●キャノンシュート(牡 美浦・藤沢和雄 父ハーツクライ、母クラウンアスリート)
共同通信杯(GIII)を勝ったハンソデバンドを筆頭に、ロングスローイン、ウェンブリー、ヘディングマキと、産駒が手堅く走っているクラウンアスリート。ニューイングランド(種牡馬)の半妹、Woodmanの姪という良血だけに非凡な繁殖能力を秘めている。「ハーツクライ×アフリート」はオースミイージー(新馬−ききょうSを連勝)と同じで、母方にMr.ProspectorとBuckpasserを併せ持つハーツクライ産駒にはキョウワジャンヌ(11年秋華賞-GI・2着)がいるように、配合パターンも悪くない。生産者の藤沢武雄さんは藤沢和雄調教師の実父。クラウンアスリートの子が初めて息子の厩舎に入るので、そうした面からも注目したい。
●グルトップ(牡 栗東・角居勝彦 父キングカメハメハ、母イントゥザグルーヴ)
全姉グルーヴィクイーンは現在5戦1勝。500万下で苦戦しているので、この血統の期待度からすると成績的にはイマイチだが、血統的なポテンシャルは高いので、全弟が違った結果を出す可能性は十分ある。母イントゥザグルーヴは現役時代4勝馬で、その全姉にはアドアイヤグルーヴ(03年、04年エリザベス女王杯-GI)、半弟にはルーラーシップ(重賞4勝)、フォゲッタブル(重賞2勝)がいる超良血。さらに、2代母エアグルーヴは年度代表馬、3代母ダイナカールはオークス馬という日本屈指の名牝系。本馬はルーラーシップと4分の3同血の関係にある。芝向きの中距離タイプ。
●シゲルピスタチオ(牝 栗東・小原伊佐美 父フジキセキ、母セイウンユウカ)
母セイウンユウカはフラワーC(GIII)4着馬。アラナスモンタやチェイスチェイスといった地方競馬の名馬が出た牝系だが、ここ3代、トウショウボーイ、トニービン、フジキセキと芝向きの種牡馬が掛けられているので、パワー型の面影は希薄だ。「フジキセキ×トニービン×トウショウボーイ」は、重賞で入着を繰り返しているウェディングフジコとよく似た配合パターン。芝向きの中距離タイプだろう。
●プリュムローズ(牝 栗東・庄野靖志 父マンハッタンカフェ、母ルナソルウィンク)
「マンハッタンカフェ×ラムタラ」はヒルノダムール(11年天皇賞・春-GI)と同じ。父マンハッタンカフェはBlushing Groomと相性がよく、この組み合わせからメイショウクオリア、サンディエゴシチー、ベストメンバーなど多くの活躍馬が出ている。ラムタラにはBlushing Groomが含まれているので、本馬はこのパターンにあてはまる。加えて、母にNijinsky 2×4があるのは好ましい。マンハッタンカフェはドイツ血統など異質な血を多く含んだ血統なので、主流血統を重ねた繁殖牝馬とフィットする。Northern Dancer系の強いクロスを持つ母と好相性を示しているので、そうした点からも本馬の配合は評価できる。
●マーティンボロ(牡 栗東・友道康夫 父ディープインパクト、母ハルーワソング)
全兄フレールジャックはラジオNIKKEI賞(GIII)の勝ち馬。4分の3同血のヴィルシーナは牝馬ながらエリカ賞(2歳500万下)を制し、クラシック戦線の有力候補として名乗りを上げた。3代母のGlorious Songは、Devil's Bag、Saint Ballado、Angelic Songなどと全きょうだいの関係にある良血で、父ディープインパクトはこれらの血ときわめて相性が良い。これらを母方に抱えた産駒はJRAに6頭しかいないにもかかわらず、そのなかから前出のフレールジャック、ヴィルシーナのほか、ダノンバラード、アダムスピークが出ている。配合的な裏づけがあるので全兄や姪と同じように活躍が期待できそうだ。ただ、8月生まれなので本格化の時期は遅くなりそう。