を背に、ブゼンキャンドルの娘・タガノキャンドル、ベストクルーズの全妹・マーチャンテイマーの後ろをストレートラブと2頭併せで追いかけるように走っていました。ところが、直線を向いてスッと前集団に接近すると、そのあとすぐにストレートラブはもちろん、前の2頭をも抜き去り先頭に踊りでて1馬身差をつけてゴールしていました。その手ごたえはすごく楽そうでしたし、その動きはデビュー前の評判どおり、かなりの素質を秘めた馬だなと感じさせました。
時計は86.9-71.0-55.1-40.0-11.9。きっちり仕上がった印象です。
スタートはお姉さんのブエナビスタ同様決して速くはありません。でも、今週の動きについても松田師は「いい動きだった」とご満悦でした。想定の段階では26頭も出走を希望していたので一時は今週のデビューすら危ぶまれましたが、実際の投票の段階ではフルゲート18頭ちょうどの申し込み。無事、デビューの運びとなりました。そのあたりも運がありますね。今週、どんな走りをするのか、めっちゃめちゃ楽しみです。