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週刊サラブレッドレーシングポスト

  • 2003年01月14日(火) 12時02分
 アメリカの年度表彰第32回エクリプス賞は、1月3日に各部門のファイナリストたちが発表になり、1月27日にカリフォルニアのビヴァリーウィルシャー・ホテルで行われる授賞式で、年度代表馬を含む各賞が決定する運びとなっている。

 一方、既に授賞者が決定し発表されているのが、エクリプス賞の1つ特徴であるメディア部門だ。今週のこのコラムでは、2002年にジャーナリズムの世界から表彰された授賞者と授賞理由を御紹介したいと思う。

 まずはテレビ部門から、全国放送生中継部門の授賞は、NBCネットワークが5月18日に放送した「プリークネスS生中継」。授賞理由として、『温かみのある番組作りで出走馬の背後にいる人々を取り上げ、見る者にあたかもそこに参加している一員のような感覚を与え、なおかつ場内の感動を忠実に伝えることが出来た』としている。

 更にNBCのプリークネスS中継は、番組内で放送された「ケンタッキーダービー直前に成立した、ウォーエンブレムのトレード」を描いた特集が、『ウォーエンブレムを手放した元の馬主と元のトレーナーの複雑な心境を描いた、卓越した演出手腕』を評価されて、エクリプス賞テレビ放送ドキュメンタリー部門に選出され、ダブル授賞となった。

 一方、テレビ部門のローカル放送部門は、『レース中継の映像作りだけでなく、特集企画や出演者の質も、全国放送に負けないレベルだった』という理由で、フォックススポーツが前年の12月8日に放送した「ルイジアナ・チャンピオンズ・デイ生中継」が授賞している。

 ラジオ・メルチメディア部門の授賞は、プレミア・ラジオネットワークが5月4日に放送した、「ケンタッキーダービー生中継」。『テレビを見ることが出来ない、例えば米軍キャンプに派兵されている兵士たちにも、現場の興奮を届けることができた』ことが、授賞理由となっている。

 写真部門の授賞者は、ルイヴィル・クーリエ・ジャーナルの専属カメラマン・マイケル・クレヴェンジャー。ケンタッキーダービーのゴール直後、ウォーエンブレムの鞍上で投げキッスをしようとした瞬間のヴィクター・エスピノーザ騎手を正面から捉えた写真が、授賞対象となった。

 ライターのニュース・コラム部門は、ニューヨーク・タイムスのスポーツ記者ジョー・ドレイプが、10月29日から11月13日までシリーズで執筆した、ブリーダーズCのピック6を巡る馬券捏造事件を追った記事が授賞。『単に事件として追っただけでなく、複雑な競馬社会の背景にも言及し問題の本質に迫った』ことが授賞理由である。

 ライターの特集記事部門の授賞は、ハーパーズ・マガジンの10月号に掲載された、ジョン・ジェレミー・サリヴァンの筆による「Horseman,PassBy:Glory,Grief,andtheRacefortheTripleCrown」。ウォーエンブレムの3冠挑戦について、ノスタルジックに描いたこの作品は、『文章が美しく、作者の競馬に対する情熱と感動に満ちあふれている』点が授賞に結びついた。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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