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名牝アドマイヤラピスが送る期待の娘アドマイヤラック

  • 2011年12月07日(水) 12時00分
●アドマイヤラック(牝 栗東・橋田満 父アドマイヤムーン、母アドマイヤラピス)
 母アドマイヤラピスは中長距離をフィールドとした外国産馬で、芝3000mの嵐山S(OP)を勝ち、芝3600mのステイヤーズS(GII)で2着となった。繁殖成績としてもきわめて優秀で、本馬の半兄にアドマイヤフジ(父アドマイヤベガ/06年日経新春杯-GIIなど重賞3勝)、アドマイヤホープ(父フォーティナイナー/03年全日本2歳優駿-GI、03年北海道2歳優駿-GIII)、アドマイヤコスモス(父アドマイヤマックス/11年福島記念-GIII)と3頭の重賞勝ち馬がいる。本馬の父はアドマイヤムーン。初年度産駒の現2歳世代からレオアクティブ(11年京王杯2歳S-GII)、ファインチョイス(11年函館2歳S-GIII)などの活躍馬を送り出している。スタミナ型の繁殖牝馬とも好相性を示しているので高確率で走ってくるだろう。芝向きの中距離タイプ。

●アメリカンダイナー(牡 美浦・相沢郁 父Distorted Humor、母Checkered Flag)
 インディアナダービー(米G2)など3つの重賞を制したZanjeroの半弟。父Distorted Humorは競走馬としてはさほど目立つ存在ではなかったが、種牡馬として成功し、Drosselmeyer(11年ブリーダーズCクラシック-米G1)、Funny Cide(03年ケンタッキーダービー-米G1、03年プリークネスS-米G1)、本邦輸入種牡馬フォーティナイナーズサンなどを出している。日本で走った産駒はダート向きが多い。本馬はMr.Prospector 3×3なのでデビュー直後の早い時期からどんどん走るタイプだろう。

●アリゾナビスティー(牝 栗東・矢作芳人 父アドマイヤムーン、母パパゴ)
 半姉メイショウベルーガ(父フレンチデピュティ)は牡馬に伍して日経新春杯(GII)、京都大賞典(GII)を勝ち、エリザベス女王杯(GI)でも2着となった名牝。2代母Passamaquoddyは名馬ダンシングブレーヴの母の全妹にあたる。姉は母の父Sadler's Wellsのスタミナと図太さが前面に出ていたので、こうした面に欠けるアドマイヤムーンとの組み合わせは好感触。アドマイヤムーン産駒の出世頭レオアクティヴは母の父がオペラハウスで、その父はSadler's Wells。アドマイヤムーンとSadler's Wellsの組み合わせは悪くなさそうだ。芝向きの中距離タイプ。

●モジュラーフォーム(牡 美浦・菊沢隆徳 父ダイワメジャー、母リトルソルジャー)
 父ダイワメジャーは現2歳世代が初年度産駒で、小倉2歳S(GIII)を勝ったエピセアロームをはじめ多くの活躍馬を送り出している。2歳種牡馬ランキングの勝ち星部門ではディープインパクトの25勝に1勝差の24勝だが、収得賞金部門では同馬に6000万円弱の差をつけてトップを走っている。ダンシングブレーヴを持つ繁殖牝馬と相性がよく、このパターンからすでに4頭の勝ち馬(ダローネガ、トーセンベニザクラ、オメガホームラン、ダイワミストレス)を出している。基本的にダンシングブレーヴはサンデー系と相性がいいのだが、ダイワメジャーとはとくにフィットするようだ。本馬の母の父コマンダーインチーフはダンシングブレーヴの子なので期待できそう。芝向きのマイラー。

●ルサビ(牝 栗東・石坂正 父アグネスタキオン、母アビ)
 全兄ディープスカイ(父アグネスタキオン)は日本ダービー(GI)、NHKマイルC(GI)など4つの重賞を制した名馬。母アビは競走馬としては無名ながら、独2000ギニー馬Royal Dragonの半姉にあたる良血で、Miss Carmie 4×3というインブリードを持っている。Six Crowns≒Carmelize 2×2といってもいい。繁殖牝馬として高い資質を秘めている。2代母の父Key to the MintはRibot系のスタミナ血統。こうした血がスタミナと底力の下支えとなって兄は日本ダービーを勝った。配合的によく出来ているので再現性が高いと思われる。兄同様の活躍を期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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