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軽種馬生産振興会総会スタート

  • 2012年02月02日(木) 18時00分
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 2月2日(木)、新ひだか町三石で「三石軽種馬生産振興会通常総会」が行われた。

 軽種馬生産振興会は、原則として各町ごとに軽種馬生産者がまとまって結成する親睦団体だが、新ひだか町の場合は広域合併前の静内、三石両町時代から継続してそれぞれ別の振興会を結成している。

 現在、三石軽種馬生産振興会は会員数119戸。午前10時より始まった総会は通常の議案がすべて可決され、その後、引き続いて日高軽種馬農協との懇談会が開催された。

 北海道市場を主催する日高軽種馬農協は、かつて種牡馬事業や保険代理事業なども手広く行なってきたが、現在、組合の主柱は市場開催事業である。しかし、近年、売り上げ総額や売却頭数、売却率は上昇しても、平均価格は下落し続けており、個々の生産者には組合の市場運営に対する不満が根強くある。

 組合としては、そういった「下からの声」を拾い上げ、3月の総代会に向けて今年度の事業計画を補足したり修正したりするヒヤリングの場でもあるのがこの懇談会だ。

 さて今回の三石では、市場のあり方に対して以下のような要望が提案された。

「市場規定では、購買者は落札した馬を決められた期日内に引き取らなければならないことになっているが、現実は生産者が無料の預託期間延長を強いられるケースが多々ある。市場では、鑑定人がハンマーを叩いた瞬間に当該馬の所有権は落札者に移行するのが本来の姿であり、現に海外市場ではただちに落札者が馬の引き取りを行わなければならないことになっている。

 しかし日高の市場では、どうかすると市場で落札された馬を1か月間も2か月間も無償で預託しなければならないことが往々にして起こる。生産者の立場が弱いために、押し切られているのが現状だ。組合は市場手数料を徴収しているのだから、こういうルール違反を犯す購買者に対して、厳しく対処することはできないのか」

会場を埋め尽くした生産者

 これに対する組合側の答弁は「落札後の無料預託期間は市場規定に定められている通り。その期間を超えて生産者に預託をお願いする場合には別途、購買者と生産者が契約して預託料、期間を取り決めてほしいと組合では考えている」というもの。

 また「サマーSやオータムSなどで低価格の1歳馬を購買する層にとってみれば、1歳市場で落札してから翌年にその馬がデビューするまでの期間の預託料負担が大きく、苦しい馬主側の台所事情も背景にあると思う」と荒木正博組合長が補足した。

 市場落札後の無料預託期間は、2歳トレーニングセールでは5日間、1歳市場では7日間と決められているが、現実にはその期間を大幅に超えて生産者が無償で飼養管理させられるケースがある。しかし、「落札していただいた」と受け止めている生産者と、「買ってやった」という立場の購買者とでは、最初から力関係がまるで異なる。だからこそ、こうしたゴリ押しがまかり通るのだ。

 ただでさえ、平均価格の大幅な下落に危機感を強める生産者にしてみれば、せめてこうした市場規定を確実に遵守してほしいと要望するのはしごく当然の話だが、組合は原則として「あくまで個々の契約に委ねるべき」という立場である。

 こんな小さなことひとつにも、生産者と組合との「見解の相違」があり、溝はなかなか埋められない。

 なお今年度のセレクションセールより、組合は「主取り手数料1%」を徴収する計画だが、これから開催される各町の振興会総会後の懇談会において、どのような意見、要望が噴出するものか。

 6日荻伏、7日門別、9日様似、10日新冠、15日平取、16日浦河、17日静内という日程である。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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