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モハメド殿下が送り込むデボネアの半妹カリズマ

  • 2011年11月30日(水) 12時00分
●エーシングルーオン(牡 栗東・坂口正則 父アグネスタキオン、母エイシンサンサン)
 半姉エーシンリターンズ(父キングカメハメハ)は重賞勝ちこそないものの、桜花賞(GI)、ローズS(GII)、チューリップ賞(GIII)でいずれも3着となっている。母エイシンサンサンは小倉3歳S(GIII)の勝ち馬だが成長力があり、古馬になってから朝日チャレンジC(GIII)2着、エリザベス女王杯(GI)3着などの成績を残した。本馬の父はアグネスタキオン。母方にSir Gaylordを持つアグネスタキオン産駒は成功しており、レーヴディソール、アドマイヤオーラ、リディル、ブロードストリート、アイアムカミノマゴなど多数の活躍馬が出ている。芝向きの中距離タイプとして期待十分。

●カリズマ(牝 栗東・中竹和也 父アドマイヤムーン、母ヴェルヴェットクイーン)
 半兄デボネア(父アグネスタキオン)は京成杯(GIII)2着、弥生賞(GII)3着、皐月賞(GI)4着という成績がある。重厚なヨーロッパ血統が含まれているので、アグネスタキオン産駒にしては瞬発力よりも持続力で勝負するタイプだった。父アドマイヤムーンは初年度産駒からレオアクティブ(11年京王杯2歳S-GII)、ファインチョイス(11年函館2歳S-GIII)、スノードン(11年萩S-OP)などを送り出しブレイクしている。最大の武器は素軽さと瞬発力。この繁殖牝馬との間に瞬発力豊かな子を出すことができれば父の能力はいよいよ本物だ。兄と同じく馬主はモハメド殿下。

●カレンブラックヒル(牡 栗東・平田修 父ダイワメジャー、母チャールストンハーバー)
 2代母Penny's Valentineは伊オークス(G2)3着馬で、3代母Mrs.Pennyは仏オークス(G1)、ヴェルメイユ賞(G1)、チェヴァリーパークS(英G1)などを制した名牝。母チャールストンハーバーは「Grindstone×Storm Cat」という組み合わせで一見硬いのだが、産駒が芝向きに出ているのはこの牝系の芝適性と Sir Gaylord≒Secretariat 4×4、Le Fabuleux 4×4の影響ではないかと思われる。父ダイワメジャーは母方にSir IvorまたはDroneを持つ配合と相性がよく、本馬はこのパターンに当てはまる。芝向きのマイラーだろう。

●プレーヌリュヌ(牝 栗東・池江泰寿 父ハーツクライ、母リリオ)
 半兄トレイルブレイザー(父ゼンノロブロイ)はアルゼンチン共和国杯(GII)を制し、先週のジャパンC(GI)でも4着に食い込む健闘を見せた。父ハーツクライはウインバリアシオン(11年青葉賞-GII)、キョウワジャンヌ(11年秋華賞-GI・2着)、ステラロッサ(11年スプリングS-GII・3着)などの父。母リリオはNijinskyとDamascusを併せ持つが、ウインバリアシオンの母スーパーバレリーナは、Nijinskyと相似な血の関係にあるStorm BirdとDamascusを併せ持っている。配合構成がやや似ているのでおもしろい。芝向きの中距離タイプ。

●レッドヴォーグ(牝 栗東・矢作芳人 父シンボリクリスエス、母ディクシージャズ)
 半兄レッドデイヴィス(父アグネスタキオン)はシンザン記念(GIII)、毎日杯(GIII)の勝ち馬。母ディクシージャズは未勝利馬だが、その半弟に菊花賞(GI)とメルボルンC(G1)を勝ったデルタブルース(父ダンスインザダーク)がいる。これにシンボリクリスエスを交配して誕生したのが本馬。やや重苦しい配合だが、それが底力となって表現されれば大物に育つ可能性がある。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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