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トーセンベニザクラ、栗東で落ち着き十分

  • 2011年12月08日(木) 18時00分
 レーヴディソールの愛知杯出走が本決まりになり、7日にはそれに向けて追い切りが行われました。ウッドチップコースでキタサンアミーゴ(古馬オープン)との併せ馬。それまでは馬なり調教でしたが、今回はきっちり追われており1馬身先着しています。時計は85.7-69.7-54.6-40.2-12.0。

 実はこの時計、“2番乗り”という点に注目です。松田厩舎のオープン馬の多くは馬場が整った時計の出やすい“1番乗り”、または“ハロー明け”の時間帯に追い切られますが、今回のレーヴの追い切りは決して時計の出やすい時間帯ではありませんでした。中には上がり11秒後半で計測した社もありました。とにかくあの時間帯でこの時計を叩き出すですから、価値があります。

レーヴディソール

 調教後、上がり運動をするレーヴディソールを見ながら松田博師はかみ締めるように言いました。

「あれは走る」

 松田博師が1頭だけをピックアップして「走る」という言葉を使うのは珍しいこと。やはり、レーヴはタダモノではありませんね。
愛知杯出走は「ハンデ次第で回避する可能性もある」(松田博師)。でも、朝日杯の出走予定馬を見ると福永騎手のお手馬もたくさんいます。福永騎手が朝日杯を断ってレーヴに乗るために小倉へ行くのは明らかです。それだけに「(愛知杯出走を)やめるのも勇気がいる」(松田博師)とのこと。無事、出走の運びになるといいのですが……。

 栗東滞在中の関東馬トーセンベニザクラがいいかんじです。11月26日から馬場からかなり離れた静かな出張厩舎に居を構えています。

「美浦では周囲を気にしてイレ込むことがあるのに、この出張厩舎ではとても落ち着いています。静かな環境が合っているようです」と高橋調教厩務員。

 ひじょうに頭がよく、オンとオフの切り替えが素早いタイプとのこと。それゆえに自分に合う環境へ来れたのがよほどよかったのでしょう。

トーセンベニザクラ

 初勝利まで5戦を要していますが、その原因もわかっています。まず、初戦と2戦目は「馬をこわがって競馬に参加できなかった」(高橋調教厩務員)とのこと。そこで手綱をとっていた中館騎手と協議し「思い切って逃げてみよう」と作戦変更したのが3戦目でした。狙いどおり、のびのびと走ることができて2着に健闘。やっとベニザクラ自身が“競馬”を理解し始めたようです。

 続く4戦目はゲートで出遅れたり、前の馬のステッキを気にしたりとハプニングがあったにもかかわらず2着を記録しています。その次の5戦目でやっと勝ち上がり、6戦目の赤松賞で連勝。逃げてよし、差してよしというかんじでどんな戦法でも対応できそうなのが頼もしいです。

「赤松賞では後方から上がり33秒2で差しています。あの競馬を見ると、切れ味で勝負するタイプかな、と思います」(高橋調教厩務員)

 ちなみに、高橋調教厩務員によれば返し馬へ入ったところでスイッチがオンになるとのこと。「パドックではまだオフの状態。スイッチを入れずに我慢できる範囲のようです。それが、ジョッキーが跨り、返し馬へいくとすぐにオンになる」そうです。阪神JFは明らかにそれまでのレースとは雰囲気が違うと思われますが、その課題も賢い彼女らしさで切り抜けられるといいですね。

 最後に新馬紹介。ミッキーエールという2歳の栗毛馬が清水出美厩舎に入厩しています。父はアグネスデジタル、母はナチュラルグレイス。1987年エリザベス女王杯優勝馬のタレンティドガールの孫にあたります。

 先日はレースでも騎乗予定の池添騎手に追い切られポリトラックコースで79.0-37.2-11.7の時計を出しています。まだ幼いせいかモノ見ばかりしていましたが、元々の性格がひじょうにまじめなこともあり手抜きせずにしっかりと走っていました。

ミッキーエール

「とにかくマジメで前向きな性格ですね。ゲート試験のときも12.7-12.8というラップで一生懸命走っていました。初戦向きだと思います」と担当の今井助手。

 馬体重は「先週490キロ。470キロ前後でデビューできると思います」とのこと。デビュー戦は12月24日、ダート1800mを予定しています。

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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