先週のジャパンCは本命に推奨したヴィクトワールピサがスタート直後に挟まれて最後方からの競馬。そして直線は大外に出すと流れに乗れないままゴールする形に。仕上がりが良かったとしても、このように自分の競馬ができなかったのはいつものヴィクトワールピサではなかったからでしょう。そういった意味で調教捜査官としてヴィクトワールピサを推奨したのは大きな間違いでした。各メディアを通じて、私の◎を馬券に絡めてくださった多くの方々には本当にお詫び申し上げます。
また調教パターンからは昨秋の強かった天皇賞・秋と同じ「2週連続単走追い」で完全復活が予想できたブエナビスタを最終追い切りのわずかな動きの判断で▲評価しかできませんでした。あらためて主観ではない客観的な調教データの精密さを思い知らされました。
デインドリームをはじめとした外国馬の「調教本数不足」での消し評価、ペルーサの追い切り内容が軽くなったことによる「馬体重増」での消し評価、そしてローズキングダムの「4F時計が遅い」ことでの消し評価など、判断を間違っていなかった点は成果がありましたが、やっぱり馬券を的中させる印を打たないことにはこの場で予想を出す意味はありません。
今週はジャパンCダート。レースの焦点は2009年の覇者エスポワールシチーか2010年の覇者トランセンド、どちらが優勝するかということに絞られるでしょう。また馬券の焦点は3着(もしくは2着)に食い込む「第三の馬」の存在を見つけることでしょう。
ここでは優勝にピントを合わせて1週前追い切りの内容、そして今朝の雰囲気をレポートしてみたいと思います。
まずは前走みやこSで圧巻のレースぶりを見せたエスポワールシチーです。
2走前南部杯は決して悪い状態ではなかったと思いますが、それでも全盛時には及ばない感じ。しかし直線半ばまでは見せ場十分のレース内容で、ようやく「らしさ」が見えた走りに安達昭夫調教師も手応えを感じていました。
そして前走はまさに負けられない戦い。逃げるトウショウフリークを直線で捕まえると後続を引き離す本来のエスポワールシチーの走りができました。
そしてこの中間、11月23日のCWでは道中飛ばしたわけでもなかったのですが、直線、特にゴール前ではノメるような仕草を見せてラストは1F13.0秒。「馬場が悪いと全然走らないから」と師は気にしていませんでしたが、2009年ジャパンCダート優勝時にはCW1F11.8秒の鋭い伸びを見せていただけに、どうしても気になってしまいました。
しかし今朝の坂路でのキャンターを見ると、実に柔らかくて俊敏な動き。その後、騎乗していた担当の森崎助手に感触を聞いてみると「常歩(なみあし)からすごく反応が良くて、乗っていても気持ち良かったです。前走もいい状態でしたが、今回は完璧ですね。これで負けたら仕方ないくらいの気持ちです」とのこと。また最終追い切りに関しては、どのようにするかまだ決まっていないとのことだったので、個人的には2009年ジャパンCダート時と同じようにCWで終い重点のビシッとした追い切りが見れたら、と思っています。
一方、昨年のJCD、そして今年のフェブラリーSを制したトランセンド。前走JBCクラシックは勝ちに行く競馬をしながらも最後までスマートファルコンを交わすことができないレースで終わってしまいました。
しかし安田隆行調教師も「大井だったことも考えれば仕方ありませんね」と敗戦のショックよりもすぐに次走へ目を向けている感じでした。
トランセンドらしく、この中間も坂路とDPを併用して十分すぎるくらいの調教量をこなしています。1週前には涼しい顔をしてDP6F75.3秒を出しており、この時計自体は昨年のJCD1週前追い切りとほぼ同じ内容です。
今朝の坂路を駆け上がってくる様子も実にスムーズで言うことなし。あとはいつも通りの最終追い切り坂路でしっかり時計を出してくれば、万全に仕上がるでしょう。
現時点では極めて順調な2頭。あとは最後の仕上げでどのような調教内容を見せてくれるか楽しみにすると同時に、第三の馬をしっかりと見つけることができるように努めたいと思います。
◆次走要注意
・11/26 東京5R 2歳未勝利
ライトヴァース(8人/8着)
馬券総合倶楽部の狙い馬として取り上げていましたが、今回のレースは直線で進路を探さなければいけない不利な位置取り。仕方なしに突いた最内から出走メンバー2位の推定上がりを使って追い込みましたが、8着が精一杯。完全に脚を余していました。今回と同様の調教内容で芝中距離を使えば、勝ち上がるのは時間の問題です。
【メモ登録用コメント】
芝中距離で調教本数多い標準多めトラックや乗込トラックなら勝ち負け
・11/27 東京9R アプローズ賞
アドマイヤバートン(4人/10着)
調教に跨っていた目黒助手が「状態は文句ないから、あとは展開次第」と話していましたが、まさにレースの流れがこの着順になりました。またこのレースを勝ったのが標準坂路だったように、トラック単一の本馬にとっても調教適性の低いレースだったので、次走は中山芝1800m以上だとかなり魅力的なはず。
【メモ登録用コメント】
中山芝1800m以上の距離で標準以上の調教本数なら馬券圏内
◆今週末馬券圏内
・12/4 中山11R ターコイズS
ダンスファンタジア ようやくフェアリーSを勝った中山芝1600mに戻っての一戦。この中間は坂路とトラックを本数多く併用してこのレースへ最適の調教タイプで仕上がることでしょう。確かにハンデ55キロは重たいと思いますが、最終追い切りを南芝で行うか、坂路なら4F50秒切るようなスピード調教を行えば、斤量もメンバーも関係ありません。
【メモ登録用コメント】
最終追い切りは南芝か美浦坂路なら4F50秒以下
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▼調教コース&調教タイプの考え方
調教コースが「坂路」、調教タイプが「一杯平均」の馬は「
一杯平均坂路」に分類される。
▼調教コース一覧
【トラック】ウッド、芝、ダートでの調教の本数が全体の8割以上の場合。
【坂路】坂路での調教の本数が全体の8割以上の場合。
【併用】トラックと坂路の併用で、どちらかの調教本数が全体の3割以上の場合。
【トラック主体】トラックと坂路の併用で、坂路調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。
【坂路主体】トラックと坂路の併用で、トラック調教の本数が全体の2割以上3割未満の場合。
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