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シルクロードS

  • 2012年01月27日(金) 18時00分
 内田博幸騎手(41)が奇跡のカムバックを果たし、今週から騎乗する。最初は東京7Rのヴィンテージイヤー。馬名にあやかり、極上のワインをかかげて祝福したい。

 頚椎歯突起骨折という、騎手生命どころか、命さえ脅かしかねない瀕死に近い重傷から生還してみせた。恐ろしいほど頼もしい男だ。首が固定され身動きも許されない期間が長くつづいた。そこから懸命のリハビリを乗り越え、「なんの後遺症もなく」元気に復帰してみせたからすごい。たちまち本来の内田博幸に戻って勝ちはじめるのだろう。

 でも、L.デットーリも九死に一生を得た飛行機事故のあとは、ジョッキー生活のスタイルを変えている。無理はしてほしくない。勝ち星量産にあくなき執念を燃やしそうだが、ここ一番のビッグレースの内田博幸でもかまわない。40歳を過ぎての負傷は応えるから、怪しい馬には乗らなくてもいい。それより元気で乗り続けて欲しい。

「シルクロードS」。人気のロードカナロア(父キングカメハメハ)の信頼度は高い。目下4連勝中だが、相手強化の前2戦も決して目いっぱいの内容ではなく、前半はあわてず騒がず、勝負どころから着差以上に楽なゴール前の脚さばきである。一戦ごとに少しずつ馬体重が増えているが、数字以上にたくましくなった印象がある。連勝してきたのと同じ京都コースの1200m。斤量こそ57kgに増えるが、これはほんの小さな要素だろう。この時期の京都の芝だから、例年「1分08秒0」前後の勝ち時計になるのもロードカナロアにとっては好都合。パワーを内蔵している。

 馬力あふれる種牡馬を重ねて配合された牝系ファミリーは典型的なアメリカ血脈そのものであり、5代母シリアンシー(父ボールドルーラー)は、アメリカの競馬史に輝く世紀の怪物セクレタリアトの全姉である。日本のスプリンタータイプとして知られるこの一族では、ニシノフラワー(父マジェステックライト)の3代母ザブライドが、シリアンシーの全妹であり、セクレタリアト全姉になる。

 相手は、なんと「7頭」も大挙して出走してきたサクラバクシンオー産駒の中に妙味ある馬がいそうだ。9歳サンダルフォンも侮れないくらいだから、サクラバクシンオー産駒はタフでケタ違いに丈夫である(バクシンオーは11年間も連続して総合リーディングサイアー10位以内を記録した)。テスコボーイ系は柔らかい筋肉が最大の長所で、その柔軟な筋肉は冬場でも他の系統より硬くならないとされた。だから、冬にも活躍しないといけない日本向きであり、ここに大挙「7頭」もそろった理由なのだろう。

 行くエーシンダックマン、ロードカナロアをマークしながら進みそうな上がり馬ダノンフェアリーが相手本線。サンダルフォンが伏兵。バクシンオー産駒以外では、エーシンヴァーゴウ、グランプリエンゼル。さらにキョウワマグナムが、現在絶好調のキングカメハメハ産駒として侮れない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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