●アンティール(牝 栗東・牧浦充徳 父ネオユニヴァース、母キューバリブレ)
半兄ルイーザシアター(父ハーツクライ)は京都新聞杯(GII)4着馬。同馬を含めてJRAで走ったきょうだい3頭がすべて勝ち上がっているように、母キューバリブレは確実に一定以上の能力を伝えている。Mr.Prospector 2×3という強いクロスがスピードの安定供給に成功しているのだろう。父ネオユニヴァースはヴィクトワールピサ、ロジユニヴァース、アンライバルドなどの父。最近は芝の勝ち星が減少し、その分、ダートに軸足を移しつつある。本馬も芝だけでなくダートでもやれそうだ。母方にNureyevを持つネオユニヴァース産駒はロジユニヴァース、ゴールスキー、アイアムネオ、リバティバランスなどが出ており悪くない。
●アンバウンド(牝 美浦・大竹正博 父Distorted Humor、母Possibility)
父Distorted Humorは、今年のブリーダーズCクラシック(米G1・ダ10f)の勝ち馬Drosselmeyerを送り出し、現時点で北米サイアーランキング(ブラッドホース誌集計)のトップを走っている。あと1ヵ月ちょっとこの座を守り抜けば初のリーディングサイアーとなる。日本でもエーシンクールディ(11年根岸S-GIII・4着)、ドローアウター(04年アイビスサマーダッシュ-GIII・5着)などを送り出しており馬場適性には何ら問題ない。母Possibilityは米7戦1勝だが、その母にPersonal Ensign(アメリカで13戦全勝の歴史的名牝)を持ち、兄姉にMy Flag、Miners Mark、Traditionally(いずれもG1馬)がいる超良血。ダート中距離がベストで、短距離なら芝でもいけるだろう。
●ケンブリッジスワン(牝 栗東・山内研二 父ゴールドアリュール、母セイントセーラ)
半兄シルクフェイマス(父マーベラスサンデー)は日経新春杯(GII)、京都記念(GII)、アメリカJCC(GII)を制した中長距離型で、宝塚記念(GI)2着、有馬記念(GI)3着、天皇賞・春(GI)4着などの成績もある。父ゴールドアリュールはスマートファルコン、エスポワールシチー、オーロマイスター、シルクフォーチュンなどを送り出したダート界ナンバーワン種牡馬。本馬はVaguely Noble 5×4のクロスを持つのでスマートファルコンと配合が似ている。芝・ダート兼用の中距離タイプだが、本領を発揮するのはやはりダートだろう。
●パレディウム(牡 栗東・西浦勝一 父アドマイヤムーン、母ステージスクール)
父アドマイヤムーンは初年度産駒からレオアクティブ(11年京王杯2歳S-GII)、ファインチョイス(11年函館2歳S-GIII)、スノードン(11年萩S-OP)などを送り出しブレイクしている。本馬の母ステージスクールは名馬アラジ(欧年度代表馬、米2歳牡馬チャンピオン)の半妹にあたる良血。配合は非常に大胆で、「サンデーサイレンス3×2」というクロスを持っている。まだ絶対数が少ないため地方競馬の重賞勝ち馬が出ている程度だが、いずれ当たり前のようにこのクロスからビッグレースの勝ち馬が誕生する時代がやってくるのは確実。本馬がその先駆けとなることを期待したい。
●レイズワーク(牡 栗東・加用正 父キングカメハメハ、母エイシンアイノウタ)
半兄マイネルシーガルは富士S(GIII)の勝ち馬。「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」は、ローズキングダム、トゥザグローリー、ミッキードリーム、ベルシャザールなど多くの活躍馬が誕生している組み合わせ。母方にサンデーサイレンスとDamascusを併せ持つキングカメハメハ産駒にはエーシンヒットマン(現準OP)がいる。やや一本調子なところがあるかもしれないが、スピード値は高いのでマイル以下で優れた成績を挙げそうだ。