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大物感あふれるマイラー配合、モハメド殿下のジョヴァンニ

  • 2012年01月18日(水) 12時00分
●コトブキハレスガタ(牝 美浦・松山将樹 父ディープインパクト、母セイントリースカウト)
 半兄ミッキーバラード(父Fusaichi Pegasus)は4勝を挙げて準OPに在籍中。母の父Saint Balladoは米リーディングサイアーで、Glorious Song(加年度代表馬、米最優秀古馬牝馬)、Devil's Bag(米最優秀2歳牡馬セン馬、タイキシャトルの父)、Angelic Song(優秀な繁殖牝馬)などと全きょうだいの関係にある。父ディープインパクトはこれらを含む繁殖牝馬との間に誕生したわずか6頭から、ダノンバラード、フレールジャック、アダムスピーク、ヴィルシーナを誕生させている。ニックスといっていいだろう。このパターンに当てはまる本馬は、他の6頭よりも硬質なアメリカ血統が強く、兄と同じくダート向きかもしれないが、非凡な資質を示す可能性は大いにあるだろう。

●アンコイルド(牡 栗東・矢作芳人 父Giant's Causeway、母Tanzania)
 半姉Amorama(父Sri Pekan)はデルマーオークス(米G1)、ジョンC.マビーH(米G1)などを制している。2代母Triple Couronneは女傑Triptychの全姉で、3代母Trillionは仏最優秀古牝馬と米最優秀芝牝馬に選ばれた。優れたファミリーから誕生しているので期待できる。父Giant's CausewayはStorm Cat系の代表的な種牡馬で、日本ではエイシンアポロン、スズカコーズウェイ、エーシンジーラインなどが重賞戦線で活躍している。母の父Alzaoはディープインパクトの母の父でもあるように、柔らかな芝適性を伝える種牡馬。芝向きの中距離タイプで、ダートもこなすだろう。

●ジョヴァンニ(牡 栗東・千田輝彦 父アドマイヤムーン、母オータムメロディー)
 モハメド殿下の所有馬。半姉ピクシープリンセス(父ディープインパクト)は現在3戦1勝。母オータムメロディーは「Kingmambo×Sadler's Wells」なのでエルコンドルパサーと同じ組み合わせで、Nureyev≒Sadler's Wells 3×2という大胆な4分の3同血クロスを持っている。ヨーロッパ向きの重厚な繁殖牝馬だ。父アドマイヤムーンは芝向きの素軽さという点では非凡なものを持っており、こうした牝馬を料理するのは得意中の得意。母方にSadler's Wellsを持つアドマイヤムーン産駒には京王杯2歳S(GII)を勝ったレオアクティブ、ジュニアC(OP)2着のセイクレットレーヴなどがいる。父の軽さを抑えつつ底力を加えているので大物感がある。芝向きのマイラーだろう。

●メイショウキラリ(牝 栗東・飯田明弘 父マンハッタンカフェ、母ウッドスペル)
 これまでにJRAで走った兄姉10頭のうち、勝ち上がったのは4頭で、2勝以上を挙げた馬はいない。このように母ウッドスペルの繁殖牝馬としての能力はとりたてて褒めるところはないが、これまでの産駒と比べて本馬の配合はかなり優秀だと思われるので期待したい。父マンハッタンカフェはMr.ProspectorとNijinskyを併せ持つ繁殖牝馬と相性がよく、このパターンからマンハッタンスカイ、イコピコ、サンディエゴシチー、エーシンモアオバー、レッドアゲートなどの活躍馬が誕生している。本馬はこのパターンに合致する。芝向きの中距離タイプ。

●レイズオブザサン(牡 栗東・服部利之 父スパイキュール、母レイオブライト)
 父スパイキュールはダート戦で注目すべき成績を挙げている。現在、3世代が競走年齢に達し、ダート戦で連対率19%(芝では3%)という優れた成績。地方競馬でも重賞勝ち馬を続出させている。現役時代はダート戦に限れば7戦全勝と、サンデーサイレンス産駒としては屈指の砂巧者だった。交配牝馬の質があまり良好とはいえないなかでこれだけの成績を挙げているのだから立派だ。母の父ウイニングチケットはトニービン系だが、スパイキュールの母クラフティワイフのファミリーはトニービンと抜群の相性を示しているので面白いところがありそう。ダート向きの中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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