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第46回シンザン記念

  • 2012年01月11日(水) 18時00分
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 五冠馬シンザンの名を取った恒例の「シンザン記念」が、1月8日(日)京都競馬場で行われた。

 1961年生まれのシンザンが現役を引退したのは1965年のこと。レースの創設はその2年後、1967年である。京都競馬場の改修工事のために、1980年と1994年の二度阪神で行われた以外は、毎年1月のこの時期に京都で芝1600m戦として実施されている。

 シンザンの功績を称え、ここ浦河町で7月末に開催されている「シンザンフェスティバル」にて選出された2名のミスシンザンを、京都に派遣するようになったのは1990年のこと。今年も、昨夏のフェスティバルでミスシンザンに選ばれた渋谷千尋さん(21歳)と真下恵さん(25歳)が、シンザン記念表彰式のプレゼンターを務めるべく、前日より京都入りした。

 7日(土)は競馬非開催日とあって、浦河を出発したミスシンザンとフェスティバル実行委員会の面々は、まず社杯を提供している日刊スポーツ社(大阪市福島区福島)へ表敬訪問を行うことになった。ここで取材を受け、翌日の紙面に取り上げて頂くのが訪問の主たる目的である。

日刊スポーツ社で取材を受けるミスシンザン

 写真撮影とインタビューの他、今はネットを通じて手軽に動画がアップ出来る時代だ。日刊スポーツ社でも、ミスシンザンたちが急きょ1分間の動画に出演することとなった。浦河町のPRやシンザン記念の告知など、カメラ横に設置されたボード(カンニングペーパー)を参考にしながら、どうにか無事に“初仕事”を果たした。

 その後、京都まで移動し、この日は早めの解散となった。翌8日(日)。投宿先の京都ロイヤルホテルを午前8時半過ぎに出発し、一路、淀にある京都競馬場に向かった。

 毎年、この時期にしか京都には来ないが、幸いなことにシンザン記念ではこれまで悪天候に見舞われたことがない。この日もやや曇りがちながらもまずまずの好天で、どうやら雨の心配はなさそうだ。

 私たちには7階のゴンドラ席が用意されており、胸にリボンをつけての入室である。ただし、男性は背広にネクタイ、革靴が基本で、女性はそれに準じた服装が義務付けられている。

 私たちと前後して、前日に訪問した日刊スポーツ関係者も、社長を始め多くの方々がゴンドラの別室に来場していた。

 本来ならば前日に競馬場入りしての打ち合わせとなるが、今回は当日入りのため、ミスシンザンは割に多忙なスケジュールが組まれている。

 本番のシンザン記念表彰式の前に、競馬場長、開催委員長などへの挨拶回りや、ラジオ(毎日放送)出演などがあり、また、昨年暮れの有馬記念の週から「シンザン写真展」(入場口隣の小スペース)が始まっているのでそこへも顔を出さねばならない。午後までのんびりというわけには行かないのである。

 とはいえ、以前はテレビ出演が必ずメニューに組まれていたのだったが、今年からそれがなくなった。かつてはKBS京都と関西テレビの2局を掛け持ちで出演していた時代もあったが、ずいぶん様変わりしたものだ。

 午後のレースが始まると、徐々に緊張感が高まってくる。表彰式の打ち合わせが始まった。特別レースには表彰式が行われるので、前もって実際に現場を見ておこうと、ウイナーズサークルまで下りて行ったりもした。いよいよシンザン記念が近づいてきた。

 午後3時45分。15頭の出走馬がゲート入りを始めた。1番人気はゴールドヘイロー産駒のトウケイヘイローで3.5倍。2番人気にディープインパクト牝馬のジェンティルドンナで4.0倍。

 ことさら意識していたわけではないものの、今回のシンザン記念は日高産のゴールドヘイロー産駒が人気の中心となったことから、このところ社台グループ生産馬に完敗し続けている流れをこの辺で止めて欲しい気持ちにもなった。

 だが、いざレースが始まると、ルメール騎乗のジェンティルドンナの強さが際立っていた。好位から直線に向かうと難なく抜け出し、並みいる牡馬を抑えて先頭でゴールイン。昨年、期待されながら同レースで5着に敗退したドナウブルーを全姉に持つジェンティルドンナは、姉と比べると一回り大きく、精神的にも大人びている印象である。

ジェンティルドンナが快勝

 レース後の表彰式。ミスシンザンは、コンパニオンたちと共に大役を務め、無事に仕事を終えた。表彰式の後、ルメール騎手に記念写真をお願いすると快く応じてくれた。

ルメール騎手と3ショット

 ルメール騎手は、12月終わりから俄然好調で、ラジオNIKKEI杯2歳S(アダムスピーク)に続いての重賞制覇となった。また有馬記念でもエイシンフラッシュに騎乗し、あわやの2着という場面もあった。

 なお、2着は9番人気マイネルアトラクト(1馬身4分の1差)、3着は11番人気プレミアムブルー(1馬身4分の1差)と入り、三連複は53960円、三連単では28万1970円という高配当となった。

 レッドデイヴィス、オルフェーヴル、マルセリーナで決まった昨年と比べるとやや地味な印象は拭えないものの、マイネルアトラクト、プレミアムブルーはいずれも日高産馬。むしろ大健闘と言わねばなるまい。

 それにしても、13年ぶりの牝馬の優勝とはいえ、ジェンティルドンナは父ディープインパクトもさることながら、母ドナブリーニもまた英国のG1馬である。馬主はサンデーレーシング。生産はノーザンファーム。因みに2010年度の募集価格は3400万円。40口のシェアなので1口85万円となるが、早くも3戦目で自身の募集価格以上の賞金を稼ぎ出したことになる。

 今後もかなりの活躍が見込めそうな馬で、とりわけノーザンファーム生産馬の層の厚さには驚く他ない。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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